無銘 二字国俊
     
(附)正保五年本阿弥光温折紙
     
   最上作 大業物



 古刀
(鎌倉中期頃 約700年前)

財)日本美術刀剣保存協会 
  第十五回特別重要刀剣指定






長さ69.6cm 反り 2.3cm 目釘穴 2個 
元幅3.1cm  先幅2.15cm 元幅0.7cm



 国俊は来国行の子と伝え、現存する作には、銘字に「来」の字を冠しない所謂二字国俊と、「来国俊」三字銘に切るものとがああり、両者の関係については古来、同人説・別人説の両説が唱えられ未だ決着を見ない。 二字国俊には唯一弘安元年の年紀作(太刀)があり、重要文化財指定の正和四年七十五歳と行年の添えられた来国俊の太刀から逆算して三十八歳に当たることから、年代的には同人であっても無理はないところである。 しかしながら両者の作品を通観するに、二字国俊は身幅がたっぷりとして猪首鋒の豪壮な姿に、丁子の目立つ賑やかな乱れを焼き、片や来国俊は細身の優しい姿に直刃か直刃に小模様の乱れを交える穏やかな刃文を焼くものが多く、作風の上で区分することは一応可能である。
 この刀は大磨上無銘で、正保五年本阿弥光温が二字国俊と極めて代金子二十枚の折紙を付しているが、正に古極めの通りに鑑せられる出来であり、地刃の沸づきや刃中の働きなど見事で格調が高く、しかも肉置がすぐれて健体である。
(特別重要刀剣図譜解説より抜粋)


 姿、身幅広めにして鎬高く、反り深く、輪反り状を呈し、中切先猪首風となる。 鍛え、小板目よく練れ、地沸厚くつき、細かな地景入り、鉄(かね)よく冴えて強く、平肉もたっぷりと残る。 刃文、広直刃調に浅くのたれて、小丁子・小互の目を交え、足・葉よく入り、匂深く、小沸よくつき輝き、砂流し・金筋かかり、匂口明るく冴える。 帽子、直ぐに小丸に短く返り、先掃きかけごころとなる。 

 本阿弥家の現存する折紙の中で最も古く、且つ確かなものは十代光室による折紙とされています。十一代光温、十二代光常、十三代光忠までの折紙は甚だ信頼が厚く、それらは『古折紙』と呼ばれ、珍重されてきました。 特に時代の上がる光温極めに対する信用には抜群のものがあり、古来より光温の折紙が附したるものには無銘なれど在銘に等しき価値があるとされてきたものです。 本作もその光温の厳格な鑑刀に適う典型の作風、傑出した出来栄え、驚愕の保存状態を呈しおり、二字国俊としては白眉と称するに過言ではない優品と言えるでしょう。