備前国長船住七郎衛門尉祐定作
  元亀二年八月吉日

  上作 業物





古刀(1571年)
財)日本美術刀剣保存協会 
  特別保存刀剣鑑定書






長さ70.0cm 反り2.0cm 目釘穴1個
元幅3.2cm強 先幅2.05cm 重ね0.8p弱

 元亀二年紀の七郎衛門尉祐定の作。 

 姿、鎬造り、庵棟、身幅広く、元先にやや幅差がつき、重ね厚く、反りやや深く、先反りあり、中切先に結ぶ。 鍛え、小板目肌よくつみ、地沸微塵につき、地景細かに入り、淡く乱れ映り立ち、かね冴える。 刃文、腰の開いた小互の目乱れを主調に小丁子、角張る互の目、尖りごころの刃など多種の刃が交じり、処々重花風、複式風に乱れ、物打ちにかけて焼き幅広く華やかに乱れ、足・葉よく入り、匂を敷いて小沸よくつき、細かな砂流しかかり、飛焼入り、匂口明るく冴える。 帽子、焼き深く小丸風に返る。 茎、生ぶ、刃上がりの浅い栗尻、鑢目浅い勝手下がり、目釘穴一。 

 焼き刃に丁子と互の目を主調として多種の刃が交じり、処々に重花風や複式風の乱れをあしらって刃取りに変化を持たせ、平地には乱れ映りがあがるなど常にも増して華麗な作風です。 足・葉や細かな砂流し等働きも豊富で、地刃共に明るく冴えている点、平肉がふくよかで極めて健全な点が特筆され、七郎衛門尉祐定の本領が遺憾なく発揮された傑作です。