肥前国陸奥守忠吉

   上々作 最上大業物







  新刀(江戸前期 約350年前)
公財)日本美術刀剣保存協会 
   特別保存刀剣鑑定書附








長さ45.3cm 反り1.0cm 目釘穴1個
元幅3.2cm 先幅2.35cm 元重0.7cm

 近江大掾忠廣を父に持つ新三郎は土佐守忠吉没後、土佐守家が本家である橋本家に忠吉銘を返上したことにより、忠吉銘を襲名し、ここに三代忠吉が誕生します。 万暦三年には陸奥大掾を、翌寛文元年には陸奥守を受領します。 しかし、貞享三年、父忠廣に先立つこと七年、五十歳という刀工として最も円熟した時に亡くなります。 作刀期間が比較的短く、また父近江大掾忠廣の代作に任じていたため作品が非常に少ないことでも知られています。 作風は祖父である初代忠吉に近く、直刃の名手として名を馳せており、また父忠広が得意とした丁子乱れにもその非凡な技量を発揮しています。

 姿、鎬造り、庵棟、身幅広く、中切先。 鍛え、小板目肌よくつみ、地沸微塵に厚くつき、小糠肌状の肌合いとなり、地景細かに入り、かね冴える。 刃文、丁子乱れに互の目交じり、腰高に焼き、足長く頻りに入り、葉を交え、匂深く、小沸よくつき、乱れの谷に沸よくつき、細かに砂流しかかり、匂口明るく冴える。 帽子、直ぐに小丸に返る。 茎、生ぶ、先栗尻、鑢目浅い勝手上がり、目釘孔一。
 
 焼が高く、刃取りに変化のある、華やかな丁子乱れを見せており、父近江大掾忠廣同様、匂深で小沸がよくつき、細かな砂流しがかかる様は父子共々丁子出来に共通する見所で、河内大掾正廣の作柄にも相通ずるものがある。
地刃共に明るく冴え、加えて力強さと迫力が感ぜられる一口で、陸奥守忠吉の本領が遺憾なく発揮され、同工作中ひと際出来が優れています。