ミリアム・ザ・ストーリー
中世ヨーロッパに似て非なる世界。
そこ では法神・アグナ=マイヤを絶対とする「アグマヤ教」を国教とする国家・ヴィスト ムが他国を侵略する事で栄えていた。
敗戦した国家は容赦なくアグマヤ教に改 宗させられ、従わぬ者達は処刑されるのが日常と化していた。
ヴィストム が信奉するアグマヤ教の教えの中には、憲法にもなっているものも当然あり、その中 に〈婚前の乙女は1年間、奉仕の精神を知る為に、教会で生活しなければならない〉
と言うものがあった。
その為、一般家庭から貴族の娘は皆、15歳を迎えた頃 から教会でシスターとして生活するのだった。
しかし、貴族の娘達の場合、あ くまでしきたりで教会暮らしをしているだけであり、余程の大事ではない限りは、教 会関係者から黙認された形で好き勝手に生活しているのが現状であった。
ヴィストム内でアグマヤ教の総本山〈聖(セント)・ファメガ大聖堂〉。
ここでは前述した通り、数多くの乙女達がシスターとして生活する他、戦災孤児とな り身寄りを失った者達は奉公人として、そろって生活する場所である。
その中 に存在する小さな礼拝堂、そこに一人の女性が静かに黙祷をしていた。
スイカ のように豊満な乳房に、成熟した魅力に満ちた肢体を持った女性は教会の住民だと思 われるが、普通のカソック服とは違い、頭巾(ウインプル)から黒髪を出し、右手には
鈴が付いた腕輪を装着していた。
「……あ、ミリアム!。ここに居たのね」
「あら、おはようございます、シスター・ユーニィ」
その内、礼拝堂内に年 若いシスター・ユーニィが入ると、先客が居る事に気付き声を掛けたので、呼ばれた 女性・ミリアムはすぐに声のした方に顔を向けた。
「ミリアム、今日も熱心に お祈りしてたの?」
「えぇ、元々異教の民である私が、今のこのような生活を 送れるのは、全てアグナ=マイヤ様のお陰ですからね」
ユーニィの問い掛けに、 ミリアムは柔和な笑みを浮かべて返した。
「ふぅん、ミリアムって本当に信仰 に厚いね。そう言えば、司祭様と修道女長(エルダー)が、後で来てって言ってた よ」
「分かりました、すぐに参りますね」
その話を聞く内、ユーニィは 伝言を思い出しミリアムに伝えると、彼女は先程と同じ笑みを浮かべて返し、すぐさ ま礼拝堂を出て行った。
ミリアム……彼女は以前ヴィストムの侵略戦争の際、戦 災孤児となった女性である。
だが、彼女はそんな境遇の持ち主でありながら、誰 よりも教会の為に尽力し、その為に教会関係者のみならず、一般家庭出身のシスター 達とも仲の良い、信頼に厚い人物であった。
だが、貴族院出のシスター達から 見ると、鼻持ちならない存在だったのは言う間でもなかった……。
ここは大 聖堂の敷地内に存在する寄宿舎の1つで、貴族の娘達が生活するエミューズ寮。
「……イライラしますわ」
ヴィストム最大の旧家・バルトリー家の令嬢・ジル ヴェスタが静かに不満を漏らした。
「どうしました、ジルヴェスタ様?」
取り巻きの1人が、彼女の発言を聞き、真意を尋ねたら、
「ミリアムに決 まっているでしょう」
ジルヴェスタは苦虫を噛み潰した顔をして話し始め た。
「たかが戦災孤児……しかも旧は異教徒の分際で、バルトリー家令嬢である わたくしよりも、司祭様やエルダーの覚えが良いって事実にですわ」
「そうで すね」
「確かに、腹立たしい事実です」
ジルヴェスタの言葉に、取り巻 きの多くが賛同した。
「大体、この大聖堂を中心に、アグマヤ教の建物の大半 の費用は、わたくし達貴族の寄付で成り立っていると言うのに……。どうして、司祭様 はわたくし達ではなく、あんな女に肩入れすると言うのです……」
取り巻きの言 葉を聞いて、気を良くしたジルヴェスタは、尚もミリアムに対する不満を口にし た。
「しかも、最近就任して来た牧師様も、彼女の事が気に入っているみたい ですし……」
余程深いものがあるのか、ジルヴェスタは尚も不満を漏らしてい た……だが、
「……そうよ、そうですわ!」
「どうしました、ジルヴェスタ 様!?」
急なジルヴェスタの言葉に、取り巻きの1人が驚いた風に尋ねる と、
「だったら、あの女が自発的にここを出るようにすれば良いんですのよ。 貴女達、こちらに来て……」
ジルヴェスタは底意地悪そうな笑みを浮かべて言う や、取り巻き達を近くに寄るように呼び掛けたので、取り巻き達は言われるがまま近 付いた。
そして、ジルヴェスタがその計画を話し出したのだった……。
ある日のファメガ大聖堂。
ここでの食事は教会関係者、貴族院出身者、 一般家庭出身者、戦災孤児と4つの区画に分けられた所で食事を取るようにしてい た。
そして、戦災孤児の食堂でミリアムは食事を終え、皆が使った食器を1人 洗っていると、
「……ミリアムさん、いらっしゃるかしら?」
「あら?、 シスター・ジルヴェスタ。珍しいですね、ここに来られるなんて」
不意にジル ヴェスタが声を掛けて来たので、ミリアムは驚きつつもすぐに応え、彼女の許に向 かった。
「どうかしましたか、シスター・ジルヴェスタ?」
ジルヴェス タの許に到着したミリアムは、何時も通り柔和な笑みを浮かべて尋ねたら、ジルヴェ スタは早口でこう切り出した。
「ちょっとわたくし達の食堂に来てもらえま す?。話はそれからですの」
「はい?」
まさかの発言に、ミリアムは笑 みを崩す事はなかったものの、多少面喰った……だが
「とにかく来て下さ い!」
ジルヴェスタは強めの語気で言うや、1人足早に向かおうとしたの で、
「わ、分かりました!、すぐ参ります」
ミリアムは驚きつつも、す ぐさま貴族院の食堂へと向かうのだった。
「一体、私に何の御用でしょう か?」
貴族院用の食堂に到着したミリアムは、当然の疑問を口にしたら、
「これを見て下さいな」
ジルヴェスタは食堂の調理場を指差しつつ答えたの で、ミリアムはそこに目を向けた。
すると、そこには軽く10人分はあろう料 理があった。
「実はわたくし達、もう食べられなくて、料理を残しそうです の。ですけど、アグマヤ教の戒律では、食物を残してはいけません……。申し訳ありま せんけど、この料理全て、食べていただけません?」
「……えぇっ……!?」
ジルヴェスタのまさかの頼みに、ミリアムは困惑の声を上げた。
しか し、
「自分達で食べなくてはならないのは分かっています!。でも、どうして も食べられないんですの!。お願いしますわ、法神アグナ=マイヤの誓いを守る為に も……!?」
ジルヴェスタは涙ぐむような声で、必死に頼み込んだ。
(貴 族院の方々の立場を考えれば……確かに戒律を守らせないとなりません……。でも、私の お腹が……)
ジルヴェスタの言葉を聞き、ミリアムは大いに悩んだ……が、
「……分かりました、この料理全て、わたしが頂きます」
ミリアムはついに決心 した。
ここでジルヴェスタの頼みを断れば、彼女達貴族が大きな恥をかかす事 になるからだ。
それに、戦災孤児である自分が、貴族である彼女の頼みを断れ る立場でない事もあったからだ。
「それは良かったですわ!。ではこれでお食 事を……」
ミリアムの快諾を聞いたジルヴェスタは嬉しそうに言うと、何時の間 ミリアムが使用しているスプーンを料理の近くに置いた。
「食器の方は洗って 置いて下さい。それでは」
ジルヴェスタはそう言うや否や、足早に食堂へと出 るのだった。
ジルヴェスタが居なくなったのを確認したミリアムは、
「……法神アグナ=マイヤよ、貴方様の施し、ありがたく頂きます」
そう言っ て、目の前の10人分の食事を食べ始めるのだった。
1人黙々と食事するミリ アム……だが、そんな彼女を1人の人物が見ていたのだった
数週間後、ミリ アムは礼拝堂で日課の黙祷をしていると、
「ねぇ、ミリアム」
「あら、 シスター・ユーニィ?。どうかしました?」
不意にユーニィに呼ばれた為、ミ リアムは急いで彼女に視線を向けると、
ユーニィはミリアムをまじまじと見た後 こう言った。
「ミリアム……又太ったんじゃない?」
「……やっぱり、そう 思いますか?」
ユーニィの手厳しい一言に、ミリアムは僅かに苦笑混じり答え るしかなかった。
何故なら、ミリアムの体は彼女が指摘するように、太ましく なっていたからだ。
大きかった乳房はより大きくなっていたが、それよりもお 腹が大きくなり、すでのカソック服に張り付いていた。
しかもお尻や太ももに も肉が付き、スカート丈が短く見える程になっていた。
「あのさミリアム、ジ ルヴェスタの頼み、そろそろ断ったらどうなの?」
「そ、そう言う訳にはいき ませんよ、シスター・ユーニィ」
ユーニィの言葉を聞いたミリアムは、先程の 苦笑を一変させ、真面目な顔つきで返した。
だが、ユーニィは引く事なくこう 言った。
「でも、明らかにおかしいよ。ここ数週間、食事を残すなんてさ」
「それは……そうかもしれませんけど……」
ユーニィのその発言に、ついにミリ アムも口を閉じるしかなかった。
あの日以来、ミリアムはジルヴェスタ達貴族 の娘達の食事を、連日連夜肩代わりして食べていた(しかも、日に日に残す量が増え ているのだ)。
それによって、ミリアムの体には当然のように脂肪が付き、今 日の体形になってしまったのだ。
ミリアムを心配するユーニィ……が、その直 後、
「……ミリアムさん、いらっしゃいますか?」
「……えっ!?……」
「!?……はい、シスター・ジルヴェスタ」
ユーニィの背後からジルヴェスタ が現れ、それに思わずユーニィは驚き、ミリアムは僅かに戦慄した顔になりつつも、 何時もの柔和な笑みを浮かべて応えた。
「ちょうど良かったですわ。……分かり ますわね?」
「もちろんです、すぐに向かいます」
「よろしい、それで は失礼」
ミリアムが従順に応えたのを見て、ジルヴェスタは笑みを浮かべて 去っていた。
「……ミリアム!。本当にもうやめなよ!」
ジルヴェスタが 居なくなったのを見て、ユーニィが懸命に止めようとしたが、
「シスター・ジ ルヴェスタを困らせる事は出来ません」
ミリアムは頑なにそれを断り、1人食 堂へと向かった。
(……本当に大丈夫かな、ミリアム……)
どう見ても無理 をしているミリアムを止める事が出来なかったユーニィは、唯見守る事しか出来な かった。
数ヵ月後のファメガ大聖堂、今日は大聖堂に入る者達全員 で、法神アグナ=マイヤに黙祷を捧げる日だった。
そこには年老いた司祭、良 い感じに年を重ねた数人のエルダー、階級を問わない全てのシスターに、戦災孤児達 が一堂に居た。
「偉大なる法神アグナ=マイヤよ。我等が生きていけるのは、 全ては親愛なる御身の御心のお陰です……」
その中で、一の線の細い美少年が詠 唱の音頭を取っていた。
彼の名はハル・バナード、数ヶ月前にここファメガ大 聖堂に赴任した牧師(つまり、れっきとした成人なのだ)である。
「我等は生 きとし生ける間、貴方の事を常に忘れぬよう……」
ハルの詠唱により、厳かな空 気になる堂内……だが、
ミシミシ……バギッ!!
突如、大聖堂内 に、不審な音が木霊した。
しかし、ハルは別段驚く事はなく詠唱を続けてい た。
それと同時に、エルダーの1人を静かに立ち上がると、音のした方へと歩 き出した。
そして、エルダーはそこに到着するや、顎で出入り口をさしたの で、そこに居た人物はそそくさとその場から離れて行った
(ひどい!……)
エルダーのその態度を見て、ユーニィは不快感に襲われ、
(フフン、良い姿 ですわ)
ジルヴェスタは笑みを浮かべていた。
「……エルダー・ファ ギシュにあのような態度を取られるなんて……」
外に出た人物……それはミリアム だったが、そこにはかつての面影はなかった。
今のミリアムはもはや「肉塊」 と形容出来るほど肥満体になっていた。
顔は首がなくなる寸前にまで脂肪が付 き、乳房は片方だけで顔の3倍近くまで育ち、お尻もパンパンに張り、太ももは下手 な木の幹よりも太くなっていた。
そして、何より目についたのはお腹であり、 例えようがない程の大きさとなっていた。
又、元々あった身長も栄養過多によ り、更に高くなり、下手な成人男性を圧倒する背丈と化していた。
何故ミリア ムがこうなったか、それは今日の集団黙祷になる三日前まで、ジルヴェスタ達の食事 を肩代わりし続けたからだ。
それにより、ミリアムの体にどんどんと肉が付 き、このような体にならざるを得なかったのだ(尚、先程の音の正体は、ミリアムの 重さに耐え切れなくなった椅子の破壊音である)。
数分後、集団黙祷が終わ り、中に居た者達が次々と出て行った。
その様子を端で静かに見るミリアム に、
「大丈夫、ミリアム?」
「あっ、シスター・ユーニィ」
突然 声を掛けられたミリアムは驚きながらも、声のした方彼に顔を向けると、そこには ユーニィが居た。
そして、ユーニィはミリアムと視線が合った瞬間、
「ミリアム、ファギシュばぁは無視した方が良いよ。結局、あの人は貴族のワンコな んだから」
ミリアムに退室命令を下したエルダーの悪口を口にした。
「だ、ダメですよシスター・ユーニィ!?。エルダーの事を悪く言っては……」
予想外の一言に驚くミリアム。
だが、ユーニィの口は止まらなかった。
「あのね、エルダー・ケイやエルダー・サマン、エルダー・キュレイナならともか く、ファギシュばぁは一般家庭のシスターや、戦災孤児から嫌われているんだよ。そ
んな人、悪口なら出てもほめる事は出来ないよ」
「ですから、シスター・ユー ニィ!」
壁に耳あり障子に目ありの言葉を恐れ、ユーニィの口を閉じる為、声 を荒げるミリアム。
が、次の瞬間、
「あっ!?……」
不意にユー ニィは間抜けな声を上げ、口を閉じた。
それを見たミリアムは疑問に思い、同 じように彼女の向く方に顔を向けると、
「!?……」
ミリアムは思わず息 を飲んだ。
そこには何と、ハルが立っていたからだ。
ミリアムがハルに 視線を向けた瞬間、
タッタッタッタッタ……
ハルは急ぎ足で2人 から離れたのだった。
「……見られたくはなかった」
ハルの前に醜態をさ らした事に、ミリアムは大きく落胆した。
「えぇっと……ごめんね」
落胆 するミリアムを見て、ユーニィは申し訳なくなり、謝る事しか出来なかった。
謝るユーニィに、
「……以後、軽々しく声を荒げないで下さい、シスター・ユー ニィ」
ミリアムは静かな調子で注意すると、自分の部屋へと向かうのだっ た。
同日の深夜、ミリアムは大聖堂から少し離れた場所に来てい た。
(ダメ……お腹が……お腹が……)
数ヶ月に及ぶ暴飲暴食により、ミリア ムの食事量はケタ違いに増えてしまい、もはや普通の量では満腹になれなくなってし まった。
この3日間はどうにか我慢出来ていたのだが、4日目となる今日にな り、ミリアムはついに空腹で眠る事ができなってしまった。
その為ミリアムは 空腹を満たすべく、食糧が貯蔵されている倉庫に来たのだった……。
(これがバ レれば、良くて破門、悪ければ処刑は免れない……)
倉庫に辿り着いたミリアム は罪悪感に囚われるも、己の食欲に負け、倉庫を開けようとした……その直後、
「……誰ですか?」
「えっ……!?」
不意に声が響くと同時に、ミリアムは 弱い明かりにその身をさらされた。
ミリアムの目に映った者……それはハルだっ た。
「ミリアムさん……もしかして食糧を?……」
状況から推測したハルは ミリアムに尋ねると、
「……申し訳ありません!!」
ミリアムはただ頭を 下げる事しか出来なかった。
「ひとまず、ぼくの部屋に来てもらいます」
それを見たハルは容赦なく言うと、ミリアムの腕を掴んだので、ミリアムは抵抗す る事なく連行された。
数分後、
「さぁ、入って下さい」
ハルの 部屋に連行されたミリアムは、彼に促されるままに部屋へと入った。
(あぁ、つ いにここから追い出されるなんて……アグナ=マイヤよ、申し訳ありません……)
状 況が状況なだけに、ミリアムは己の未来に絶望する事しかできなかった……だが、次の 瞬間、
「……ミリアムさん、ミリアムさん!!」
「は、はい……って!?」
ハルに強い調子で呼ばれた為、ミリアムは意識を戻し、彼の方に視線を向けた時、驚 くべき物が目に映った。
ハルが居るテーブルの前には、無数の料理が並んでいた のだ。
「あ、あのハル牧師……」
眼前の状況が理解出来ず、ミリアムは思わず 裏返った声で尋ねたら、
「さぁ、遠慮せず食べて下さい。おかわりは幾らでもあ りますからね」
ハルは笑顔でそう答えると、テーブルの近くにある寸胴鍋を持っ てきた。
「ハル……牧師……」
思わぬ展開になり、ミリアムは涙ぐんだ声になっ た時、
グゥー……
盛大に腹の音が鳴ってしまった。
「……」
恥 ずかしさで赤くなるミリアムだが、ハルは気にする事なく次にフライパンを持って現 れたので、ミリアムはひとまず空腹を満たす事にしたのだった。
十数分後、 大量にあった料理は、ミリアムのお腹に全て収まったのだった。
「ふぅ……満ぞ…… ケプッ。あっ!?」
思わずゲップをしてしまい、恥ずかしさで顔を赤らめるミリ アムだが、
「落ち着きましたか?、ミリアムさん?」
ハルは咎める事はな く、むしろ本当に嬉しそうな笑みを浮かべていた。
申し訳なさから顔を赤らめて いたミリアムだったが、不意に真面目な顔にして、ハルにこう切り出した。
「そ の……ファメガ大聖堂の最後の晩餐を、こんな豪勢にして下さって、ありがとうござい ます、ハル牧師」
「……えっ!?」
その発言を聞いたハルは、思わず面喰った 声を上げたので、
「だって、そうではありませんか?。本来皆で平等に頂く食糧 を、私は1人でこっそり食べようとしたのですから……」
と、ミリアムは自分の罪 状を語り出した。
「……あぁ、確かにそうですね」
「ですから私、人に見つけ られた場合、どのような罰を甘んじて受ける覚悟はあります。ハル牧師、私にどのよ うな罰を……」
それを聞いたハルは納得したので、ミリアムは自分に下る罰を尋ね た時、ハルは意外な言葉を口にした。
「……貴女に下るであろう罰を、1つだけ免 除する方法があります」
「……えっ!?。……それは何ですか!?、ハル牧 師!?」
まさかの言葉に思わず硬直したものの、ミリアムはすぐさま我に返る と、身を乗り出すようにしてハルにその方法を尋ねた。
ミリアムの懸命な問い掛 け……だが、
「そ、それはですね……」
ハルは急に顔を背け、何故か口ごもって しまった。
「ハル牧師!、どうか私に教えて下さい!」
しかし、ミリアムは もう切羽が詰まっている為か、更に身を乗り出して再度尋ねた……その瞬間、
ミシミシ……バギッ!
「あっ!?……」
「えぇっ!?……」
ミリアムの荷 重に耐えられなくなったテーブルが、大聖堂のイスのように音を立てて崩れた為、2 人は驚きの声を漏らし倒れ込み、
モギュウゥゥゥゥゥ……
その結果、 小さなハルは肉塊にも等しいミリアムの下敷きになってしまった。
「あぁっ!?。ハル牧師!、大丈夫ですか!?」
ハルを下敷きにしてしまった事 に気付き、ミリアムを急いでハルから離れる為に起き上がった。
「大丈夫ですか ハル牧師!?。お怪我はありませんか!?」
ハルの体を思い、ミリアムはそう言 葉を掛けた瞬間、
「……もうだめだ」
……ムギュムギュムギュッ!
「くはぁっ!?」
ハルが呟くように言うと同時、ミリアムの乳房に両手を伸ば し、欲望のままにそれを揉み出した為、ミリアムは思わず嬌声を上げた。
「は…… ハル牧師?……」
全身を襲う快楽に飲み込まれないよう、必死に堪えるミリアム だったが、
「……貴女が……こんな体だからいけないんだ」
ハルが漏らす風に言 うや否や、ズボンを脱ぎ捨て、屹立したハル自身が姿を見せた。
「えっ!?、ハ ル牧師!?……」
まさかの展開に驚くしかないミリアムだが、
「ごめんなさ い!」
ハルは言うと同時に自分自身を、ミリアムの巨大な乳房に挟ませた。
その直後、
「あぁぁぁぁっ!……」
ハルは即座に絶頂してしまい、白いものが ミリアムの顔に掛かってしまった。
「あの、ハル牧……んっ!?」
尚も彼に呼 び掛けようとするミリアムだったが、ハルのいきなりのキスに思考が止まってしまっ た。
ハルはパイズリを終えると、次に自分自身をミリアムの乳首に挿入し た。
「えっ!!、くふぅぅぅぅぅんっ!?」
予想外の攻めに、ミリアムは止 まっていた思考を強制的に起こされ、自身を襲う快楽に呑まれ始めた。
「もう…… だめ……」
ハルのその言葉と同時に、ミリアムの乳首から白いものが溢れ出し た。
「ハァ……ハァ……」
立て続けに続くハルの攻めに、ミリアムは息も絶え絶 えな状態になると、
「これが……最後です」
ハルはそう言うと、自分自身をミ リアムのヘソへと突き刺した。
「あはぁぁぁぁぁんっ!、ハル!、もっと、もっ と突いて!?」
快楽に呑まれたミリアムは、本能のままハルにそうねだったの で、ハルも本能のままに腰を動かし続けた。
「ミリアムさん!……」
「ハ ル!……」
互いの絶頂が近付き、2人は互いの名を呼び合った時、
「う くっ!?……」
「あひゃあぁぁぁぁぁんっ!!……」
2人はともに絶頂に至るの だった。
3週間後のファメガ大聖堂。
司祭を中心とした関係者は数 多くのシスター達に指示を下していた。
何故なら、今日は結婚式があるから だ。
働くシスターの中には無論、ジルヴェスタを中心とした貴族院の娘達も居る のだが……。
「何でこうなるんですの……!?」
ジルヴェスタは明らかに忌々し そうな顔で、グチをこぼしていたら、
「あぁ!、ここに居たんだ、シスター・ジ ルヴェスタ!」
「何ですシスター・ユーニィ!?。わたくしに用があっ て!?」
突然背後からユーニィに呼ばれ、ジルヴェスタは不快感を露にした調子 で応えたら、
「いやぁ、恋のキューピッドにお礼をと思って……」
ユーニィは 僅かに意地悪そうな笑みを浮かべて言った。
「……お礼を言うひまがあったら、早 く仕事を終わらせなさい!」
その言葉に、ジルヴェスタは声を張り上げて言った ので、
「はいはぁい、じゃぁねシスター・ジルヴェスタ!」
ユーニィは笑顔 で応えて、その場から離れるのだった。
「……ジルヴェスタ様……」
取り巻きの 1人が、彼女を気遣い声を掛けたのだが、
「わたくし達も早く終わらせますわ よ!」
ジルヴェスタが先程と同じ口調で言うと、足早に司祭の許へ向かったの で、取り巻き達も急いで彼女の後を追うのだった。
それから1時間後、式場 には招待客が席に着き、エルダーとシスターはそろって讃美歌を歌っていた。
そ れから、司祭が厳かな空気を放って場内に現れると、祭壇に立って今日結婚する新た な夫婦を呼び掛けた。
「それでは新郎新婦、前へ出て来て下さい」
司祭の呼 び掛けと同時に、式場の扉が開かれ、新郎新婦が姿を現した。
(2人とも、すご くお似合いだよ)
讃美歌を歌いながら、ユーニィは姿を見せた新郎新婦を見てに こやかに思った。
場内に現れた新たな夫婦……それは何とミリアムとハルだったか らだ。
(まさか……このような幸運を得られるなんて……)
ヴァージンロードを ハルと歩みながら、ミリアムは3週間前の事を思い出していた。
「……ハ ル牧師、私の罪が免除される方法とは?……」
行為を終えたミリアムは、普段通り の口調でハルに再び尋ねたら、
「……ぼくと結婚する事です」
ハルは顔を真っ 赤にしながらそう言い切った。
「……えぇぇぇぇぇっ!?」
まさかのハルの答 えに、ミリアムは声を大にして叫んでしまった。
「そ、そんなご冗談を……。私の ような……ブタ以上に太ってしまった女など……貴方には……」
ハルのプロポーズに、 ミリアムは自虐的な言葉とともに断ろうとしたが、
「ミリアムさん!」
「似 合わな……んっ!?」
ハルの2回目のキスに、その口を閉じられてしまった。
その数秒後、僅かに糸を引くようにして、2人は唇を離した。
そして、
「ミ リアムさん、信じてもらえないかもしれませんが、ぼくは本気です!。ここに赴任し た時から、貴女に一目ぼれしてしまいました」
キスを終えたハルは、ミリアムへ の思いを告白した。
「ハル……牧師……!」
ハルの告白に、ミリアムは嬉しさか ら思わず涙ぐんだ……その直後、
「それに……」
「それに?……」
ハルの告白 に続きがある事に気付き、ミリアムはハルの顔を見ながら、次の言葉を待っていた ら、
「変かもしれませんけど……貴女が太るごとに、この思いも大きくなっていっ たんです」
「う、うそ……!?」
ハルの以外な告白に、ミリアムも驚きの言葉 を漏らした。
先程のハルの発言で、微妙になる2人の空気……だが、
「……こん なぼくで良ければ……結婚してくれますか?」
ハルは自身が撒いた空気に負ける事 なく、再びプロポーズの言葉を口にしたので、
「……貴方さえ良ければ、私はどこ までも付いて行きます」
ミリアムは笑顔でハルの思いを受け入れるのだっ た。
「新婦ハル、貴方は新婦ミリアムを永久に愛する事を誓います か?」
「誓います」
司祭とハルのやり取りを耳にしたミリアムは、すぐ に意識を取り戻し、司祭の方に目を向けたら、
「新婦ミリアム、貴女は新郎ハ ルを、永久に愛する事を誓いますか?」
「誓います」
タイミング良く司 祭が問い掛けたので、ミリアムは凛とした声で宣誓した。
ミリアムとハルの宣 誓を聞き、
「それではご両人、宣誓の証として接吻を……」
司祭は厳かな 空気のままに、2人に誓いの行為を促した。
その言葉と同時に、
「愛し ています、ハル」
「ぼくもです。ただ……」
「分かっています。結婚した からには、もっともっと太りますからね」
「良かった」
ミリアムとハルさ さやき声で言い合うと、ミリアムは躊躇する事なくハルを抱き上げた後、誓いのキス をするのだった。