国体の精華

古事記には、大国主神が天津神の御子へ国譲りをする話がありまして、御子を送り出す時
天照大御神が
「豊葦原の千秋長五百秋の水穂国は、我が御子正勝吾勝勝速日天忍穂耳命の
知らす国なり」
(とよあしはらのちあきながいほあきのみずほのくには、我が子まさかつ
あかつかちはやひあめのおしほみみのみことの治める国なのです。)と仰せになりました
が、この天照大御神の「御言」(みこと)にこそ、我が国の国体(国柄)の在るべき姿が
はっきりと示されているのです。と同時に、そこに日本の文明力の発露を読み取ることが
できます。
「知(し)らす」とは古語で、世を治める。という意味ですが、もう一つ同じ読
みで「領(しら)す」という語もあります。「領す」も治める。という意味ではありますが
こちらは領有して治めるという意味があり、古事記では、この2つの語を厳格に区別して
います。すなわち、天皇(すめらみこと)に関しては、必ず「知らす」を用いています。

大国主神の国譲りを受けて、天忍穂耳命の御子である天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能
邇邇芸命(あめにきしくににきしあまつひこひこほのににぎのみこと)が降臨する際に、
天照大御神は、三種の神器、すなわち
八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)と天叢雲剣(あ
めのむらくものつるぎ)と
八咫鏡(やたのかがみ)を邇邇芸命に授けました。
玉の徳は仁を示し、剣の徳は勇を示し、鏡の徳は知を示す。とされていますが、鏡の徳の
知こそが、国を善く「知らす」為には最も大切なものなのです。
鏡とは万物を映し出すものであって、そこには人間の喜びも悲しみも感情の全てが余す所
なく映し込まれてしまいます。
天皇は鏡に映った国民の心を知り、それを我が事として受
け止めて、国民の幸福と国家の安寧と神の御加護を祈り、祭祀を行なってきました。

このように天皇は国民に対して、絶対的な権力者として君臨したことなど、ただの一度も
ありませんでした。つまり、我が国は、かつての欧州における絶対主義国家とは異なり、
天皇が「領す」国などでは決してなかったのです。
ところが大東亜戦争後、GHQは天皇を「独裁者」呼ばわりして、天皇制の廃止を画策し
ましたが、しかし天皇制は、これっぽっちも揺るぎませんでした。
天皇と国民の間には、二発の原子爆弾を以てしても破壊することのできなかった、強固な
信頼と絆がありました。
これこそが、我が国体の精華の顕われであります。

今年は、我が国を取り巻く環境が、さらに過酷なものになると予想されます。
皇祖天照大御神の御霊(みたま)を引き継ぎし天皇の
大御心(おおみこころ)の中に生き
る私たち全ての日本人は、古(いにしへ)より受け継がれてきた神道の精神に立ち返り、
国体の精華と日本の文明力を発揮して、清く明るく直く正しい道を歩み、力を合わせて、
日本を蘇らせるべく、努力を続けなければなりません。04/01/05

※国体の精華 教育勅語をご覧下さい。
※大御心   天照大御神の神勅を体現した、天皇の私なき心。
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