一神教は大変だ

今回は、いかにも宗教サイトらしい話をしたいと思います。
宗教には大別して「一神教」と「多神教」の二つの種類があります。
一神教とは、唯一つの神だけを認め、信仰の対象とする宗教であり、多神教は、複数の神々
や精霊などを崇め信じる宗教であり、諸神は個体的性格を持ち、おのおの役割を分担してい
るとされています。(講談社日本語大辞典より)
一神教には、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教があり、多神教には、神道、仏教、儒教、
道教、ヒンドゥー教、ゾロアスター教などがあります。
ところで、現在、一段と緊迫の度合いを深めている、イラク情勢はそもそも、イスラム教と
キリスト教という、お互い永遠に認め合うことのできない、一神教同士の対立が根底にある
と言えなくもありません。

湾岸戦争当時、米軍はサウジアラビアに進駐しましたが、アラビア半島はイスラム教の聖地
であり、このことがイスラム原理主義者の怒りの導火線に火をつけてしまったのです。
イスラム原理主義運動の中でも、最も過激な組織である、アル・カーイダを率いるオサマ・
ビンラディンは、その後、米国に対し数々のテロによる闘争を開始しました。その中でも、
最悪のものが9・11であります。この卑劣なテロをきっかけとして、これまたキリスト教
原理主義者であるブッシュ大統領のイスラム原理主義者の征伐が始まったわけです。
原理主義とは、わかりやすく言えば、教義を厳格に解釈することであります。
米国のキリスト教原理主義者は、極めて保守的であり、人工妊娠中絶や銃規制に反対し、
ブッシュ大統領の重要な支持基盤でもあります。
ブッシュ大統領は、アフガニスタンのタリバン政権にオサマ・ビンラディンの引渡しを要求
しましたが、タリバン側はこれを拒否したため、ほとんど一方的な米軍の猛攻によって、
あえなく崩壊してしまいました。
次に、まだ怒りの収まらないキリスト教原理主義者が目をつけたのがイラクであります。
石油の利権が目的という噂もありますが、イラクのフセイン大統領は、アル・カーイダを
支援し、大量破壊兵器の製造をおこなっているとして、アメリカ議会は対イラク攻撃の容認
を決議しましたが、アル・カーイダとのつながりを示す明確な証拠は示されないし、国連に
よる大量破壊兵器の査察も、実際進んでるんだか、いないんだかさっぱりわからない状態で
そろそろ米国の堪忍袋の緒が切れかかっているというのが現状です。
米国は、イラクとの戦争にはとりあえず圧勝するでしょうが、イスラム原理主義との悲劇的
な闘争は果てしなく続くことでしょう。合衆国市民は、常にテロにおびえた生活を送ること
になるのです。狂信的とも言える原理主義が招いた地獄であります。

思えば、キリスト教もイスラム教も過去から現在に至るまで、一貫して異教徒を排撃し続け
てきました。
一神教を信仰する者は、未知なるものを恐れ、異質なものを素直に受け入れる
ことができないのです。その教義は人間の生活のすべてを支配し、世界のあらゆる常識も、
道徳も、倫理も超越するものなのです。

これに対し、神道も含めたアジア的多神教は、お互いを尊重しあい多様の中で生きることを
いとわないのです。
私たち日本人は、キリスト教徒でもないのに、教会で結婚式を挙げ、クリスマスを祝い、
神社へ初詣に行き、毎朝仏壇に手を合わせるのです。節操がないと言ってしまえばそれまで
ですが、いいじゃありませんか。我が国は、神々が集う場所なのですから。03/03/12
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