CPUの仕様をまとめています。
 ただし100%保証できるものではなく管理者は一切の責任を持ちませんので情報は全て自己責任でご使用ください。
 ※誤った説明がされている場合はご指摘ください。

 

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概要

Intel Mainstream:PentiumPentiumProPentiumⅡPentiumⅢPentium4PentiumDCore2Core i(1)Core i(2)・Core i(3)

Intel Branch:Celeron(PentiumⅡ)・Celeron(PentiumⅢ)・Celeron(Pentium4)・CeleronD(PentiumD)・Celeron(Core2)・Pentium(Core2)・Celeron(Core i)・Pentium(Core i)

AMD Mainstream:K5・K6・K6-Ⅱ・K6-ⅢAthlonAthlonXPAthlon64・AthlonFX・Opteron・Phenom・PhenomⅡ・AMD APU

AMD Branch:Duron・Sempron・Athlon64(Phenom)

 

CPUとは?
 CPU とは"Central Processing Unit"の略称で、日本語では中央演算処理装置という意味になります。コンピュータを構成する部品の一つで、メモリに記憶されたプログラムを実行したり、入力装置や記憶装置からデータを受け取り、演算・加工した上で出力装置や記憶装置に出力するなどの機能があります。人間にたとえると頭脳にあたり、パソコンの性能の大きさを左右する重要な部品です。
 1回の命令で同時に処理できるデータ量によって16ビット、32ビットなどの種類があり、値が大きいものほど性能は高くなります。また同じビット数でも1秒間に実行できる命令回数や周辺装置とのデータ伝走路が一度に運べるデータの量、バスが1秒間に行える転送回数などに違いがあり、一般的に値が大きいほど性能が高くなります。さらに1命令を行うのにかかる周波数や同時に実行できる命令数などの違いにも性能は影響されます。
 なお現在パソコンではIntel社のx86シリーズとAMD社の互換プロセッサが市場のほとんどを占めています。

以下、店頭などでCPUが展示されている際に表示されている主な仕様の説明です。

CodeName(開発コード名)
 CPUの開発途中の名称のことです。
 しかし現在では同一ブランド間のマイナーチェンジを区別するため、発売以降でも使用されています。

Clock(クロック:動作周波数)
 CPUの各回路間で処理の同期を取るための信号が、1秒間に何回あるかを示す値のことです。
 同じ構成のパソコン同士ならこの値が高い方が性能は高くなります。しかしCPUには動作周波数の上限があり、むやみに上げられるものではありません。動作周波数の単位はHzで表され、1秒間にクロックが1000回あれば動作周波数は1kHzとなり、100万回あれば1MHzとなります。動作周波数の値が高ければ、それだけ多くの処理が同一時間内にこなせるということになります。

Bus(バス:伝走路)
 パソコン内部でCPUがメモリや拡張装置などとデータをやり取りするデータ伝走路のことです。
 CPUの性能向上と共にバスは高クロック化・バス幅が拡張されており、一度に運べるデータの量が多くなる方向で強化されつつあります。
 実はバスは大きく分けて、CPU内部回路を結ぶバス、CPUとRAMなどの周辺回路を結ぶバス、拡張スロットに接続された拡張ボードとマザーボードを結ぶ拡張バスの3種類がありますが、ここでは2番目のバスを指します。
 バスの種類は下記のとおりです。
FSB Intel社が採用したバスの名称。PentiumまでのCPUは、CPUの外にキャッシュメモリが実装されており、メインメモリとともにCPUが備える外部接続バスに接続されていた。しかしPentium Proでは、キャッシュメモリがCPUに組み込まれ、CPUコアと専用バスで接続された。この際、キャッシュとのバスをBSB(バックサイドバス)と呼び、外部装置(またはチップ)との伝送路をFSB(フロントサイドバス)と呼ぶようになりました。FSBは64ビット幅のデータバスとアドレスやコマンドのラインをそれぞれ独立に持ったパラレルバスとなっています。
HyperTransport AMD社が採用したバスの名称。K8でCPUにメモリコントローラーを内蔵することで、CPU-メモリ間とCPU-入出力装置間のパスを分離し、このバスにHyperTransportと呼ばれる16ビット幅のシリアル伝送を採用しました。チップ間は必ず1対1の接続で上りと下り専用のレーンを持っており、パラレル伝送で必要だった調停が不要になり、待ち時間(レイテンシ)が短いのが特徴です。FSBに比べビット数は少ないですが800M~2.6GHzの周波数と倍速技術を採用して単位時間当たりの伝送量を確保しています。なおシリアル伝送ですが、バスとしては双方向であることからパラレルバスになります。
QPI Intel社が採用したバスの名称。Core iでCPUにメモリコントローラーを内蔵することで、CPU-メモリ間とCPU-入出力装置間のパスを完全に分離し、このバスにQPI(QuickPath Interconnect)と呼ばれる20ビット幅のシリアル伝送を採用しました。上記の説明から分かるように転送速度とかバス幅に多少の違いはありますが、基本的な発想はHyperTransportと一緒です。設計にはもちろん違いがあります。
DMI Intel社が採用したバスの名称。本来はメモリ制御のノースブリッジ・入出力制御のサウスブリッジ間を接続するためのバスでしたがCore i7にてメモリコントローラーを内蔵したのでそのままバスとして採用されました。伝送速度はQPIやHyperTransportより遅くなりますが、データ量が多いメモリやグラフィックボードはCPUに直結しているため、性能的には足りています。とはいえ、SATA、PCI、USBの規格変更が迫っており、このままでは将来的に帯域が足りなくなることが予測されます。

Process(製造プロセス)
 CPUを構成する半導体、そのトランジスタの間隔のことです。
 半導体で構成されるCPUは回路線幅が微細であればあるほど、小型化が容易になり、同じサイズであれば機能を詰め込むことができ性能を向上させやすくなります。そのため、CPUの製造プロセスは、性能レベルの目安のひとつとして見られます。
 しかし、製造プロセスの微細化はリーク電流などの問題から消費電力の増大を招くという難点が発生しています。このため現在、材料や回路構造、電力管理プログラムなどにおいて各種の対策が施されるようになっています。

CoreVoltage(コア電圧)
 CPUが動作するために必要な電圧のことです。
 CPUは定格で動作する電圧が定められており、同じ構造のCPUであれば、コア電圧が高くなるにつれ消費電力が高くなる弊害はありますが、動作周波数を上げやすくなります。この為、消費電力が気になるモバイル用のCPUでは負荷にあわせ電圧を制御し消費電力を抑えたり、反対に電圧を上げて動作周波数を上げ性能向上させたりします。
 CPUの電圧は以前、マザーボードと同じ5Vと決っていましたが、 CPUの消費電力を抑えるためCPUとマザーボード双方を3.3Vに落とされました。しかし、それでもまだ消費電力が大きく、 マザーボードはそのままにCPUの電圧をさらに低く設定するCPUが出始め、その際にCPUの電圧をコア電圧と呼ぶようになりました。

TDP(熱設計電力)
 CPUの設計上想定される最大放熱量のことです。
 CPUに取り付ける冷却装置を設計する際に、どの程度の冷却能力を持たせれば良いかを決める為に使用されます。以上の説明から電力というより熱出力をさしているのですが、電気回路では概ね同一視できるので消費電力に置き換えてもほぼ差し支えありません。想定しているということですので、実際にはアイドル時と負荷時で消費電力はまったく異なります。このため大体この程度の電力は消費するという目安に過ぎません。

Cache(キャッシュ)
 CPUの速度とメモリの速度のギャップを埋めるために使われる小容量の高速メモリのことです。
 CPUはメモリの速度に比べて圧倒的に速すぎるため、CPUがメモリへアクセスすると、長い時間(およそ数百クロック)待たされることになります。これではCPUの動作周波数を上げてもメモリの速度でプログラムの動作速度が決まってしまいます。そこでメモリとCPUとの間にメモリより小容量で高速なSRAMを用いたキャッシュを搭載するようになりました。キャッシュは場所によって名称が変わります。
1次キャッシュ マイクロプロセッサー内部に設けられた記憶装置。CPUと密接に連動するので高速。しかし容量を増やすことが難しい。
2次キャッシュ マイクロプロセッサー内部に設けられた記憶装置。1次キャッシュより低速動作になりますが容量を増やすことは簡単。
3次キャッシュ マイクロプロセッサー外部にも設けられることがある記憶装置。2次キャッシュよりさらに容量を増やすことは簡単。
 なおキャッシュは自動的にデータ保存やメモリの代替を行うため、基本的にCPU側がキャッシュメモリを意識する必要はありません。

Extensions(エクステンション:拡張命令セット)
 各CPUが共通にもつ命令セットだけでなく、メーカーが独自に追加した命令集合体のことです。
 CPUが動作するにはどのような動作をするのか記述した命令セットが必要になります。通常、CPUの種類が同じであれば用意されている命令セットは同じになります。しかし処理が多様化していく中で、メーカーは世代が上がるごとに徐々に機能を拡張するため命令セットを増やしていきました。例えば1つの命令で複数データを処理したり、浮動小数点数演算を同時に実行したりです。増やされる命令は主にマルチメディアに関する処理の高速化に寄与しています。
 なお拡張命令セットはメーカーが独自に設計しているので、アプリケーション側で拡張命令セットを使用するように対応してもらわなければ十分な機能を発揮できません。もし画像や映像、ゲームなど大量のデータを処理する必要がある場合や仮想化の環境を作成する場合は注意する必要があります。
MMX 3DN 同時に複数のデータを処理する拡張命令セット
SSE MMXの命令セットににマルチメディア処理に頻繁に使う命令が追加した拡張命令セット
HT CPU内のレジスタ・回路の空き時間を利用して、1つのプロセッサを2つのプロセッサに見せかける技術
XD NX プログラムが不正に実行されるのを防ぐメモリ保護機能
i64 A64 IA-32アーキテクチャの64ビット拡張版
EIST CQ CPUの消費電力を抑える技術
VT AV 1台のコンピュータ上で複数のOSを同時実行を支援する技術(複数OS起動時の速度低下を防ぐ)
TXT プラットフォーム認証で仮想マシンの挙動を別の仮想マシンから監視するなどのセキュリティ技術

Stepping(ステッピング)
 CPUの細かなバージョン……リビジョン番号のことです。
 CPUを制作しているメーカーは常に回路・配線を見直し、再設計を行っています。目的としては動作周波数の向上を図りやすくする、ダイサイズの縮小化を容易にする、歩留まりの向上を図るなどです。通常、機能面では変わりがなく、再設計を行っている分後のステッピングの方が安定性は向上しています。
 なお前のリビジョンではどの程度で動作するか厳密に分かっていないため、ある程度余裕を持たせて設計されていることがあります。このためオーバークロックをしたいユーザーは前のステッピングを指名買いすることがあります。

Socket(ソケット)
 パソコンのマザーボード上にある、CPUと電気的に接続するための部品のことです。
 ほとんどのCPUはソケット側に格子状に大量の穴が並んでおり、ここにCPUのピンを差し込んで装着し固定するPGA構造を採用しています。ただIntel社はCore2以降はソケット側にピンがあり、CPU側に大量の穴があるLGA構造を採用しています。Socketに続く3もしくは4桁の数字はこのピン数のことを示しています。
 なおCPUとマザーボードを接続する部品は一時期、ソケットではなくスロット形状だった時期があります。これはスロット形状にすることにより、当時はまだ大サイズが大きかった2次キャッシュを追加することが容易でかつ抜き差しが比較的簡単だったためです。しかしCPUの速度が上がるにつれ配線の長さゆえの遅延問題が起こり、2次キャッシュも製造プロセスの進化とともに縮小しCPU内部に取り込むことが出来るようになり廃止されました。