未破裂脳動脈瘤

未破裂脳動脈瘤に遭遇した際、治療するかしないか、するとした開頭クリッピング術をするか血管内手術でコイル塞栓術をするかいつも迷うところである。患者に対する説明には十分な根拠が重要で、一番重要なのは未破裂動脈瘤が破れるかどうかである。

今回、Stroke 2010;41:1969-77に日本での結果が掲載された。SUAVe(サーブ)研究といい、全国12の国立医療センターで446540ケの未破裂脳動脈瘤を経過観察した。

そのうち、5mm未満の未破裂脳動脈瘤374448ケ(多発例は124例 33.2%)を半年ごとに平均41ケ月観察した。

破裂してくも膜下出血となったのは71.9%で、破裂危険性は年間0.54であった。内訳として、動脈瘤が1ケの場合は年0.34%、多発例は年0.95%である。

破裂した7例中6名が女性で、4例は多発、5例が高血圧加療中であった。

観察中に動脈瘤の増大は認められなかったが、破裂7例中4例で破裂時は動脈瘤が増大していた。

破裂の予測因子の多変量解析では、50歳未満のハザード比は5.23、直径4mm以上5.86、高血圧</span>7.93、多発例が4.87とそれぞれが有意な予測因子であった。

10年後の破裂危険性が単発では3%、多発では9%であり、手術の危険率を約4%とすると、多発例では積極的な治療が勧められると。