発表当時のドキュメント。これにはちょっと手を加えてあります。
「だって扇風機と鳥かごって似てるやん」
真鍮の古ぼけた機械。そいつを抱えながら少女は拗ねたように言う。
なんと言っても「冒険少女」だからね。
まず「冒険」と来てそれを「少女」が受ける。こう聞けばそりゃあもうめくるめく波乱万丈の物語が目の前に開けてくる……筈だし他の皆さんはきっとそうなんだろうけど、一色は自他ともに認めるひねくれ者ですからどうにかしてハズせないかということを考えます。いっそはるかにミニマムな冒険にしてやろうというのは決まるのですが好いモティーフが浮かばず悶々とした日が続きます。
学校からの帰り道、道端で見かけて思わず連れて帰ったのだという。
「夏も終わったのに地上に残されたままで、きっとこの子も天に還りたいんよ……そうは思えへん?」
そうこうしていたある日「扇風機に恋した少女」というモティーフが唐突に思い浮かびようやく制作がスタートします。結果はご覧の通りのものですがいかがでしょう。やっぱりハズしてますか?ハズしていたなら成功です(病んでるなあ)。
「この風が吹き止めば、もう、秋さえも終わってしまうから」
さて、今回かねてよりやりたかったビスタサイズ(1:1.85の画面比)の作品をやってみました。映画のスチル写真みたいな雰囲気を出せればいいな、と思っていたのですが構図に緊張感が乏しくとてもそうは見えませんね。やれやれ。
「……今度は電話を拾ってきちゃった……」