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ものづくし

(5/10 1996 〜 6/11 1996)

もの(material)にまつわる憶い出いろいろ
徐々に明らかになりつつある激動の日常!(嘘)


彼女に関する幾つかの事柄 (5/10 1996)

 ぼつぼつと今日もまた/風は、海よりの感想を頂くのだけど、案外好評なようでほっとしている。
 前回の馬賊の裔からちょうど一月(そのあいだに「雑文」のタイトルイラストもあるけど)で、月産二枚ぐらいは行きたいもんではあるけど、まあこんなものかな、とも思う。
 馬賊の裔を描き上げる直前あたりから「つぎは舟で行こう」と思い立って、そのリサーチもかねて4/16に民博に行ったわけで。そのほか家にある本やら雑誌やらを眺めてぼーっと構想を練る日々が続く。描けばイメージが蒸発してしまうような気がするのでこの段階ではまだ紙に描かず、頭の中で煮詰めるのに専念する。
 今回はこのころにタイトルが決定。タイトルが決まると構想も具体的になってくる。尤も、描きだしてからもタイトルが決まらず結局仮タイトルをそのまま使ってしまうこともある。構図についてアイデアスケッチを何点か描いてみるがなかなか固まらずに苦心する。これがちょうど4月の末あたり、ね。余談ながらアイデアスケッチにはカワチのクロッキーブックというからくがき帳を使用している。
 しょうがないので構図も決まらない内から出てくるもののデザインを繰り始める。取り敢えず女の娘のデザインは決定。こまごまとしたもののデザインを繰るのが一番楽しい作業だったりする(結局殆ど使わなかったけど)。そうこうしている内に構図を不意に思いつく。これまで考えてたのとは全然違うけど気に入ったのでこれで決定。
 漫画原稿用紙に原画を描く、とこれが5/5。ここで頑張っておけば後々楽になる。で、ペン入れ。結局殆ど下描きは消えてしまうのでペン入れが最近適当になってきている。反省。スキャナで取り込んでPhotoshopで線の色を薄くしたり地色を付けたりする。
 翌日、Painterに取り込んでいよいよ彩色開始。雑誌とかを読みながらだらだらやる。ま、技術的なことについては大したことしてないのでここでは省略。だらだら塗り混んでいる内にものの形が或時忽然とタブレットを伝わって脳の中に直に入力されることがある。それが絵を描いていて最高の快楽を得る瞬間だとおもう。なんとか形になったのを確認してその日は寝る。
 翌日、仕上げ。ただ今回は甘かったね、どうも。サインをスキャナで取り込んで合成、で一応の完成。もうヘロヘロ(笑)。(このあとドキュメントを描いた圧縮したりするけどそれは省略)
 描き上げたときの感情には2種類あってもう神にでもなったような気分のときと自己嫌悪に囚われてただ疲労だけが身を苛むときとがある。今回がどっちだったかは秘密(笑)。

書架源記(2) (5/14 1996)

 大抵本は旭屋書店難波店で購入している。
 ちょうど電車をそこで乗り換えるから便がいいという程度の理由なんだけど。
 今日もまた店内をぶらついてると、河出文庫の新刊、長野まゆみ『遊覧記』が目に留まる。もしやと思って奥付を見ると単行本『都づくし旅物語』の改題とのこと。
 この作品は長野まゆみ入門書としてかなりお勧めの短編集。作風がけっこう幅広いから食いつきがいいと思う。お勧めコースは『遊覧記』〜『天体議会』〜『テレヴィジョン・シティ』という感じかと。
 同じく河出文庫から刊行の始まった『高橋和巳コレクション』も見つかる。刊行予定を見ると『邪宗門』が含まれていない。確かに朝日文芸文庫から出てるけどさ。うーん。尤も高橋和巳を文庫でまとめて読めるというのは嬉しいことではある。後はちくまあたりから『稲垣足穂全集(選集)』が出てくれれば完璧なんだけど。
 結局購入した本は以下の通り。

 SUPERCAR&CLASSICSは自動車の資料本として。

はんこ (5/15 1996)

 昼休みに鳥山氏と会う。
 春の学祭で模擬店を出すのだけど、そのための書類のナニヤラで印鑑が必要だというので持っていったのだ。出店内容について少し話す。『鉄鍋のジャン』に出てきた春巻がしたいと主張するも受け入れられず。もの珍しくて利が厚い食物というのはなかなか難しい。
 ふと窓の外を見遣って去年まで同学年だった知人がリクルートスーツを着て歩いていたりすると内心穏やかでない物がある。焦ってもしょうがないのだが。
 そうこうしている内に別井氏登場。パワフルプロ野球3で三度対戦し三度惨敗。かなり悔しい。結局そのまま東氏もまじえ夕方までだべる。古畑任三郎(再)のオチの部分だけを観て帰宅。
 帰宅途中の電車で『幻象機械』を読了。山田正紀初体験だったのだけど凄く好かった。他の作品も読みたく思う。
 帰宅後、紛体工学1のレポートをして、就寝。

モデル (5/16 1996)

 「これらの娘にはモデルが居るの?」と訊かれることがある。けれどもその度わたしは首をかしげて考え込む羽目になってしまう。
 「いいな」と思う女の娘は沢山いる。だけどその娘らがモデルなのかと問われればすごく違和感があるのだ。もしかしたらモデルが実在するというのならわざわざ描くまでもないという(或種倣岸な)気持ちなのかもしれない。
 或いは……自分の内面を切り売りしてるような物だからなのかもしれない(笑うなってば)。

繭 (5/18 1996)

 家族で食餌を取ったあと難波を歩いていると古びた外壁を改修するつもりなのか、表面を緑の網でくるまれているビルディングが在った。それを見てなぜか官能的だと感じた。
 直截に見せるのではなく何か一枚の薄い布で包んでしまうというのはデリケートで女性的な美しさが内在されていると思う。そう。まさに内在……内へ、内へとむかう視点の象徴なのでは?とかね。
 かつてこんな光景を見たような、と言う既視感にとらわれていたんだけどうちに戻って雑誌を漁っていたら納得がいった。

 アサヒカメラ1991年5月号・小沢忠恭/蘭蘭の15歳

 がまさに「繭の中の少女」の写真だったのだ。
 「雪が降ると、街がきれいに見えるでしょう。だから女の子を何かでつつんでみたら、きれいに見えるのではないかと思って」とは小沢氏の弁。まさにその通りで、素晴らしい効果を上げている。

雲の上の人の話 (5/21 1996)

 夜のうちに雨が降ったのか、外に出ると地面が湿っていた。
 雨上がりらしく風は涼しく、心地よい。駅まで歩く途中に空き地がある。やがてはそこも造成されるのだろうけど今は金網で囲われている。その金網に蔓草が巻きついていた。しっとりと湿って緑はいよいよ映え、むせ返るほどの草いきれが鼻をつく。なんだかこのまま梅雨を通り越してそのまま夏になってしまいそうな日。
 今日はかねてから欲しい欲しいと思っていたモノがふたつも手に入った。どちらも優れた創り手による素晴らしい作品でたまらなくしあわせな心地になってしまう。
 ひとつはABさまの『古街CD-ROM』。
 アーカムプロダクツの色数向上委員会のシリーズのひとつとして出た物なんだけど、これがまあ、初期の16色作品から最近作まで一望出来て実に好い。やっぱり人として買わねばならないと思う次第。ただ、ジャケットの「R指定」のシールが凄く邪魔。どうにかならないかなあ、これ。
 で、もうひとつはDAVE鴫原+吉田匠+寺田克也(の各氏)『ちょっとフルくてイイくるまにゃのらずにいられないっ!』。
 寺田克也氏の超絶な画力(あんど、破壊的なギャグセンス)もさることながら全体に流れる雰囲気が凄くいい。ホントこういう旧車本を見てると免許が欲しくなってくる。後ろ姿がセクシーな車って好いよね。

サーターアンダギー (5/26 1996)

 てのは沖縄銘菓なのだそうな。「簡単に言うと、白ゴマ入り揚げドーナツってとこ」と言われても判ったような判らんような……(笑)。で、これを春の学祭の模擬店でやることに決定した。店名は『ぱひん株式会社』、場所は学生会館前の一番社福よりなので某大学の人(いるかどーか知らんけど)はぜひにお越し下さいまし。ほかにも春巻き(鉄鍋のジャンの奴ではない、と思う。残念)に揚げ餃子、揚げシュウマイもします。
 以上、宣伝終わり(笑)。
 そういえば5/24に累計来訪者数がのべ1000人を突破いたしました。これも偏に皆様方の御芳情によるものと、有難く、心より感謝しております。
 いやホンマに、感謝、感謝です。

ぶた (5/28 1996)

 後輩と話してたら「太った?」と訊かれた。追い討つように「顔は最後に太るって言うからねぇ」
 む。人が気にしていることを……。いっちょ気合い入れてシェイプアップすべきかもしれない。ただ、男の場合ついた脂肪を落とすというのと脂肪を筋肉にしてしまうという二通りが選べるというのは有利な点ではあるよね。いや、別に自分を慰めてるわけじゃないんだけど。

空白の日 (6/4 1996)

 春の学祭も終わりどうにかこうにか模擬店で黒字が出ました。これで打ち上げinビアガーデンが出来るってもんです(じゅるる)。
 まあそんなわけで先月末に出た3冊の雑誌『コミッカーズ1996年夏号』『イラストレーション7月号』『S.M.H.vol.3』をゆったりと読む。んー、『S.M.H.』は相変わらず元気でトンがってるなぁ。毎度創作意欲を刺激してくれる本です。あ、寺田克也氏がえばにキレてる(笑)。これに対して『コミッカーズ』はちょっとムニャムニャかなあ。The master of Color 米田仁士氏は好かったけどねえ。
 話は全然違うけど日本橋で16MBSIMMが14,300円か。買っちゃうかも。

エランに乗るようにパソコンを持ち歩きたいのだ (6/11 1996)

 学校からの帰途友人と話していて「今のノートパソコンって持ち歩くことを本当に考えているのか?」という話になった。僕等はノートパソコンにCD-ROMドライブもマルチメディア関係の機能も求めちゃいないのだ。確かに「大は小を絶対的に兼ねる」のがこの世界の常識ではあるけどもっとポリシーをもってプリミティヴなマシンがあっても好い。
 で、タイトルに戻る。
 僕等は(少なくとも僕は)ライトウェイトスポーツカーに乗るようにパソコンを持ち歩きたいのだ。必要最小限な(そして、最大限な)機能を列挙してみる。
 ・日記を更新するための軽いエディタ(一般受けを考えるならHTMLタグを楽に入力できるパレットなんかが付いていてもいいけどさほど必要じゃない)。
 ・直接プロバイダにダイヤルアップ接続してメールチェックするための一連のソフトウェア。
 ・ほんとシンプルなFTPソフト。
 ・個人的にはレポート作成のための軽い表計算ソフトなんかが付いてるとうれしい。
 ・それらを楽に行ったり来たり出来るローンチャ。
 これで、いい(あ、ひとつ追加。KT-BBSとNetCockのオフラインツールが付いてたらもぉ狂喜乱舞っす)。
 あと絶対に必要なのが手に馴染むデザイン。色も赤、チタンブラック、セム革張りなんかから選べるとうれしい。サイズと重さの目安としては週刊少年ジャンプがMAX。これ以上は絶対に認められない。これで69,800円ぐらいならいいやね。
 ……んー。要するに「もうちょっと一般人に媚びたHP200LX」ってことなんだろうか。でも、欲しい。すごく、欲しい。

 【追伸】あー、本日付で来訪者が述べ2000人を突破いたしました。ここは皆さんの温かい声援でのみ成り立っているようなページです。今後とも御贔屓にお願いいたします(ぺこり)。


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