思い返せば、会った時から惚れていたのだと思う。
それでもなかなか言い出す事ができずに、ずるずると時間が経ってしまった。
その間に、仲間も増えた。沢山の戦いも経験した。傷付きもしたし、喜びに笑いもした。
だから、そうして仲間として共にいられる事と、彼を支えていける事で半ば満足していたのも事実。
けれど、それじゃ足りない。
見守るだけで満足だなんて大人でもないけれど、勢いだけで突っ込んでいく子供でもない。
だから、じわじわと、傍へ傍へと寄っていった。
どうしようもなく愛おしくなって、苦しくなって笑った事も度々。
そんな時間を楽しんでいたのも事実ではあるけれど、やっぱり思いを告げてよかったと思う。
その時の奴の驚いた顔を今でもはっきりと思い出せる。それから、照れたように笑った顔も。
「好きだよ。」
そう告げれば、照れたように顔を背けて赤くなるけれど、抱き寄せるのも口付けるのも拒む事はない。
もうそろそろいいだろう。そう思い続けて早三月。今日こそ思いを成就させる日だと思いを定めてきた勢いで、そっとその体をベッドへ倒してやれば、どことなく不安げな顔をして見上げて来るその顔が、どうにも愛しくてたまらない。
「大好き。」
笑いかければ、ふいと顔が反らされ、それを追い掛けてキスをする。
珍しくここで抵抗がないという事は、ゾロとしても現状打破を狙っていたという事かと、サンジは勢い込んで手を滑らせてシャツの中へ手を滑らせ、その肌触りを堪能し、裾をたくしあげていく。
そのままゆっくりと胸元へ唇を下ろし、愛おしさを噛み締めているサンジの下で、ゾロがなにやらぶるぶると震えるのを感じたが、事に緊張しているのだろうとサンジはさして気にする事もなく、その肌に口付けを繰り返した。
「……っ……」
びくりとゾロの体が跳ね、サンジがその反応に嬉しくなって手を更に下へと滑らせ、視線をゾロの顔へと向けた時、ゾロの足が跳ね上がり、サンジはベッドからはじき飛ばされていた。
「…!」
あまりの事に床に転がったままベッドの上で体を起こしたゾロを見たサンジは、その顔が真っ赤に染まってぶるぶると震えている事に気付いた。
「……ゾロ…?」
やっぱりまだ早かったのか?と後悔をし始めたサンジは、ゾロの口が開くのをじっと見つめた。
「そのヒゲ剃ってから出直して来い!」
出直して来いと言いながら、そのまま部屋を飛び出していったゾロの背中を見送って、サンジは呆然と顎に手をやった。
「………そんなの、あり…?」
おかぼれさんねん ほんぼれみつき おもいとげたは さんぷんかん
【岡惚れ=密かな片思い / 本惚れ=両想い】
先日のオンリーの打ち上げ時に、『三分サンジを書かなくちゃいけないんだ』と言い続けた三分サンジ。どこからどこまでの三分なんだ…というのがなかなか難しく、結局、床入りから三分って感じで。
ゾロが本当にヒゲがくすぐったかったのか、恥ずかしかったのかは想像にお任せします。(2007.2.26)