何が欠けているかを考えよう


ああ、僕はなんて当たり前の記事を書いているのだろう。指導にあたって、何が欠けているかを考える、ごくごく当たり前のことだ。記事にするものじゃない。と、言いたいとこだが。実態は、思ったほどよろしくない。意外に、そういうことを考えれていない指導者が多い。考えているつもりになっている指導者も多い。つまるところ、自分の持つマニュアルで指導をしているのだ。
マニュアルには何が書いているのだろう。この練習をするときは、これを注意しないといけない。うん、これはいい。そういう情報が受け継がれていくことは大事だ。他には・・・。1年のこの時期にはこういう練習をやり、この時期になったらこういう練習をはじめ、・・・。これこれ。ここが問題。それを最初に考えた人間は責めない。そんなに将来まで見とおせないはずだから。
何が言いたいのか。つまり、練習とは、その人その人に応じて内容は変わるものだ。当たり前だ。例えば、初めて靴を履いた人に、いきなりスピンを教えても時間の無駄だ。これは極端過ぎると思うだろう。では、具体的に、どれだけ滑れるようになったらスピンを教えても無駄にならないか、誰が分かるだろう。そう、スケジュールを決めた練習は、必ず多くの無駄を生むのだ。
当然、実力差のある人たちに、同じ練習をさせるのも時間の無駄だ。うまくなっている人の足を止めているか、それほどうまくなっていない人に無理をさせて時間の無駄をさせているだけだ。
では、その時点でその人にどんな練習が最も効果的か。それを答えられる人は恐らくほとんどいないだろう。それを見出す道の1つが、見出しに書いたとおりである。
もう少し具体的に説明しよう。
例えば、スケーティングに着目しよう。スピードが出ない人なら、その原因を探せばいい。まあ、氷をちゃんと押せていないのだろう。なら、押し方を教えるか、勝手に押せるような滑り方を教えればいい。十分スピードが出ているなら、その滑りは十分エッジを使い分けているかとかに目がいくだろう。それを教えればいい。もちろん、ここに書いたのはあくまでも一例だが、レベルに応じて指導内容が違うことを言うには十分だ。
では、バッククロスはどうか。まともに進まなかったら、スネークに戻るしかない。エッジに乗れなかったら、円を小さくするのが効果的だ。バランスを崩しやすかったら、テンポを変えてやるのがいい。腰が引けていれば、ターンを含めてやるのがいい。エッジがうまく滑らなかったら、上体のひねりを変えてやればいい。
スピンはどうか。まともに入れなかったら、コンパルに戻るか、それまでは両足スピンをさせるかだろう。こけて怪我をしそうだったら、滑り込みをさせるべきだ。スピンで守ることをある程度押さえている指導者はそこそこいるだろうが、もっと基礎に戻る必要があることを指摘できる指導者はなかなかいないだろう。

そう、一般にエレメンツに関しては比較的誰もが欠けているものを探そうとする。あとは、その練習に入るレベルに達しているかの判断と、そうでないときに何の練習が必要かを判断すればいい。
そして、滑りこみやステップなど、ある程度マニュアル化された練習をやるものについては、欠けているものを探す努力を怠っていたり、タイムリーでない練習をしていることが多い。また、ある程度高いレベルに到達してから、その先へ早く伸ばす術を知る人は少ない。この辺りの情報はどんどん収集すべきである。


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