スケートをするにあたって、氷上だけの体力を鍛えるのがいいのか、陸上の体力も鍛えないといけないのでしょうか?


Q.スケートをするにあたって、氷上だけの体力を鍛えるのがいいのか、陸上の体力も鍛えないといけないのでしょうか?
また、どんな方法で体力を鍛えたらいいのでしょうか?


A.これは体力の話ですね。筋力の話は記事を作り始めたところでしたが、体力はまだ考えてませんでしたね。
この答えは、何を目指すかによって変わると思います。また、厳密には体力の定義(というか考え方)によっても変わるでしょう。
まず、ジャンプはそれほど飛べなくてもいい、表現力の豊かなスケーターを目指す、というのならば氷上の体力だけ鍛えればいいでしょう。逆に言えば、目指すものが表現力であっても、氷上での体力作りはしないといけないということです。普段からスケーティングをちゃんとやっていればいいでしょう。しかし、目指すものがそれ以外ならば、すなわちエレメンツ方面を含むならば、陸上でも体力作りをした方がいいと思います。実は氷上でだけ体力作りをしても十分なんですが、残念ながら、僕を含め、氷上で十分な体力作りをできている人を見たことがありません。体力作りの練習量が少なすぎるのです。氷上だけで十分であるような体力作りをするならば、週に最低4回、1回当たりスケーティングやステップといったもので、とにかく汗をかく練習を最低30分はしないといけないでしょう。30分ぐらいで汗をかき始めるような程度ではないです。汗をかきつづける時間が30分です。部練以外でそれだけ練習を続けている選手を見ることはまれですし、ましてやそれを週4回やっている選手は今や学生スケーターにはいないでしょうね。結局は運動強度の問題になります。運動量が十分である生活を続ければ、体が普段から運動モードになります。こうなると体の切れが格段に向上しますし、エレメンツとかの上達も確実に早くなります。ただジャンプを飛んだり、スピンを回ったりしてても運動強度はそれほど高くありません。前に書いたような、運動強度の高い練習をするか、そうでなければそれ以外(陸上)で補うことによって運動強度を上げてやれば、体の切れは良くなり、上達を早めることができるわけです。
つまるところ、1週間の間になんでもいいから十分な量の運動をやっておけ、ということになりますね。
陸上で体力を鍛える方法ですが、前者の観点から言うと、カロリーを十分消費する運動であれば何でも良いことになります。事実、僕自身も鉛入りの靴を履いてがりがり歩き回ってたら、2週間ぐらいしたところから、週末スケートの体の切れが良くなりました。それまでは日曜の方が体が運動になじんでいて調子が良かったんですが、それ以来土日の調子の差がなくなりました。技術も確実に向上しました。そうあのダブルアクセル計画の一環です。
僕の場合、会社の通勤時間の利用という、時間の無駄のないやり方を取りましたが、時間を割いてトレーニングをするならば、一石二鳥の効果を狙う方が良いでしょう。それには、自転車です。体力と筋力を同時に鍛える、それに最適なのが自転車です。日常生活の中に組み込めれば最高ですね。

ここまででも大体解答になっていると思いますが、ちょっと出てきた、体力の定義(考え方)について触れましょう。
体力が必要なのは、上に書いたような、日常での練習の効率アップと、プログラムを滑るときとに大別できます。前者は上で述べたようにごく単純ですが、後者はちょっと違います。
プログラムの中では、最後まで滑りが維持できる、スピードが落ちない、そういう体力もあれば、後半になってもジャンプやスピンをちゃんと決めれる、という体力もあると思います。厳密には後者は体力とは言わないかもしれませんが、広義の体力と言ってもいいと思います。
前者は、滑りこみで何とかなるでしょう。もちろん、スケーティングやステップの滑りこみだけでなく、プログラムの滑りこみも含めてです。理屈は簡単ですね。後者はちょっと厄介です。これを鍛えるには、プログラムを通してがんがん練習するか、そうでなければ息の上がっている状態や足がへたっている状態でエレメンツを練習することが必要です。普段エレメンツを練習するとき、どうしても1回1回間を開けて、集中して、休んで、練習していることが多いと思います。でも、試合ではそれはできません。まだできない、新しい技を練習するときはそういう間を開けた練習をすべきですが、ある程度完成しているエレメンツに関しては、休まず、多くは考えず、集中は滑走しながら、とにかく間を開けないで一気に練習する、それが大事だと思います。また、この方法は体の切れも上げてくれますので、結局上達も早くなる、一石二鳥の練習と言えるでしょう。
ただ、これを本気でやると足がへたってしまって(そりゃ足がへたっている状態で練習するのも目的ですから)、次の練習に差し支えが出る可能性があります。だからと言って、体が動いていないうちに難度の高いエレメンツをいきなりやるのも無理があります。そうすると、練習方法としては、まず簡単なエレメンツから少ない回数で一通りさっと練習して(練習というより半分はアップだけどね)、そこから難しいエレメンツをひたすら反復練習して、それが終わってからさっき書いた練習をやる、それがベストですかね。上でこういう練習をやると体の切れが良くなって上達が早くなる、と書きましたが、これはそういう練習を繰り返すことでもっと上に書いたような、長い目で見た運動強度を上げ、結果的に体の切れを上げるということを言っているので、先にしんどい練習をやっておかなくてもちゃんと上達が早くなる、つまり一石二鳥の練習方法だということを最後に補足しておきましょう。

まだまだ話はあるような気もしますが・・・。この質問への解答はこの辺にしときましょう。


トップページ