表 相州住秋(以下切)秋廣
    裏 □□□年正□□


  土屋押型 下編所載
  日本刀工辞典古刀編 所載


  古刀
(南北朝期 貞治頃 約650年前)

財)日本美術刀剣保存協会 
  第十三回重要刀剣指定




長さ37.0cm 反り0.45cm 目釘穴4個
元幅3.1cm


 銘切れながら相州秋広作の脇差である。そして裏に紀年銘があったものであるが、それは恐らく「貞治□年正月日」というようなものでなかったろうかと思われる。それは秋広は常には、銘文は「相州住秋広」と五字銘にきり、そして裏は「応安三」、「永和二」などという風に、「年□月日」というきり方をしない。ところが貞治年紀のものに限って、「貞治二年八月日」などと一般の刀工の作と同じように銘したものが間々現存する。この脇差も文字の配列から見て、それと推せられるものである。上の出来は秋広の作としては比較的に地がねが冴えて綺麗であり、皆焼の刃文も典型的である。(重要刀剣等図譜より抜粋)

 平造り、三ッ棟、元先の身幅広く、寸延び、重ね薄く、反り浅くつく典型的な南北朝、延文貞治期の短刀姿。鍛えは板目に小杢目交り、きらびやかな地沸が厚くつき、刃文は乱れに小互の目、飛焼交り皆焼風となり、葉入り、沸よくつく。帽子、表乱れ込み、先小丸ごころに返り、裏は小丸ごころとなる。茎(なかご)は磨上げられ、表に「相州住秋」と「廣」の字の一部、裏には「年」の字と「正」の字と思われるものが残る。
 一見して相伝上工の作であることが瞭然とした優品。秋広の在銘は指定品を含めて僅かに二十九振りしか無く、大変希少であり、加えて本作の冴え冴えとした地がね、焼き刃は同工作中白眉とも評せる出来です。登録も昭和二十六年と出自の良さが窺え、重要刀剣指定時期が第十三回と早期であることも、その抜きん出た出来栄えを示しています。