シナリオフック第一夜
「道化師は夕闇に踊る」

プレイヤー適正人数
2〜4人(最適は3人)

概要
PCの住むアパートに2人の女性が引越してくる。PCは彼女等の通う専門学校の学園祭に誘われるが、その学校では学生の行方不明が頻発していた。そして学園祭が近づくにつれ、彼女等の不審な行動が目に付くようになるが…

シナリオの舞台
メインの舞台となるのはPCの住む新宿某所のアパートと、NPCの通うデザイナー専門学校。PCがこの学校の学生であっても良いでしょう。PCのうち最低でも1人はアパートの住人であることが望ましいです。(全員同じアパートの住人なら導入が楽)

SA
全員共通「身近な人々を守る(15)」

導入
シナリオはPCの住むアパートに、2人の新しい住人が引越してくる所から始まります。物腰穏やかでおとなしそうな末次 綾子と、ボーイッシュで快活な湯舟 六月。2人は同じ専門学校に通うルームメイトで、以前住んでいたアパートが取り壊しになるため、急遽このアパートに引っ越すことになったとの事。PCに引越しの挨拶を済ませた2人は、PCを自分たちの通う専門学校の学園祭に誘います。学園祭は1週間後の土曜から翌日曜にかけて行われる予定。
この最初のコンタクトで絆を結んでおくと、後々の展開がスムーズになるでしょう。

NPC
末次 綾子
(すえつぐ あやこ)/ノウンマン・女性・19歳
デザイナー専門学校のグラフィックデザイン科1年生。物腰穏やかで優しい性格。少々内気な所があるが、根が暗いというほどではありません。学業の方もなかなか優秀。クラスメイト兼ルームメイトの湯舟 六月と一緒に、PCの住むアパートに引越してきます。実はクラス内で一部学生から猛烈なイジメを受けており、その事を六月にも相談できずにいます。そのため潜在的に自分の学校を嫌悪するようになっています。引越しの数日前に彼女の前に魔物(地獄の道化師)が現われ、強引に「学校を壊滅させる」契約を結ばされます。その後校内で行方不明事件が頻発するようになり激しく後悔しますが、魔物の手下に監視されなんの行動も起せずにいるのが現状です。

能力値:【知性】6 【感情】4 【肉体】3
血と肉:4
技:
【知性】<情報>2 <職能:デザイナー>2
【感情】<売買>2 <交渉>1<芸術:CG>2
【肉体】−
絆:
【知性】−
【感情】テオゴーチェ(恐怖)6 湯舟 六月(友情)6
【肉体】テオゴーチェ(契約)10
経験コスト:330

湯舟 六月(ゆふね じゅん)/半魔(自動人形)・女性・?歳
デザイナー専門学校のグラフィックデザイン科1年生。ボーイッシュで快活な性格。クラスメイト兼ルームメイトの末次 綾子と一緒に、PCの住むアパートに引越してきます。正体は自動人形なのですが、当然綾子にもそのことは隠しています。学園祭が近づくにつれ綾子の様子がおかしくなり、また校内で行方不明事件が頻発するようになり、綾子の身に良くないことが起こりつつあるのに勘付いています。綾子は何も言ってくれないので、独りで事件の調査をこっそり行っています。基本的にPCと敵対するようなことはしませんが、事件の現場にたびたび現われる彼女にPCは疑いの目を向けるかもしれません。

かりそめの姿
能力値:【知性】5 【感情】6 【肉体】4
血と肉:22  人間性:47
イニシアティヴ修正:なし
技:
【知性】<情報>2 <運転:二輪>1 <職能:デザイナー>2
【感情】<交渉>2 <芸術:CG>2
【肉体】<回避>1
絆:
【知性】−
【感情】末次綾子(友情)7
【肉体】自分を造った者(家族)8

真の姿
能力値:【知性】7 【感情】2 【肉体】10
武器:真鍮の拳(2D6/ショートレンジ/通) レールガン(2D6/ロングレンジ/通)
防具:真鍮の身体(2+修正値)
業:
【知性】<人形との会話>1 <時計仕掛けの魔法>1 <戦乙女のたしなみ>1 <人形あやつり>1
【感情】<人間回路>1
【肉体】<真鍮の腕>2 <黒鉄の機身>1 <怪力>1
【特殊】《オーバーヒート》1 《たった一つの冴えたやり方》1 《アンドロイド》2
エゴ:
【知性】不要な機械と思われたくない(恐怖)7
【感情】人間になりたい(願望)2
【肉体】生命を奪いたくない(恐怖)10
経験コスト:595

”屋根裏のクラウン”テオゴーチェ/地獄の道化師・男性・?歳
末次 綾子達の通う専門学校校舎の屋上に潜む地獄の道化師。自分の学校に嫌悪を抱く綾子の心につけ込み、強引に「学校を壊滅させる」契約を結ばせます。そして学園祭準備中の学生を次々さらっては殺害し、魂を捕らえています。やりくちは学園祭当日まで様々な事件を少しづつ起して不安を煽り、当日に爆発させて楽しむというものです。事件を起したきっかけは綾子との契約ですが、自分さえ楽しめればそんなものはどうでもいいと考えています。綾子に対して<黒い約束>と《魂の契約書》を行使しています。(約束の内容は「契約のことは他言無用」)また《魂の袋》に10人分の魂を蓄えているので、武器、防具にその分の修正が加わります。

能力値:【知性】8 【感情】12 【肉体】10
血と肉:38  人間性:36
武器:仕込み杖(2D6/ショートレンジ/通) びっくり玉(2D6/ロングレンジ/夢)
防具:なし(0+修正値)
イニシアティヴ修正:なし
業:
【知性】<びっくり鉄砲>2 <愚者の黄金>1 <ポルターガイスト召喚>1
【感情】<変わり身の術>2 <腹話術>1 <黒い約束>1
【肉体】<仕込み杖>2 <エネルギー吸収>2
【特殊】《すり替え手品》1 《人間ポンプ》1 《魂の袋》2 《ビックリ箱》2 《魂の契約書》1
エゴ:
【知性】目立ちたい(欲求)8
【感情】イタズラをしたい(欲求)8 契約者で遊ぶ(趣味)4
【肉体】なにかを壊したい(欲求)10
絆:
【知性】−
【感情】−
【肉体】末次綾子(契約)5
経験コスト:540

専門学校生
末次 綾子や湯舟 六月の通う専門学校の学生です。学園祭の準備に追われて忙しいですが、頻発する行方不明事件に大きな不安を抱いている者がほとんどです。基本的にイグノラントとして扱います。

警察官
専門学校で起きる行方不明事件を調査するために、校内には警察関係者が頻繁に出入りしています。情報が得られるかもしれないし、逆にPCの行動が阻害されるかもしれません。基本的にクラードとして扱います。

能力値:【感情】5
血と肉:4
武器:警棒(1/ショートレンジ/通)拳銃(1D6/ロングレンジ/通)
技:【感情】<会話>2 <心理>2 *警棒と拳銃を使うときはワザなしで【感情】で判定する。
イニシアティヴ値:7固定

ポルターガイスト
テオゴーチェが召喚するクラード。綾子を監視したり、PCを攻撃したりします。

能力値:【感情】7
血と肉:<ポルターガイスト召喚>の達成値による。
武器:辺りの物品(2D6/ショートレンジ/通)*ロングレンジにも対応しています。
業:【感情】<騒霊>2(上記の武器を扱うための業です)
イニシアティヴ値:8固定

途中の展開
@
<情報>を使用したりして綾子達の学校のことを調べると、ここ数日の間学生の失踪が頻発していることが分かります。

A
PCが綾子達の学校に興味を抱いたり、在校生だったりして学校へ出向いた場合、授業中には変わったことは起こりません。学生が失踪するのは必ず放課後の学園祭準備中です。PCがいる所で失踪事件を起しても良いでしょう。失踪の状況は「周囲の人間が目を離したわずかな間に姿が消える」というものです。

B夜間など人気のないときに校舎に入りこむと、ポルターガイストの襲撃を受けます。これを撃退すると、魔物(PC)が干渉してきていることがテオゴーチェに気付かれ、綾子に対する監視が強化されます。

C夜間アパートにいるPCは、綾子と六月が言い争う声を聞きます。六月が失踪事件を理由に学園祭の中止を学校側に申し出ようと言い、綾子は頑張ってきたのだから続行すべきだと主張します。二人の部屋を訪ねて問いただすと、六月が校内で学生の失踪が頻発していることを教えてくれます。六月は学園祭が近づいてくるにつれ事件が頻発することから、当日はもっととんでもないことが起きると考えています。綾子はテオゴーチェに学園祭の開催に全力を尽くすように脅されています。

D末次 綾子は学園祭当日までに以下のような不審な行動をとります。
・校舎の屋上で目撃されます。屋上から学校全体を見下ろし、思いつめたような表情です。
・展示物の準備中に、時折何かに怯えたような表情を見せることがあります。
・上記のような様子を見せるとき、必ずその付近にポルターガイストがいます。

E湯舟 六月は学園祭当日までに以下のような不審な行動をとります。
・展示物の準備の合間をぬって、人気のないところを見てまわっています。人間の姿のまま<人形との会話><時計仕掛けの魔法><人形あやつり>などを駆使して、事件を調査しているのです。( 《アンドロイド》を持っているため暴走はしません)このとき正体を見破る試みが出来ます。
・学生が失踪したという現場で見かけられます。
・PCが調査活動をする現場に現われ、これ以上首を突っ込まない方がいいと、やんわり忠告します。
・PCがポルターガイストの襲撃を受けた直後に、その現場に姿を現わしたりします。PCに気付かない振りをして立ち去ろうとしますが、声をかけ問い詰めると「忘れ物を取りに来ただけ」などとトボケます。

F湯舟 六月の正体をPCが看破すると、彼女は姿をくらまそうとします。アパートを引き払い、テオゴーチェとの決戦のときまで姿を見せません。しかし事情を話して協力を申し出れば快く承知してくれます。どちらの場合もテオゴーチェとの決戦には登場し、テオゴーチェと戦うPCに加勢してくれます。主にクラードの相手をさせると良いでしょう。

Gワザを使う、誠意を持って説得するなどして綾子からテオゴーチェの事を聞き出すと、誰もいないときを見計らって綾子がテオゴーチェにさらわれます。(<黒い約束>の効果です)テオゴーチェは目立ちたがりですので、誘拐現場にメッセージを残していきます。

決着
最終的にはテオゴーチェとの直接対決となるでしょう。

@学園祭当日までに原因を突き止めた場合。
人知れぬ場所でテオゴーチェとの対決となります。校舎の屋上が適当でしょう。綾子がさらわれていた場合、 《人間ポンプ》でテオゴーチェが飲みこんでいます。PCがテオゴーチェの目前で変身するとPCの正体に気付きますし、六月が参戦すると六月の正体も知ってしまいます。既にノウンマンなので精神崩壊はしませんが、「裏切られた」とは思うかもしれません。

A学園祭当日までに原因を突き止められなかった場合。
学園祭は予定通り開催され、たくさんの人が集まります。そこへポルターガイストが出現したり、テオゴーチェの仕掛けた<びっくり箱>が発動したりして、死傷者が多勢出る大パニックになります。テオゴーチェは職員室内に中の人間を皆殺しにして居座り、校舎内各所に仕掛けたデジカメで惨劇の様子を鑑賞しご満悦です。綾子がさらわれていた場合、 テオゴーチェの傍らに縛られて転がされています。彼女は自分の引き起こした惨劇に激しいショックを受けます。反応表Bでショックの度合いを測るのが良いでしょう。運が悪いと精神崩壊表送りです。また@同様、PCや六月の正体に気付く可能性も非常に高いです。

*いずれの場合もテオゴーチェにとって綾子は「大事な観客」なので、最後まで直接綾子に手を出すような事はしません。

結末
テオゴーチェを倒すことが出来れば、後はエンディングです。途中経過次第で様々な結末が考えられます。

末次 綾子の場合
決着@助けてくれたPCには感謝します。ただ六月に「裏切られた」と思った場合、反応表の結果次第ではかつてのような友情は戻ってこないでしょう。テオゴーチェが死亡したことにより、彼との絆が全てエゴに変換されます。(六月に裏切られたと思った場合、彼女との絆も)結果、綾子の心には大きなトラウマが残ります。心の傷を癒すため、綾子は実家に帰って静養することになり、アパートを引き払います。デザイナーになる夢は捨ててはいないので、心の傷が癒えたら戻ってくるかもしれません。(絆がエゴに変換されるとき「愛」で打ち消すことが出来れば、その時期は早まることでしょう)

決着A基本的には決着@と同じですが、精神崩壊の可能性が有ります。(それもかなり高いと言えます)そうなってしまえば、綾子がアパートや学校に帰ってくることはありません。

湯舟 六月の場合
綾子の命が助かったならPCに深く感謝します。しかし綾子が精神崩壊したり、「裏切られた」と思って反応表で良くない結果が出た場合、彼女は傷心のままアパートや学校を去ります。もしPCが上手く取り計らって正体がばれずに済んだり、反応表の結果が「適応」だったりした場合はアパートや学校に残って綾子の帰りを待つことになります。

備考
序盤はNPCが好印象を受けるよう演出し、中盤は一転疑惑が高まるよう導くといい感じですね。最終決戦では敵NPCはなるだけ憎憎しげに演出してあげてください。慇懃無礼に振舞うと雰囲気が出ます。

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