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ものづくし

(6/18 1996 〜 8/9 1996)

もの(material)にまつわる憶い出いろいろ
一向に明らかにならない激動の日常!(嘘)


カーニヴァル (6/18 1996)

 遅くなってしまったので外で夕食をとって、久しぶりにビールを飲んだためほろ酔い加減での帰り道。
 駅のホームに降り立つと夜の中を風がぞうぞうと吹いていた。黒い影となった木が悲鳴を立てひとつ処へ傾いて行く。昼間は酷い雨だった所為か大気は洗われ澄み切っていて、なんだかカーニヴァルでもやって来そうな夜だとわたしは酩酊の底でぼんやりと感じた。

心象風景 (6/20 1996)

 MacUser/J7月号の付録CD-ROM、MacBin32をつらつらと眺めていて強烈な作品に突き当たってしまった。
 それがこの『心象風景 autodemo』(ツァイト)。
 オートデモという媒体の中にいじらしいまでの愛情が篭もった……それはまさに一個の作品と呼ぶべきもの。胸がちくちくと痛くなってしまう。
 人として一度は見なければならないものだと言ってしまおう。

 ……それにしても、ツァイトってことはもしかしたらあの『ねじ式』スタッフの方の作品なのだろうか?

memory of you (7/2 1996)

 というわけでうちの槙絵さん(Power Macintosh 7100/66AV)のメモリが増設されて合計48MBytesになった。
 例のメモリ価格暴落のときに日本橋のTWO-TOPで一枚13800円也で購入した16MbytesのSIMM2枚だったのだけど、いざ自力で付けんと槙絵さんの中を覗けばSIMMスロットの上にCD-ROMとFDドライブが載っかっている(何と異常な構造か!)。さんざん努力したのだけどどうしようもなくてそのままほったらかしていたのだった。
 ところが先日同じくPower Macintosh 7100オーナーのライナ86さんよりe-Mailが届いて、「CD-ROMドライブをフロントから引っこ抜いてその隙間から差し込めばなんとかなる」とのこと。で、やってみた。
 電源を入れてHappyMacが表示されたときには感激の余りもぉ泣き出さんばかりになった。取り敢えずしたことはPainterとNetScapeNavigaterの使用メモリを増やす事とMountCascheのディスクキャッシュ量を1MBytesに増やすこと(笑)。Photoshop(LE-J)が軽々と動くのはちょっと嬉しい瞬間ではある。
 これでうちの娘ももうしばらくは現役で居られそうな気配だという、話。

【追記】
 さる6/27に本ホームページの来場者数が通算3000人を突破いたしました。3000人目はおだしま様でした。おめでとうございます……って何も出ませんが(^_^;
 気がつけばこんなところまでやって来たなあ、というのが正直な感想です。メモリも増設したことですし最近めっきりさぼっている【画蒐】の更新も頑張りたいと思います。吹けば飛ぶよなホームページですがどうか今後ともよろしくお願いいたしますm(..)m

シンディ・シャーマン展に行ってきた (8/6 1996)

 ぅぉ、一カ月ぶりかい(笑)。
 何してたのかと言われそうだけど暑くてダウンしてました。活字を読む気力さえなくて雑誌(GEO9月号、特集『東南アジア、海に暮らす』何といっても表紙が好いよね。夜想33号、特集『鉱物』ヒーリングの話なんかが出てくるとかなり辟易してしまうのだけど巻頭の写真と二つのインタビューがすごく好い)や写真集(最後の九龍城砦/中村晋太郎、資料的価値はあるけどいまいち凄みがないかなぁ……。でも好き)を眺める日々。情けないなぁ。
 そんなうちに別井氏(男。念為)からtel。滋賀県立近代美術館でシンディ・シャーマン展をやっている。車を出してやるから観に行かないかという話。名前は知らなかったんだけど新聞に載ってたのが気になっていたところだったので即承諾。
 で、翌朝(つまり、今朝)近鉄新田辺駅で拾ってもらって出発。
 滋賀県立美術館はきれいな公園の中にある端正な建物。まだ午前中の所為か館内はほかに殆ど誰もいない。前も書いたけど博物館や美術館は人が少ないほど好いと思う(映画館とは対照的に、ね)。
 シンディ・シャーマンは(と、館内で買った目録を引き写すのだけど)アメリカの女性写真家で80年代以降の現代美術を語る上で欠かせない作家として高く評価されている人なのだそうだ。彼女の作品の著しい特色としてその殆どがセルフポートレイトであることが挙げられる。
 『ある状況』が綿密に計算された張り詰めた構図の中で形作られているのだけど、そこに何らかの『物語』を読み取ろうとする作業は総て必ず徒労に終わるにちがいない。なぜなら写し出されているのは(ほかの誰でもない)『作者』その人なのだから。発せられたとたんに風に消えてゆく言葉のように意味付けられる事を拒否しつづける『瞬間』のみが陳列され、もしかしたら世界というのはそんなものなのかもしれないな、という眩暈にも似た感覚が忽然と脳裏に浮かび上がりきっとそれは……中島敦やボルヘスの読みすぎなんだろなぁ(笑)。ただ、そういう空漠で不毛な妄想さえも拒否するほどに印画紙に焼きつけられたモノクロームの光景はノスタルジックに潤いを帯びて魅力的ではあるのだけどね。
 展示室は発表時期によって大きく二つに分けられていて上に書いたのは前期作品についての話。
 後期作品はその総てがカラー作品で、セルフポートレイトという基本はそのままなに描かれるのはむしろ夢魔的な暗鬱陰惨なイメージとなっている。そういう意味じゃ逆に直截に意識下に訴えかけているような感じだと思った(思っただけかも)。

 総論的には大満足。
 9月からは丸亀で、10月からは東京でもするらしいので行く価値あると思う。

 

誕生日 (8/9 1996)

 話は(かなり!)前後するのだけど。
 去る7/30に槙絵さんがうちにやって来て2周年を迎えた。当時は世界で2番目に速いMacintoshだった槙絵さんも今や……ま、それは言うまい(笑)。でもまだ充分に現役で通用するというのはいいものだ(単にそのあいだOSがメジャーバージョンアップしなかったからという気もするが)。Apple最初のRISCマシンというにしてはおそろしく安定した設計なんかもいとおしい。好きだよ。
 ……という話をぼそっとしたところ何とうちの槙絵さんと誕生日が同じだというx6sukeさんからお祝いCG(↓)を頂いてしまった。果報者だなあ(x6sukeさん、ありがとうございます^^。ホームページの正式開業、楽しみに待っています)。


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