神道講話

あきらめてはいけません

現在の日本の姿は、暗黒の海の底に沈み行く戦艦大和の最期と重なって見える。
民族の夢も希望も、そして、誇りさえもが、海の藻屑と消えようとしている。と、言ったら
言い過ぎでしょうか?すみません。ちょっと言い過ぎました。
バブル崩壊後、日本の政治、経済、社会、その何れもが、かつてないほどの危機的状況に
直面しています。
いっこうに収まらない政局の混乱、企業の業績低迷、リストラ、倒産、失業、自殺者の激増、
人心の荒廃、青少年による凶悪犯罪の多発、公共の秩序と国民の生命財産を保護すべき警察
官の不祥事と犯罪、カルトの横行等々。
人々の将来に対する不安が高まっていく中で、私たち日本人は、どのようにして生きていけ
ばいいのでしょうか?

山には山の神が、海には海の神と言うように、私たちの祖先は常に身近な目の前の自然の中
に神の存在を信じ、畏れ、敬い、日々を生きてきました。人々は豊作を祈願し、収穫に感謝
し、家族の健康と、ムラの繁栄と平和を神に祈りました。神道は、このような人間の営みの
中から、自然発生的に生まれたものと思われます。
かつての日本人は、神と共に泣き、笑い、己が神によって生かされていることを悟っていま
した。勤勉であり、誠実であり、礼節を重んじたその生活態度は尊敬に値するものでした。
このような、伝統的な日本人の生き方の中に、先ほどの問いの答えが見つかると思われます。
現代に生きる日本人を取り巻く環境は、日々厳しさを増してきています。
失業してしまった方、闘病中の方、家庭に問題を抱えている方等々、自分自身の人生に絶望
しかけている方々は、それをありのままの事実として受け止め、あわてず騒がず、神を崇め、
神の摂理(みはかり)を尊び、不遇逆境に耐えて一層奮励努力するということが、今最も必要
なことなのです。そんなに簡単なことではない。いまさら遅い。そうおっしゃる方もあるか
と思います。しかし、自分の境遇を嘆き、悲しみ、そこになすすべもなく立ち尽くしている
のならば、状況は何も変わることはありません。

ひとが幸福であるとか、不幸であるということは、比較の対象があって初めて言えることで
あり、神道においては、そのような比較は何の意味も持ち得ないもの、と理解しています。
それは、ただただ、ねたみや嫉みを生むだけのものなのです。
人間は自己の可能性を信じ、自分の人生を、あるがままに生きることの強さ、賢さ、美しさ
を知るべきです。
朝のこない夜はありません。太陽、すなわちアマテラスオオミカミは今日
も私たち日本人に、恵みの光を降り注いでおられます。今まさに、大東亜戦争の敗戦から、
奇跡の復興を成し遂げた、私たち日本人に新たな試練の時が訪れたのです。

恐れることはありません。今こそ、神道の精神に立ち返り、民族の自信と誇りを取り戻す事
ができるのならば、日本は必ず蘇ると信じています。
私は神職としましては、まだまだ未熟者ですが、これから、神道の世界を皆さんに、ご紹介
していきたいと思います。今後とも宜しくお願い申し上げます。00/04/09

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