銘 文政六歳癸未冬 眠龍子壽實

   上作





  新々刀 (文政六年 1823年)
財)日本美術刀剣保存協会 
 保存刀剣鑑定書







長さ66.1cm 反り1.6cm 目釘穴1個
元幅3.05cm 先幅1.6cm 元重0.75cm
 

 安永六年、因幡藩お抱え工である幕末の名人“浜部寿格”の子として生まれた寿実(としざね)は、幼少の頃より父の手ほどきを受け、初銘を「寿国」、寛政九年には「寿実」を銘し、眠龍子と号しました。 弘化三年十二月七十歳歿。
 
 鎬造り。 身幅広めにして、切先大きく、反りついた姿。
 鍛え、板目肌に小板目、小杢目交じり、流れごころ加わり、地沸微塵に厚くつき、細かな地景がよく入り、一面に淡く乱れ映りがあがる。 表には蓮台、護摩箸、梵字(カーン、不動明王)、そして裏には蓮台、護摩箸、梵字(マーン、文殊菩薩)、宝珠の彫り。 刃文、頭の揃った小互の目、匂勝ちに小沸つき、無数の小足入り、金筋かかる。 帽子、焼き詰め気味に小丸となる。  茎、入山形の生ぶ、化粧鑢、大筋違い。

 父親譲りの旺盛な探究心、優れた技術、そして面倒見の良さからその名は全国に轟き、多くの入門者がその門を敲いたと言われています。 門人の中には清麿の師として名高い河村寿隆も居り、清麿も少なからず影響を受けたと言えるでしょう。
 匂勝ちの互の目が揃い、総じて小模様になり、細かな金筋がかかる様子から南北朝期の備前吉井を写した物と思われます。 むら無く冴える刃、板目よく詰み、映りのあがる美しい地鉄は見事で、技量の高さのみならず、江戸仕込みの洒脱さが垣間見える秀作です。 幕末の金工拵附。