ルッツの回転原理を説明しよう!

トウジャンプの回転原理


他のジャンプに比べ、ルッツの回転原理はよく知られていません。確かに、エッジに乗れば乗るほど、逆回りの回転が発生し、ジャンプの回転はそれに逆らって感じるでしょう。原理がよく分かりにくいので、練習の仕方がわかりにくい、それも事実です。
ここでは、ルッツの回転原理を説明していきましょう。
タイトルは、”トウジャンプの回転原理”となっています。これは、ルッツの回転原理を説明してゆくと、あるところでトウループやフリップと同じところにぶつかります。他の項目でこれらのジャンプの説明を繰り返すのも無駄なので、全部まとめて説明します。

まず、始めに。逆回転のカーブに乗ってなぜ順回りに回れるのか、原理的にはアウトのままでは飛べないのではないか、最後はフラットが正しいのではないか、という疑問から解消しましょう。あっさりと。
逆回りのエッジに乗って滑ってきます。では、この状態で、どれだけの回転力があるのでしょうか、考えてみましょう。イメージしてみてください。その状態で、1回転するのにどれだけ時間がかかりますか?どんなに深いカーブでも、10秒はかかりませんか?円を1つ描く時間ですからね。そう、きっちりカーブに乗っても、ほとんどそこに回転力はないのです。こんな小さな回転力は、それ以外の回転力が発生すれば、あっさり消えてしまいます。
では、それを打ち消す回転力とは、なんでしょう。それは、まさにトウループや、フリップの回転力と同じです。トウループやフリップで得る回転力を100とすれば、ルッツの逆回転の回転力なんて1とか2とかにしか過ぎません。言うなれば、誤差範囲ですね。
じゃ、ここでトウジャンプ3つの回転力を説明しましょう。
下の図は、エッジとトウをイメージしてます。右足、左足の区別は無視して、エッジはフラットと考えてください。直線がエッジ、×がトウです。

うーん、我ながらいいかげんな絵だ・・・。いやいや、そんなことはどうでもいい。
まず、単純な回転原理を説明します。こちらだけ知っているだけでも、問題はないです。
直線の上のほうで、×にトウをついたとします。そのまま、直線の一番したまで滑りました。これで、左回りの力が発生します。これがジャンプの回転力です。
次に、ちょっと高度な方。こっちは、理解しなくてもそんなに問題はないです。
今のアクションと外から見ると全く同じアクションで、直線の上のほうでトウをついた振りをして、実は直線の最後でトウをつきました。外見上、前のアクションと全く同じなら、同様の回転が発生します。
2つ書きましたが、これはどちらが正しいというものではありません。時代の流行は、前者から後者に移ってきています。
ただ、初期の練習としては、前者をお勧めします。というのは、回転力の原理を体で覚えやすいからです。
話が少しそれましたが、これが基本的なトウジャンプの回転原理です。あとは、直線を左足として、"|"を"("に書き換えたのがフリップ、"|"を")"に書き換えたのがルッツ、直線を右足として"|"を"("に書き換えたのがトウループです。
原理的には、スピードが速いほど、また直線と×との距離が離れているほど回転が強くなります。
これだけで、ルッツではアウトエッジで滑ってきた逆回転の力の軽く10倍以上の回転力を得られますので、原理的には順方向に回ります。

さて、少し話がずれますが、ではなぜアウトやインに倒すのでしょうか。これまでの説明で、それが回転には関係ないことは分かりましたよね。そう、エッジに乗るというアクションは、回るための動作ではなく、飛ぶための動作なのです。トウジャンプにおいて。
一般論として、アウトやインにしっかり倒すと、次のような特徴が出やすくなります。多分物理的には。
・高さが出やすい(エッジの倒れの分だけ重心を下げやすい、氷に強い力をかけやすい)
・回転の始まりが遅くなりやすい
・飛べればぶれにくいが、飛ぶ前のエッジのぶれに弱い(逆にエッジを倒さないと、飛ぶ瞬間にぶれても飛べてしまう)
・飛ぶまでに時間がかかりやすい
早い話が、ちゃんとエッジに乗って飛ぶほうが技術的には難しいが、できるようになれば高さ、安定性が良くなり、ジャンプの評価が高くなる、ということになるでしょう。


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