無銘 伝志津
     
   最上作 大業物



 古刀
(南北朝期 約650年前)

財)日本美術刀剣保存協会 
  第三十五回重要刀剣指定






長さ25.95cm 反り 内反り 目釘穴 2中1埋 
元幅2.5cm 



 志津とは元来、美濃国の地名であるが、此の地に正宗の門人兼氏が来往して作刀したことから、地名をとって志津三郎兼氏と称している。したがって単に志津と呼んだ場合、兼氏を指すことになる。彼は正宗十哲の一人にかぞえられ、その中でも正宗に最も近い作風を示す刀工とされる。
 この短刀は地肌に地景が目立ち、刃文は砂流しかかって沸よくつき、金筋が入り、総じて相州伝上作、とりわけ志津と鑑せられるものである。地刃よく冴え、特に沸の冴えには抜群のものが認められる。
(重要刀剣等図譜解説より抜粋)

 平造り、三ッ棟、身幅やや広く、僅かに打ち反りのついた南北朝体配。 鍛え、板目に杢交じり、地沸つき、地景入る。 刃文、のたれに互の目交じり、砂流しかかって、沸よくつき、金筋入る。 帽子は浅くのたれ込み、先丸く、掃きかける。 表には梵字が二字と素剣、裏には梵字一字と護摩箸を刻む。 

 正宗に大変よく似た作を示しておることから正宗極めも考えられるところですが、重要文化財指定となっている稲葉志津に近似することから、志津極めは非常に納得のいく極めと言えるでしょう。 地刃共に相州上工の醍醐味が存分に顕示され、保存状態の良さからは名品として長きに渡り名家に伝わってきたことが容易に想像できます。 それは附属する金梨地塗家紋散蒔絵鞘合口拵からも窺え、三処物は徳川家の三ッ葉葵紋、鞘の高蒔絵は佐竹家の五本骨扇に月丸紋であることから佐竹家、徳川家に縁のあるものと思われます。