荘司筑前大掾大慶藤直胤
  文政五年仲秋


  最上作





  新々刀 (1822年)
財)日本美術刀剣保存協会 
  特別保存刀剣鑑定書
  特別貴重刀装具認定書







長さ70.6cm 反り2.0cm 目釘穴1個
元幅3.0cm  先幅2.0cm 元重0.8cm
 


 直胤は安永七年に出羽の国山形に生まれました。 本名を庄司蓑兵衛と称し、号を大慶としました。 寛政十一年頃には江戸に出て、同郷の先輩で復古刀論者の水心子正秀の門を敲き、その才覚を思う存分に発揮していきます。 のちに師と同様に秋元但馬守家に仕えました。 文政四年頃に筑前大掾を受領し、嘉永元年には上洛し美濃介に転じます。 安政四年七十九歳で亡くなりますが、その作刀期間は半世紀の長きにわたります。

 形状、鎬造、庵棟、重ね厚く、反り深く、中切先。 鍛え、板目に杢目交じり、地沸厚くつき、黒く太めの地景入り、わずかに映りたつ。 刃文、互の目に角がかった刃・丁子・尖りごころの刃などが交じり、処々逆がかり、小足・長足よく入り、匂勝ちに小沸つき、細かに砂流しかかり、一面に金筋はいり、飛び焼かかり、刃中明るく冴える。 帽子、乱れ込んで深めに返る。 彫物、表に櫃彫りの剣巻龍、裏に「南無妙法蓮華経」の文字彫り。 茎、生ぶ、先刃上がりの栗尻、鑢目化粧筋違い、目釘孔一。

 本作は大慶直胤44歳の作。 丁子乱れの備前伝に於いては新刀随一と称された直胤ですが、本作はそれに得意の相州伝を加味した大変珍しい意欲作で、他に類を見ない。 表裏の彫りは本庄義胤の手によるものと思われ、いかにも緻密で上手である。