兼常

     上作 業物





  古刀(天正頃 約440年前)

財)日本美術刀剣保存協会 
  保存刀剣鑑定書附 







長さ28.8p 反り0.2p 目釘穴 2個
元幅2.6p  先幅--p  元重0.55p

 兼常は室町期に数代おり、新刀期にまで及びしました。 美濃の国においては兼元、兼定に次ぐ美濃国を代表する名工です。中国、明の時代に芽元儀(1594年〜1640年?)により編纂された兵法書『武備志』の「軍資乗」の中には「兼常と号する者もつとも嘉なり」としるされています。 新刀期に活躍した相模守政常も兼常後代にあたり、初銘を「兼常」と切ったことからも、長きにわたり繁栄したことが窺えます。

 姿、平造り、棒樋掻き流し。 板目に杢目交じり、よく練れ、肌立ちごころに地沸つく。 刃文、互の目刃文を基調に角張る刃、片落ち風の刃交じり、細かな砂流し盛んに入り、小足・葉働く。 帽子、表乱れて地蔵風となり、裏小丸となる。 茎、生ぶ、僅かに区を送り、桧垣鑢。 


 『武備志』は兵学書として高い評価を受けており、日本のみならず西洋にも伝わったため、当時の国際的に最も知名度が高かったのは兼常だったのかもしれません。 天正頃の八代兼常に至っては関鍛冶総領事の役職に就き、織田信長より鍛冶諸役免許の朱印状を受領していることなど、関鍛冶の中心的刀工であったようです。 
 本作はよく練れた板目に地沸厚くつき、備前兼光を彷彿させる片落ち風の冴えた互の目刃を焼き、その知名度にも劣らぬ佳作。 美濃の伝法が随処によく表されており、まさに典型作と言える良品です。