フォアスケーティング入門編

キーポイント:ひょうたんとの共通点を見つける

スケートを始めるにあたり、まずどうやって前に進むかを学ばなくてはいけません。入門レベルでは、2つの考え方があります。1つは、片足が滑る足、片足が蹴る足、という役割をはっきりさせる考え方、もう1つはひょうたんの出だしを使って推進力を得る考え方です。私は後者を強く推奨します。
考え方が違うことはすぐ分かると思いますが、結果として何が違ってくるか分からないと思いますので、まとめてみました。
ひょうたんの延長では、
・トウ蹴りが発生し得ない
・体の前後の軸がぶれない。結果、バランスを崩しにくい。また早いテンポに対応しやすい。
・最終的にはスピードが出やすい。
・進むためには膝をしっかり曲げる必要があるため、早い段階から膝を柔らかくする練習、脚力をつける練習ができる。
など、いろんなメリットがあります。
デメリットは、
・最初コツをつかむまでに少し時間がかかる。
・初期段階としてはスピードが出にくい。上達を感じにくい。
・よく注意しないと、インエッジばかりで滑る癖がつきかねない。
というところでしょう。前2つは、根気でなんとかしましょう。3つ目に関しては、後で説明するステップの1つ、片足で長く滑るというのをちゃんとやって直すのが1つ、そしてもっと高度な話は中級編で説明しましょう。

では、練習方法を順に説明してゆきます。
1.足を逆ハの字に開き、前に進もうとするのではなく、単に足を開く。すると、勝手に前に進む。適当に開いては、足を浮かせて元に戻す。
2.膝の曲げ伸ばしを加える。具体的には、足を開きながら膝を曲げてゆくだけ。やっぱり足を浮かせて元に戻す。
3.足を開くときにどちらかの足に体重を移してゆく。体重の乗ってない足を浮かせ、元に戻す。
一応、これでスケーティングの形になります。
4.体重を移すとき、体重を乗せてない足で氷を下に向かって押す。
5.ハの字をだんだん平行に近づけてゆく
6.足を浮かせたまま耐える練習をする。
この4から6は順番は何でもいいです。並行してやりましょう。時々、蹴った足が横に行っている(後ろに下がっていない)ことを確認しましょう。
このハの字からの滑り出しの加速、すなわちひょうたんの加速が感じられれば、そこからは見る見るスピードがついていくでしょう。

目標は、トウで蹴ることなく、蹴った足が後ろに下がることなく、リンクのトラック1週を30秒切れることです。
ここまでできればこの入門編はクリアです。

(注)時々横に蹴る、後ろに蹴る、という論議がなされます。二者択一なら、僕は前者をお勧めします。前者の方が、間違いを招く可能性がはるかに低いからです。確かに、うまい人は蹴り終わった足が少し後ろにいくことが多いです。でもあれは、決して後ろに蹴っているのではなく、氷を押した結果、最後に落ち着く場所を少し後ろに固定した、というだけなのです。レベルが上がれば蹴り終わったときにきれいなポジションに足が落ち着くよう、蹴り方をコントロールすることはできます。ポジションをきれいにするために後ろに蹴ると教えるのが間違いとは言いません。しかし、それはあくまでもその指導者がその練習をちゃんと確認して、誤った蹴り方になっていないことをチェックしてこそ成り立つ教え方であり、一般論として後ろに蹴ると教えたならば、間違いなく一番始めに指摘したデメリットを習得することになります。横に蹴る方が、まだ最終形に近いのです。
しかしながら、最後の最後でこの論議は意味をなしません。なぜならば、横にも後ろにも蹴らないからです。最終的には、まっすぐ下に向かって氷を押します。このまっすぐの意味は、決して地球の中心へ向かって、ではありませんが、その説明は中級編以降にしましょう。
最終形がまっすぐ下なのに、入門編ではなぜ横と教えるのか、それはそれが上達への近道だからです。信じてやってみてください。
いや、信じてくれなくても僕はいいんだけどね。


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