無銘 来国俊

   最上作
   石州津和野藩亀井家伝来品





  古刀 (鎌倉後期 約700年前)
国指定 重要美術品認定物件
昭和17年5月30日認定
認定時所有者 亀井茲常伯爵
       (亀井家第十四代当主)







長さ70.4p 反り1.9cm 目釘穴4個
元幅2.5cm  先幅1.75cm 元重0.7cm弱
 

 山城国を代表する来国俊は国行の子と伝えられ、鎌倉期の山城のみならず当時の日本刀全体を牽引した名工中の名工です。 国俊の作品は古来より名家のお家道具として大変珍重されてきたもので、本作も石州津和野藩亀井家に家宝として伝来した品です。

 姿、鎬造り、庵棟、身幅重ね共に尋常、大磨上ながらも反り深く、輪反りつき、中切先ややつまる。 鍛え、小板目肌細かにつみ、地沸微塵に厚くつき、極めて精美であり、沸映り一面に立つ。 刃文、直刃調に浅くのたれ、小丁子と小互の目交り、小足・逆足・葉など頻りに入り、匂口締まりごころに小沸つき、明るく冴える。 帽子、小丸に返る。 茎、大磨上、先刃上がり栗尻、鑢目大筋違い、目釘穴二。 

 平肉が豊かにつき、抜群の保存状態を誇っており、それ故か匂口がよく締まり明るく冴え、来派の特徴でもある来肌(来派特有の弱い肌)も全く見当たりません。 磨り上げながらも均整の取れた美しい姿は格調高く、地鉄(じがね)も気品に満ちてこの上なく美しい。 同工中の傑作であることは疑う余地がなく、地鉄の美しさに於いては粟田口を含め他の追随を許さない感がある。 
 さすがは藩主家の家宝として伝わる品で、国指定重要美術品に認定されているのも道理である。 至極の出来栄えに、誰しもが生ぶ茎であれば国宝指定を受けていたのではと思うほどの逸品です。