BEAST BIND〜魔獣の絆〜

ルールブック表紙

ジャンル:ロマンホラーRPG
著者:井上純弌ほか
発行:小学館
定価:3400円(税別)

「BEAST BIND〜魔獣の絆〜」は、1999年夏に小学館より発売されたTRPGです。発売当時、日本のRPGシーンはまさに冬の時代でした。そんな中「日本最後のRPG」というセンセーショナルな謳い文句で登場したのが、このゲームです。

プレイヤーは「半魔」と呼ばれる存在〜人ではない魔物だが、人の中で生きていくことを選択した者達〜を演じます。
魔物は極限まで肥大した己のエゴにより、人間の及ばない能力を発揮します。しかし、エゴのままに行動するだけでは、キャラクターはいずれ奈落の底へ落ち、プレイヤーの手を離れてしまいます。エゴが高ければ高いほど能力値は高くなるが、その分人間性は失われ、奈落に近づく...それを食い止めるのは、身近な人達との絆だけなのです。

基本システムは分かり易い下方ロール(2D6して能力値以下が出れば判定成功)で、ジャッジ自体は簡単に進行することが出来ます。ただこのゲームのキモである「エゴ」と「絆」の扱いが、なかなかに難儀です。
手慣れたプレイヤーなら、上手く活用して素晴らしいセッションを容易に組み上げられますが、ロールプレイに慣れていない初心者は、自分から「エゴ」と「絆」を活用できずにダイスを振ってるだけになったり、設定した「エゴ」と「絆」にこだわり過ぎて行動が阻害されたりしがちになります。
また、GMは各プレイヤーの「エゴ」と「絆」に留意してマメにネタを振ってやる必要があり、多人数のプレイでは捌ききれない可能性も出てきます。プレイヤーの人数は3〜4人が妥当でしょう。

とにかく「カッコいい」セッションの組めるゲームです。「エゴ」と「絆」のシステムが上手く回ったときに生まれる物語のダイナミズムは、流石に井上純弌氏のゲームだなといったところです。

現在エキスパンションとして、追加ルールとリプレイの掲載された
「BEAST BIND〜魔獣の絆〜MILLENIUM」が発売されています。