薩州住正真 
   文化十三年子二月






新々刀(1816年)
財)日本美術刀剣保存協会 
  特別保存刀剣鑑定書






長さ71.8cm 反り2.0cm 目釘穴1個
元幅3.3cm  先幅2.35cm 重ね0.8p

 正真(まさざね)は薩摩藩工伊地知家の当主である伯耆守正幸に入門し、師風をよく受け継ぎ、伊地知家の屋台骨を支えました。正真についての資料は乏しく、その人となりについては推測の域を出ませんが、その技量はすこぶる高かかったようで、遺された在銘作によって師正幸に伯仲する腕前であったことがよく分かります。

 姿、鎬造り、庵棟、身幅広く、反り深くつき、中切先延びごころとなる。 鍛え、板目に杢目交じり、総体によくつみ、ハバキ元流れごころつよく、地沸厚くつき、処々にやや荒めの沸交え、地景よく入る。 刃文、直刃調、処々浅くのたれて、互の目・小互の目・尖り刃等交じり、足・葉入り、匂深く、地沸厚くつき、処々荒めの沸交じえ、金筋・砂流しかかり、沸筋入り、二重刃がかり、湯走り交える。 帽子、焼深く、乱れ込み、大丸風に返る。 茎、生ぶ、先入山形、鑢目浅い勝手下り、目釘孔一。

 作風が師正幸に高いレベルで近似していることや制作時期からみて正幸晩年の代打ちに携わっていたことは容易に推測でき、恐らく正真の刀工としてのピークと師匠正幸の晩年(文政元年1818年八十六歳にて没す)が重なり、正真自身の作を多く残すことが出来なかったのではないかと思われます。 師風をよく受け継ぎ、また師同様年紀に「支」を入れ「日」の字をきり入れていません。 
 鍛えは小板目肌がよく練れ、殊に優れており、焼刃の匂口はいかにも深く、厚く沸づいて、砂流し・金筋・沸筋が刃中に絡むように働くなど、相州上工、郷義弘や井上真改あたりに範をとったと思われ、薩摩刀ならではの力強さと迫力が存分に示されています。 知名度は高くありませんが、薩摩刀を代表する名工伯耆守正幸に匹敵する傑作です。