僕とコルネ
第1話「よろしくお願いします!ご主人様♪」
ここは,今とは同じ風景の,今と違う世界・・・・・・そう・・・ここは,俗にいうパラレルワールドという世界かもしれません・・・
そんな世界のとある国,その国の中にある田園風景の広がるのどかな町,
その町の中心部にある鉄道の駅。
その駅のホームについた二両編成のローカル線の列車,
その列車から降りてきた乗客の中で一人だけ,目立つ女の子がいた。
大きな手提げ鞄を持った,ショートカットで犬耳のついたかわいい女の子,
別にそこまでならこの世界では珍しくもなく,ましてや動物の耳やエルフのような長い耳を持つ人はたくさんいる。
では,何が珍しいのか・・・それは常人より異常に巨大な胸である。
見るからに幼く,そして子供っぽさが抜けていない顔立ち,体つきとは反対にその胸だけが極端に大きく印象付けていた。
「・・・ふう,やっとついた・・・えーっとご主人様の家はー・・・」
少女は手帳を取り出して,行き先と場所を調べている。
「えーっとぉ、ここからバスで移動だから・・・・・・発車時刻は・・・」
一人、ベンチで黙々と調べている
「よかった、10分ぐらいで乗り継ぎができるみたい。」
少女はどうやら、『ご主人様』の家に行くために乗るバスを待つ時間が、意外と短かったようだ。
「うーん、どうしようかなぁ?待ち時間は10分ぐらいだから、ちょっとだけ街を見て回ろうかな?」
少女はその大きな胸を揺らし、大きな鞄を持ったまま、駅の周辺を見て回った。
しかし、見て回るといってもそんなに時間があるわけでもなく、わずか1、2店を見ただけで、バスのくる時間となった。
少女は改めて来たバスの行き先を確認して乗り込んだ。
バスの中の運転手からのアナウンスが入ってきた。
「えー、皆様、本日は当バスをご利用いただきまして、誠にありがとうございます・・・
このバスは○○駅発、○○町経由、○○公園前行きです、まもなく発車いたします。」
アナウンスのあとドアが閉まり、バスは発車した。
車内には彼女のほかに何人かしか、乗っていなかった、彼女は窓際に座り、外の景色を見ていた。
窓の外に広がる景色は、街の中心部の賑わいから、郊外へと離れていく。
長く緩やかな丘が広がり、その丘一面に広がる畑、
そして、春の花が咲き誇る花畑へと続き、のどかな、田園風景が広がっていた。
少女は一人窓に広がる、景色を見ながらこれから向かう、『ご主人様』のことを考え始めていた。
「・・・(ご主人様はこんなところに住んでるんだ・・・)・・・」
「・・・(・・・素敵なところだなぁ・・・)」
「・・・(ご主人様・・・)」
「・・・(ご主人様は、私のこと覚えてるかな?・・・)」
「・・・(私・・・あのときに約束したこと・・・ずっと忘れないで・・・果たしたいから・・・ここまできたの・・・)」
「・・・(もうすぐ・・・もうすぐ、会えるんだ・・・ご主人様・・・)」
少女は高鳴る胸を抑えながら、降りる停留所を待った。
「次は、「庭園館前」、「庭園館前」です。お降りの方は押しボタンでお知らせ願います。
お降りの際は、お足元にお気をつけて、お忘れ物の無いようにお願いします。」
少女は、押しボタンを押し、バスを降りた。
「(バス停から、すぐ近くなんだ・・・)」
バス停から降りると、少し、はなれたところに一軒の家が見えた。
「(あれが・・・ご主人様の家・・・)」
少女はその家のほうへと歩いていった。
緩やかな丘陵の上にある建物の周りには美しい庭園が見える、この家が「庭園館」と呼ばれるのがよくわかる。
そして、少女は建物の方を見た。
まるでおとぎ話の世界のようなヨーロッパ風の庭園がある。
手入れの行き届いた庭の植物、ガーデニングとは違う涼しげな庭園、
そしてその少し小さい庭園の中に西洋風のお屋敷が建っていた…
そう…それが、これから彼女が過ごす事になる『ご主人様』の家なのだ。
そして…『ご主人様』の家の玄関の前に立った…そして呼び鈴を鳴らした。
一方… その呼び鈴の音に一人の男性が自室の書斎から出て玄関へ向かった…
ガチャッ! 扉を開けてその男性も少女もお互いはじめて対面することになる。
「やあ!いらっしゃい!君がこの前に電話で言ってた、新しいメイドだね?」
「は!はい!それは、私のことです!」
少女は頬を少し赤らめて元気いっぱいに話している、少し緊張しているようだ。
「まあ、こんなところではなんでしょうから、中に入ってロビーでお話をしましょう」
そう言って男性は少女を、家の中に入れた。
中は西洋風の内装でやや豪華さがあるが素朴さもあるという
ちょっと不思議な感覚が漂うそれでいて落ち着いた雰因気の中で、
玄関を入ってホールを抜け、廊下を少し入ったところでロビーに着く、やけに静かで人の気配は、全く無い。
「さ、そこに座って。」
「は、はい!失礼します!」
ゆったりとしたソファに二人はテーブルを真ん中に向かい合って座った。
「いやあ、ほんとに助かったよ。この家には僕一人しかいなくてね。」
「えっ、こ…こんな大きい家にお一人で!?」
「ああ、そうなんだよ。それで一人には慣れているんだけど、さすがにね。」
男性は少し笑いながら話す。
「あのぉ…それで私は何をすればいいんですか。」
「うーん…とりあえず、家事全般かな?最近仕事が忙しくなってね、連載の依頼が多いんだ。」
「連載?作家か、何かなされているんですか?」
「ああ、地方雑誌のエッセイの連載なんかやテレビやラジオの脚本なんかもね。」
「うわあ…そうなんですか!」
「うん、それじゃあ今日からよろしく頼むよ。」
男性は立ち上がる。
「はい!解かりました!」
少女も立ち上がり、ぺこっと可愛らしくお辞儀をする。
「そうだ、名前を聞いてなかったね。」
「あっ!そうでした!すみません。」
少女は、またぺこっと頭を下げた。
「私の名前はコルネです、今年で15歳です。」
「コルネちゃんか…よろしく。僕の名前は京極 元(はじめ)だ、よろしく。」
少女は頬をほんのりと赤く染めて、またしてもぺこっと可愛らしくお辞儀をした。
当然そのたびに彼女の胸が、ゆれるのは言うまでも無い…だがご主人様は、至って平気なようである。
「は!はい!よろしくお願いします!ご主人様♪」
少女はにっこりと笑顔でこう言った… こうして…僕の前に一人のかわいいメイドがやって来た…
それと同時にこの出会いが、後の僕にとって、運命の岐路が訪れること、
そしてその娘が、僕にとってかけがえの無い存在になることなど、知る由も無かったのだ…
ましてや、人間と犬娘との壁を完全に越えた関係が芽生えることなど… 今の僕には考えられないことだった…
つづく(多分)