戯言
2005.11.3
新基準のレギュラーチューニングを考察してみる(1)
こんなのはいかが?
まずは既存のチューニングです。
C Major keyの音配列
穴番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
吸音 | D | G | B | D | F | A | B | D | F | A |
吹音 | C | E | G | C | E | G | C | E | G | C |
これを
【新基準案】C Major keyの音配列
穴番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
吸音 | D | G | B | D | F | A | B | D | F | A |
吹音 | C | E | G | C | E | G | Bb | C | E | G |
こういう風に組み直します。78910番の吹き音が変更されてます。
@C Majorとして使う場合
穴番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
吸音 | D | G | B(し) | D(レ) | F(ファ) | A(ラ) | B(シ) | D | F | A |
吹音 | C | E | G(そ) | C(ド) | E(ミ) | G(ソ) | Bb | C(ド) | E | G |
AF Majorとして使う場合
穴番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
吸音 | D | G | B | D(ら) | F(ド) | A(ミ) | B | D(ラ) | F(ド) | A |
吹音 | C | E | G | C(そ) | E(し) | G(レ) | Bb(ファ) | C(ソ) | E(シ) | G |
まず、ベンドが完璧に出来る方には必要性が薄い。このコンセプトは、ベンドを習得するまでの期間のプレイヤー負担の軽減、もしくはあまりベンドに肯定的でなく、それでも小型携帯性や音色の意味でファンとなった方が
10穴をプレイする際の新しいスタンダードチューンを模索する試みです。それでいて、ある一面においては既存のチューニングの利点や特徴を兼ね備えていないとトンデモセッティング
になってしまうので、その辺の落としどころを考えていく楽しみ研究でもあります。
■基本的な考え
今あるレギュラーチューンとの互換性を最優先し、セカンドポジションのブルースまで演奏可能な事を重視した為、3番穴にA音を入れることは
パスし、Aのような12Thポジションによる解決策で「ら」の音の難易度を下げる。いわゆる低音「ら」が存在しないようなトラディショナルな曲は@で演奏し、「ら」と「そ」
が同居しているような曲はAのポジションで対応する。
■効果、演奏守備
これにより、綺麗なアイオニアンスケールで作られた曲に対しての守備範囲はかなり広くなり、さらにAの場合の4穴吸音から始まるマイナーは
らしドレミファソラ(ナチュラルマイナー)
らしドレミファソ#ラ(ハーモニックマイナー)
らしドレミファ#ソ#ラ(メロディックマイナー)
らしドレミファ#ソラ(ドリアン)
が完全再現でき、つまりは童謡唱歌から演歌、クラッシックの演奏範囲を広げることになる。もちろん既存のサードポジションを妨げないのでマイナーブルースも引き続き可能だ。
既存のレギュラーチューンでの場合は、ナチュラルとハーモニックの再現にとどまり、
それ以上はファイリングをするかオーバブロウが必要になると共に、3番の一音ベンドが必須になる厳しい世界だ。それを、一箇所の8番吸音ベンドのみで可能にしてみる。
■既存のセカンドポジションへの影響
基本的には既存チューンの感触と変わらない。7番吹音にBbの音があるのはセカンドポジション上で3bの表現になるのでおいしい。あと、和音的に2345吸でG7、4567穴吹でC7の再現。
■その他
考え方は、1stでは7度(シb)が追加され、2ndでは3度b(ミb)、12Thでは4度#(ファ#)が追加される形になる。これはベンドを完全にマスターしたものにとってもおいしい副産物に
なるかもしれない。例えばよく話題に上るテイクファイブや、または黒いオルフェなどは、筆者が過去に述べた0番穴チューンを用いなくともこういう形でも楽勝になる。
まぁ、とりあえず終わろうか。
2005.12.3
試してみる(1)
下で考察したチューニングを試していこうと思います。
まずは、C調をベースに作ってみました。
【新基準案】C Major keyの音配列
穴番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
吸音 | D | G | B | D | F | A | B | D | F | A |
吹音 | C | E | G | C | E | G | Bb | C | E | G |
これですね。
まずは、1stポジション上でのドレミファソラシドを吹きます。
C Majorとして使う場合
穴番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
吸音 | D | G | B(し) | D(レ) | F(ファ) | A(ラ) | B(シ) | D | F | A |
吹音 | C | E | G(そ) | C(ド) | E(ミ) | G(ソ) | Bb | C(ド) | E | G |
4 C 5 D 6 E F 8
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
※数字は穴番号、○は吸音、数字のみは吹音
1stポジションのドレミファソラシド(C1-1)←音源クリック〜!
そして下降ライン。
8 F E 6 D 5 C 4 B B→1 3
ド シ ラ ソ ファ ミ レ ド シ ラ ソ
※B→1は三番吸音の一音ベンド。
1stポジションのドシラソファミレド、シラソ(C1-2)←音源クリックよ!
ここで出てくる3番1音ベンドが曲者だったわけですね。出来る人には問題ないわけだけど、こいつが初心者を苦しめ、メロディを吹くことをあきらめさせてしまう事もしばしば。
じゃ、頭を切り替えて、次は12Th ポジションを。
F Majorとして使う場合
穴番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
吸音 | D | G | B | D(ら) | F(ド) | A(ミ) | B | D(ラ) | F(ド) | A |
吹音 | C | E | G | C(そ) | E(し) | G(レ) | Bb(ファ) | C(ソ) | E(シ) | G |
D 6 E 7 8 G 9 H
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
12thポジションのドレミファソラシド(C12-2)←音源!
下降ラインも。
H 9 G 8 7 E 6 D 5 C 4
ド シ ラ ソ ファ ミ レ ド シ ラ ソ
12thポジションのドシラソファミレド、シラソ(C12-2)←音源
。。。となりますね。こちらにはベンドがないので、既存のレギュラーチューンに比べてかなり演奏は楽になります。
〜休憩〜
ここで、Cをベースに作ると12thポジションの音域がかなり高いので、G調をベースに新たに作ってみました!
こいつで12thポジを扱うと、音そのものがC調の1stと同じになります。
こいつで今までの経緯をまったく同じく繰り返します。吹き方は同じなので、表は割愛します。
G調ベースで1stポジションの上昇、下降(そして3番ベンド)
4 C 5 D 6 E F 8
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
1stポジションのドレミファソラシド(G1-1)←音源
8 F E 6 D 5 C 4 B B→1 3
ド シ ラ ソ ファ ミ レ ド シ ラ ソ
1stポジションのドシラソファミレド、シラソ(G1-2)←音源
G調ベースで12stポジションの上昇、下降(ベンドなし)
D 6 E 7 8 G 9 H
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
12thポジションのドレミファソラシド(G12-2)←音源
H 9 G 8 7 E 6 D 5 C 4
ド シ ラ ソ ファ ミ レ ド シ ラ ソ
12thポジションのドシラソファミレド、シラソ(G12-2)←音源
以上、とりあえずの楽器構造と紹介はこのくらいにして、次回は具体的に曲を扱ってみたいと思います。今まで難解だった曲がどれだけ楽になりますやら。
■オマケ■
このチューニングでのブルースへのアプローチですが、構造的に
【新基準案】C Major keyの音配列
穴番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
吸音 | D | G | B | D | F | A | B | D | F | A |
吹音 | C | E | G | C | E | G | Bb | C | E | G |
再度見てもらうと、4、5、6番の吹き吸いの構造と、8、9、10番の構造が一緒なので、4,5,6番で吹けるフレーズはそのまま8、9、10番でも可能になります。
たとえばこんな感じ。
G調ベースで作ったチューニングで2ndポジションのブルースフレーズ(BF1)←音源
なお、吹音ベンドは存在自体が無くなります。
全体的にはこんなニュアンスになる。演奏自体は既存のプレイとほとんど変わらないが、出てくる音が若干変わる。
ブルースデモ←音源
まぁ今日はこの辺で。
2005.12.6
試してみる(2)
続きです。まず再確認しておきたいのは、このチューニングの目的についてです。主に
■ベンドの負担を減らすことによってよりメロディを綺麗に聞かせる事。また負担を減らしベンド(フェイク)がより歌いまわしや内容の面で捉えられるようになること。
■レギュラーチューニングでの1stポジションのベンドが出てこない曲のレベルから、いきなりベンドによってハードルが高くなる現状を和らげるクッションとなる存在になること。
■何本もチューニングを持ち歩いて混乱を防ぐよう、これ一本で従来の初心者用の曲から、ベンドを使う曲の負担軽減、そしてセカンドポジションのブルースに至るまで網羅すること。
じゃぁいってみましょう。
今日は曲を使って、比較などをしていきます。まずは「千と千尋の神隠し」でおなじみのあの曲。
従来の《レギュラーチューンの1st》で演奏しますと
4C546〜 5C〜6〜C〜 4B→1 5〜 4B〜
ドレミドソ〜 ミレ〜ソ〜レ〜 ドラ ミ〜 ドシ〜
※B→1は3番吸音の1音ベンドです。ラの音。
って感じで、このよくミスりがちなベンド、B→1をややミスった感じの音源をひとつ。
ああぁ!やってしまったぁ〜(itumoC)(音源)
これを、今回の《G調ベースのチューニングの12Thポジション》で吹きますと
D6ED8〜 E6〜8〜6〜 DCE〜 D5〜
ドレミドソ〜 ミレ〜ソ〜レ〜 ドラミ〜 ドシ〜
音はこんな感じです(itumoG)(音源)
ちょっと《G調ベースのチューニングの12Thポジション》つーのは長いので、便宜上《フリスチューンβ》と呼ばせて頂きます・・
同様に、少年時代なども
《従来のレギュラーチューン》(shounenC)←嫌な所にベンドが・・失敗しちゃったよ(音源)
《フリスチューンβ》(shounenG)(音源)
となります。なんとなく比較できましたでしょうか。
■今日のオマケ■
「青い山脈」と言う曲があります。これはハーモニックマイナーとナチュラルマイナーの両方のスケールを使う曲で、基本的に7音階しか組み込まれていないディアトニックハーモニカ
では工夫をしないといけません。複音ハーモニカなどはAハーモニックマイナーとAナチュラルマイナー(つまりはCメジャー)の二本を使って演奏したり、10穴でもベンドを使って
二つのスケールの織り成すメロディを吹きこなしたりと、まぁクセのある曲なのです。こんな曲、いっぱいありますよ。
さて、《フリスチューンβ》。マイナー3種に関しても対応します。このくらいになってくるとベンドは出てきますが、それでもレギュラーチューンよりかかなり楽です。
《従来のレギュラーチューン》で、3種マイナーを吹いてみましょう。
B→1 B 4 C 5 D 6 E
ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ Aナチュラルマイナー(C-ANM)(音源)
B→1 B 4 C 5 D E→ E
ラ シ ド レ ミ ファ ソ# ラ Aハーモニックマイナー(C-AHM)(音源)
B→1 B 4 C 5 5(OB) E→ E
ラ シ ド レ ミ ファ# ソ# ラ Aメロディックマイナー(C-AMM)(音源)
※E→は半音ベンド、(OB)はオーバーブロウ
《フリスチューンβ》だと
C 5 D 6 E 7 8 G
ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ Aナチュラルマイナー(G-ANM)(音源)
C 5 D 6 E 7 G→ G
ラ シ ド レ ミ ファ ソ# ラ Aハーモニックマイナー(G-AHM)(音源)
C 5 D 6 E F G→ G
ラ シ ド レ ミ ファ# ソ# ラ Aメロディックマイナー(G-AMM)(音源)
言うならばサードポジションなんですね。
それでは最後に、「青い山脈」の比較です。(前奏のみ)
《従来のレギュラーチューン》(aoiC)(音源)
555〜555〜5D5C4BB→1〜 EEE〜EEE〜E6D5CD5〜
ミミミ〜ミミミ〜 ミファミレドシラ 〜 ラララ〜ラララ〜 ラソファミレファミ〜
F〜FE 7FEE→ EFEF E65〜 C〜C4 5C4B B→1B4BB→1 B→1.5 B→1〜
シ〜シラ ドシラソ# ラシラシ ラソミ〜 レ〜レド ミレドシ ラ シドシラ ソ# ラ〜
※B→1.5 は3番吸音ベンドで1.5音下げる事。
《フリスチューンβ》(aoiG)(音源)
EEE〜EEE〜E7E6D5C〜 GGG〜GGG〜G87E67E〜
ミミミ〜 ミミミ〜 ミファミレドシラ 〜 ラララ〜 ラララ〜 ラソファミレファミ〜
9〜9G H9GG→ G9G9 G8E〜 6〜6D E6D5 C5D5C C→ C〜
シ〜シラ ドシラソ# ラシラシ ラソミ〜 レ〜レド ミレドシ ラシドシラ ソ# ラ〜
それではまた後日!
2005.12.7
試してみる(3)
前回の続きです。《フリスチューンβ》でいろいろ遊んでみたのね。
スキヤキソングを《フリスチューンβ》で(ueo)(音源)
ダニーボーイ、いきます。(danny)(音源)
この世の終わりとか(end)(音源)
オーバーザレインボウも(over)(音源)
よく10穴用曲集に載ってそうなナンバーをやってみました。《レギュラーチューン》だと3番吸音ベンドやオーバーブロウが出てくる曲です。
《フリスチューンβ》だと、スキヤキソングのサビ部分は例外として、その他はベンドがひとつもありません。
スキヤキソングのサビは録っていませんが、8番吸音半音ベンドが出てきます。これは《レギュラーチューン》の6番吸音半音ベンドと同じレベルです。
あと
こんなのも試しに。テンパランスリール(tem)(音源)
独特な雰囲気が出ますが、これはかえって大変でした。もう癖のついちゃってる自分にはパターンが替わってこの速さはキツイキツイ。
最後に、それでいてこういうのも。
ブギ ブギ !(WB)(音源)
をるたーをるたーー(J-O)(音源)
ご静聴、ありがとうございました。次回は難曲行ってみましょうか。
2005.12.14
試してみる(4)
師走はいそがしいっす・・・とりあえずサウンド貼り付け。従来演奏しずらい曲を楽に。
8番吸音ベンドのみで
いえすたぁDay(Yest)(音源)
6番吸音ベンドのみで
ホワイトクリスマス(xmas)(音源)
黒いオルフェ(black)(音源)
見上げてごらん!リトルスタァ☆(miagete)(音源)
4番吸音ベンドのみで(3rdポジションでハーモニックマイナー)
いい日旅立ち(iihi)(音源)
3番、6番、8番吸音ベンドで(3rdから12thへ平行調転調の典型)
テイクファイブ(takef)(音源)
とりあえず後の作業は後日・・・・