備前住左近将監恒次
 
 (天下五剣 数珠丸恒次同人)

  上々作





  古刀 (鎌倉時代後期 約700年前)
財)日本美術刀剣保存協会 
  第五十一回重要刀剣指定品









長さ72.3cm  反り2.5cm 目釘穴2個
元幅2.9cm 先幅1.85cm  元重0.6cm
 


 備前国左近将監恒次には、元亨二年紀の作例があり、その作刀時期が窺われるが、現存する有銘作は少ない。 同行の作風には、直刃本位のものと、互の目や丁子の目立つものの両様があるが、それぞれに共通するのは刃中がよく沸えるという点であり、細かに金筋が入るものもみられる。
 この太刀は、小板目に小杢目が交じり、総体に細かく肌立った鍛えに、地沸が微塵に厚くつき、地景よく入り、地斑映りが立ち、刃文は直刃調に小丁子・小互の目が交じり、小足さかんに入るなどの作柄で、刃中がよく沸え、金筋が細かにかかるなどの諸点に、上記の恒次の特色が窺われる。 鍛えが優れた一口で、刃文も古色をおびて匂口が明るく、地刃共に健体な左近将監恒次の秀作である。(重要刀剣等図譜より抜粋)

 姿、鎬造り、庵棟、元先の幅差ややひらき、腰反りが高く、先反りもつき、中切先に結んだ太刀姿。 鍛え、小板目肌に小杢目よくつみ、地沸微塵に厚くつき、細かな地景よく入り、地斑映り一面に立つ。 刃文、直刃を基調に小丁子・小互の目交じり、小足さかんに入り、小沸つき、処々荒めの沸を交え、金筋・砂流し細かにかかり、匂口明るく冴える。 帽子、直ぐに入り、先小丸ごころに返る。 茎、磨上、先浅い栗尻、鑢目勝手下り、目釘穴二、佩表第二目釘穴の傍ら棟寄りに茎先にかけて長銘がある。 

 恒次と言えば鎌倉初期に活躍した後鳥羽院番鍛冶の恒次が広くしられています。 そのためか天下五剣「数珠丸恒次」(重文)や「名物鄙田青江」も長い間古青江であるとされてきました。 近年の研究の成果ではそれらは左近将監恒次であることが判明し、結論づけられています。 その甲斐あってか左近将監恒次の評価も近年目覚ましい高まりをみせています。 古来より左近将監以下の字を潰し、長光に見せようとしたり、また恒次以外の銘文を消して青江に見せようとしたものが少なからずあり、現存する在銘品は確認されているだけでもわずか数振りと極僅かであることも希少価値を生み、高い人気の一因となっております。
 本作は腰反りの高い美しい太刀姿に、鍛えがよく練れ、精美であり、刃文も匂口明るく冴えており、出来が優れているのみならず、格調すこぶる高く、また保存状態も素晴らし。 天下五剣の名にも相応しい名品です。