■映画の翻訳と直訳 2002.12.07

タイムトラベルで有名な映画ー。

「タイムトラベルと言えばこの映画だ!」と言われるほど、タイムトラベラー映画の代表的な存在であり、1980年代に上映した「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。

今までパート1,2,3と上映し、パート3で完結した。 パート4の噂は何回も出ているか実際に作るかどうかは定ではない。

さて、映画の字幕版を見て・・、

ある疑問が浮かんだ。

セリフを見て、「アレの本当の日本語はなんだろう?」という疑問。

初めて鑑賞した10年前から、その疑問が浮かび、今なお解決してない。

そう、大野与作における長年の七大疑問の一つである。

その疑問を正確に言うと、英語で発したセリフを直訳すると、意味不明な箇所を日本語では別の言葉に置き換えてるのである。いわゆる、翻訳というものである。

その問題のセリフは・・、

主人公マーティーの父ジョージが母ロレインに愛の言葉を発するときである。

消極的なジョージがロレインに決めセリフは何がいいのだろうか?と、マーティーと相談したそうな。

そこで、マーティーは・・、

「君は僕と結ばれる運命だ。」

とアメリカン風ストレートな愛の言葉をアドバイスした。

ところが、ジョージは緊張のあまりに・・、

「君は僕と結ばれる運転だ。」

と間違えてしまう。

「運命」と「運転」。

日本語ならありそうだが、問題はそこである。

「運命」の英語は「fortune(フォーチュン)」。「運転」の英語は「drive(ドライバー)」である。

つまり、英語の会話を予想するに、

ジョージ:・・・フォーチュン・・・ (字幕:君は僕と結ばれる運命だ。)

を間違えて、

ジョージ:・・・ドライバー・・・ (字幕:君は僕と結ばれる運転だ。)

と言ったわけである。

しかし、緊張しても、「フォーチュン」と「ドライバー」と間違えるにはスペルやアクセントがあまりにも違いすぎる。微妙なところで「フェーチュン」や「フォーチャン」とか間違えるのが妥当な線だろう。

となると、本来は

ジョージ:・・・フェーチュン・・・ (字幕:君は僕と結ばれる運転だ。)

となっていたかもしれないのだ。

その「運転」は日本語に合わせて変えたのだから、間違えて言った英語の本当の直訳は未だに不明である。さらに、間違えて何と言ったのも不明である。

それが私の人生における長年の七大疑問の一つであった。

ところが最近、それを解決できる手がかりをつかんだのだ。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のDVDが発売され、日本語の字幕、しかも英語の字幕まである。それだけなく、韓国語などの他の言語の字幕も入ってる。なんとも嬉しい特典だろう。

ビデオテープだったら、日本語字幕や英語字幕や韓国字幕などそれぞれ買わなければならないのを、1本のDVDで済ませるのだから、まさに「ビバ!DVD」である。

そこで問題のシーンを見てみる。

        英語        (字幕)
ジョージ:I'm your destiny.  君は僕と結ばれる運命だ。

あれ?

「fortune」ではない! 「destiny」だった。 まさに初めて、知った真実。

どうやら、運命の英語は「fortune」の他に「destiny」もあったそうだ。訳は「運命だ」のそうだ。

では、言い間違えたセリフ。

        英語        (字幕)
ジョージ:I'm your density.  君は僕と結ばれる運転だ。

これだ!!

そっかー。ジョージは緊張のあまりに「density」と言っていたわけだ。

この日本語字幕は「運転」になっていたのだが、やはり、本当の直訳は運転ではなかった。

では、「density」の本当の意味を調べてみる。

 density ・・ 密度 濃度

ということは、直訳すると・・、

        英語        (直訳)
ジョージ:I'm your density.  君は僕と結ばれる密度だ。
                  君は僕と結ばれる濃度だ。


・・・。

・・・。

全然、意味わからないぞっ!

日本語で、緊張して「運命」を「密度」とか「濃度」と言い間違える人はまずいないぞ。間違えて言うなら、やはり「運転」が妥当である。

こういう時の訳は、翻訳する人の苦労が忍ばれるものです。そして、センスも必要であることも感じました。

これから、洋画をみるときに、手を合わせ「翻訳家の感謝を忘れず」という心がけで行こうとします。

そして、長年の七大疑問から六大疑問へとかわっていくのであった。


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