レスキュー 減圧症

減圧症

減圧症

減圧症は、血中に溶け込んだ窒素が、減圧で飽和されることでマイクロバブル・気泡となって現れ、これが体内の異物として作用し発症するもの。気泡の溜まった場所で発症し、脊髄・関節・筋肉など、おおよそ血液が流れている所ならどこでも症状が出ると考えられている。ダイバーはもちろん、宇宙飛行士もなるのが、減圧症である。

まず、条件の厳しい宇宙飛行士の減圧を見てみよう。JAXAのページによると、宇宙服の与圧は0.3気圧ほどで、宇宙服を着ての船外活動を行う場合には、減圧症回避の準備に十数時間を必要とするとある。減圧時間を早めるために酸素吸入や複雑な手順を踏んでもこれ程の時間を必要とするので、血中の窒素を追い出すのはかなり大変なことのようだ。※1

これに対し、ダイビングの場合は加圧下での活動なので条件が逆になる。上の宇宙飛行士の減圧は、ダイビングではほぼ深度20mに相当する。このことから、高々-20mのダイビングであっても減圧症のリスクが高くあることが分かる。また-10m下であっても2倍の圧力が掛かっており、発症する可能性があることは想像できる。

ダイブコンピュータは安全なダイビングを目指すための道具だが、逆に減圧症になる方が増えていることは残念である。少なくとも、ダイビング団体の認定カードをもらうにはダイブテーブルの引き方、減圧症のリスクに関して勉強している。ダイバーとして最終リスクコントロールを自身で行うことは忘れたくない。※2

※1 国際宇宙ステーション内は1気圧。窒素分圧も地上と同じ。

※2 他にもダイブコンピュータに組み込まれている理論・テーブルがあっていない可能性もあるし、そもそもマルチレベルダイビングモデルの正確性の議論もある。また、ダイバーならダイブコンピュータのメーカの違いによる減圧コントロールの差を経験的に目にしていることだろう。さらに、各メーカがベースにしているダイブテーブルはUS Navyだが、US Navyは潜水作業を想定し、最大深度と潜水時間で管理・集計していることも特筆すべき点である。

減圧症の予防策

減圧症の予防策(当然のことが難しいようです)
理解ダイビングの減圧症のリスクはゼロにはならない。
但し、その可能性を少なくすることはできる。
体調管理良く寝る。深酒をしない。体調不良・風邪気味なら止める。
当日の管理ダイビング前後の水分補給。
ダイビング中の管理浮上速度の厳守。安全停止は3分以上。
ダイビング後の管理休息時間中に激しい運動はしない。
ダイビング直後に熱いお湯に入らない。
最終ダイビングから飛行機に24時間乗らない。
※ 飛行機上空時は通常0.75気圧。
自動車で高所に行かない・山越えしない。
※ 標高400m(約0.95気圧)でも発症リスクが増大。
その他環境適応能力が年齢と共に低下する。
いつまでも若いは禁物。相応のダイビングをする。