SF書評 2001

J・K・ローリング: ハリー・ポッターと賢者の石

2002年1月現在で全世界1億部突破だそうである。内容はファンタジーだし、SFオンラインでも特集を組んでいるくらいなので、ここに感想を書いても良いでしょう。4巻を読んだ時点の感想なので、読んだ当初自分でどんな感想を持ったかは不明な点あり。だが、SFオンラインの書評は自分の意見をかなり代弁してくれている。1巻から巻を追う毎に段階的にハマっていくあたりとか。

で、1巻は後から見ると予告編みたいなものである。しかし、物語(一冊分)全体の構成とか、魔法がらみのガジェットやキャラクターのマンガチックな描写とかの特徴が印象づけられる。なかでも一番印象強いのは、ミステリーとしてのオチの意外さだった。オチまでは子供向け感が強いのだが、最後に来て「おや!?」と思わせるものがある。それから異常なまでの読みやすさ。平易な文章もさることながら、一章毎に短いエピソードを積み重ねていく構成がキレの良さを生んでいるかも。

ジェームズ・ティプトリー・Jr: 星々の荒野から

短編集。1999か2000に刊行されたSFの中では非常に評価が高かったので何となく 買ってみたのだが、最初の数編が何だかやたら読みにくくて、半年くらい寝かせ ていた。後半の収録作は、自分にとって読みにくいことに変わりはないのだが、 グイグイと引きつけるものがあり一気に読めた。女性が書いたSFらしくないとい う評、わかるような気もした。特に「スロー・ミュージック」「」と表題作あた りが心に残る。弟文庫からティプトリーの残りの著作を勝手に借りてきたので、 一気に読んでみようと思う。のだが、相変わらず読みにくい。。。

テッド・チャン: あなたの人生の物語

今月のSFマガジンに載ってた中編。イーガン×フィニィ的と勝手に指定。人文系ハードSFとも。オールタイムベスト短編に加入決定。

ニール・スチーブンソン: スノウ・クラッシュ

ポスト・サイバーパンクの代表作だって。アスキーからハードカバーで出たときは買おうかどうしようか悩んだ末、見送った。

菊池誠の解説にも書いてあることだけど、冒頭のピザ宅配シーンのスピード感とか、ハッカー版サイバースペースとか、お笑いのセンスとか、全体に良い感じである。ギブソン的かつラッカー的要素を微妙に含んでいると思った。しかもウイルスの大ネタはキチンとSFしてるし。そういえば、この大ネタは『ら○ん』を思い出しましたが。。。

ただ、大ネタのバラシが中盤で続くくだりは、少しかったるく感じた。必要な記述なんだとは思うけど、他のパートがブッ飛ばしてるだけに、よけいかったるく感じたのかもしれない。

あと、主人公のヒロ、ヒロインのY.T.もそこそこキャラが立っているけど、悪役のレイヴンの方が目立っててイカれてて良い。

今後ハヤカワ文庫から新作が出てくるようなので、期待したい。

ロバート・J・ソウヤー: フラッシュ・フォワード

ソウヤー最新作。フラッシュ・バックの逆で、全人類が素粒子実験の失敗により20年先の未来を見てしまうという。。。本作と言い『ターミナル・エクスペリメント』と言い、ソウヤーって、面白いけど何も残らない、とまでは言わないが、大ネタのSF的考察がヌルい感じ。本作は物理ネタだけに気になって仕方がない。最後に無理矢理壮大なSF的ビジョンが入るのも一つの特徴か。

ロバート・J・ソウヤー: ターミナル・エクスペリメント

ソフトウェア化された人間もの。やっぱりソウヤーは読みやすい。それにミステリーっぽい。をを、これも解説は瀬名秀明か。ただ、コンピュータ関係の描写に古さが否めず。まだ出版されて10年も経たないのに。やはり中途半端に新しいのが良くないのかも。本作と新作(1/26発売)を以てソウヤーは全部抑えた。次作が楽しみな作家のBest5入りは堅い。

ブルース・スターリング: タクラマカン

短編集。既読が2作。初読は、表題作は良かったけど、他はSF色が薄くイマイチ。表題作を含む「チャタヌーガ」3部作は、なんだかギブソンっぽい。

アイザック・アシモフ: ファウンデーション・シリーズ

『ファウンデーションの彼方へ』に出てきたヘイム訛りって静岡弁じゃん。訳者が静岡大卒業だからか。

次は『ファウンデーションと地球』。