怪我をすれば練習できなくなり、下手になる。その間普通に練習するのに比べ、格段に差がつく。当たり前じゃん!なんて思うかもしれませんが、そんな当たり前のことにコーナーを1つ設けるような私ではありません。当たり前のことでも奥深く掘り下げてゆくと新しい発展がある、そういうケースもあるんです。
じゃあ、当たり前のことからもう一度考えましょう。怪我をすれば下手になる。じゃあ、怪我をしなければいい。でも、怪我をしないように練習すればどうしても怪我を覚悟で練習してる人の方がうまくなる。逆に、そこから比べると、上達速度が遅くなる。
そう、一般論で言うならば、怪我を恐れない人間の方が怪我をしない限り上達は早いです。
その一般論に、盲点があります。
フィギュアスケートにおいて、怪我を恐れないことは時として重要ですが、それは怪我をしそうな練習をするということとは全く違います。怪我をしそうな人というのは、基本的に荒っぽくて、ジャンプなら軸が乱れる、軸が太い、軸が倒れやすい、スピンならふっとぶ、ステップならばたばた滑っている、何か根本がずれている人です。勇気を出して荒っぽいことにチャレンジすることは、決して上達への近道にはならないということです。
スケートの上達には、いろんな順序があります。当然、近道も遠回りもあります。ジャンプなら、基本を無視して無理矢理飛んで無理矢理回る、それは
絶対に近道ではありません。まっすぐに踏み切る術を学ぶ、軸を崩さず回る練習をする、何度試みても同じことができるようにする、すなわちぶれをなくす、それもまた上達への道であり、僕はそれが近道だと考えます。難しい技術であればあるほど、ぶれが少ないことは最初の成功までの時間を短くしてくれますし、最初の成功の時点で悪い癖があまりついていないので、癖を取る二度手間も避けれます。また、安定するまで、あるいは完成するまでの時間も格段に短くなります。ゆえに、それが近道だと考えます。
例えば、ジャンプで軸が大きく傾いたとき、(i)その原因を考え、追求する人
(ii)分からないなりに何とかしたいと思う人
(iii)数をこなせばそのうち直ると信じてそのまま練習する人、では雲泥の差がありますね。
結論。怪我をしそうということは、そこには必ず原因すなわち何らかの間違いがあり、それを正すことは上達への道ですし、同時に怪我も防止できるということです。怪我をしそうなら、その原因を探し、直してゆく、これほど効率のいい練習はないと思いますが、いかがでしょう?