上体はあなたの味方ですか?敵ですか?
フィギュアスケートにおいて、最大の敵は上体です。そして、最大の味方も上体です。上体を制するものはスケートを制す、ちょっと大げさですがまんざらはずれでもないでしょう。初心者ほど上体に振り回され、上級者ほど上体で下半身をリードして滑りますから。そうです。上級者は上体で下半身をリードしているのです。
上体の使い方には、数多くのポイントがあります。そして、それにまつわる練習方法もまた数多くあります。それをすべてここで話すことはできません。個々の話はそれぞれ別の場所で話すとして、ここではそのさわりだけ触れたいと思います。
まず、重要なのは、今現在どれだけ上体に振り回されているか、またどれだけ上体を利用しているかを知ることです。ジャンプ、スピン、ステップ、スケーティングすべてに共通するチェックポイントは、
・手を体にくっつけても同じことができるか(体の横にくっつけても、前で組んでも、後ろで組んでもO.K.)、そのとき上体に力が入っていないか
・手をいつもと違う場所においても同じことができるか(左右のひねりの向きを逆にする、上に上げる、など)
当然、ジャンプなんかは同じような回転はできるわけがありません。でも、同じように踏み切れるかのチェックは非常に有効です。
腰に手をあてたまま、スリーターンステップ、片足スネーク、スリージャンプ(踏み込みだけ手を当てておく、振り上げは離して良い)、ストレートラインステップ、各スピン、ぜひやってみてください。
ではどうやって直してゆくか。
基本は、上体(特に肩、腕)の力を抜いて滑る。時々、違う手の位置で同じことを試みる。手をしっかり利用したステップの練習をし、手の使い方を覚える。ぐらいですかね。一般論は。
とにかくステップの練習が重要です。上体を意識したステップの練習を数多くやることが一番の近道でしょう。練習の内容、注意点についてはいずれどこかで触れたいと思います。
で、上体をコントロールできるとどんなメリットがあるか。
・動きが自然になって、同じことをやってもうまく見える。無理なくスムーズに動ける。プログラムの表現力が増す。いろんな動きができるようになる。当然、プレゼンテーションは上がりやすくなる。
・ジャンプが乱れにくくなる。上達も早まり、怪我もしにくくなる。
・スピンがコントロールしやすくなる。
・ステップがとにかくうまくなる。
・その他、何でもかんでも上達が早くなる。
いかに上体が大切であるか、もうお分かりですね。運動の動力源である下半身。それを制御する上半身。そして・・・それをつなぐのが”腰”。
さあ、腰がいかに重要な関節であるか、もう言うまでもありませんね。腰の話はそのうちどっかで熱く語るとしましょうか・・・。