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ものづくし

(2/22 〜 3/8 2003)

もの (material) にまつわる憶い出いろいろ
寒さに打ち震えながら自転車に乗ったりメンテしたりな日常!

電報(2/22 2003)

 試験的にこんなこと始めました。掲示板を管理するような甲斐性はないことは充分自覚してるけど、この程度なら何とかなるなじゃないかという甘い目論見だったり。あんまし立ち上げてないかも知れんけど、オンラインのときは電報かむかむです。このテの電報ソフト、あれこれ見てるとOdigoってのが面白そうなんだけどMacintosh版が無いみたいなんだよねぇ。ちと残念。

パソコン通信の面白さのひとつとして、『年齢や職業を超えた人と知り合える』というのがもっとも教科書的で魅力的な意見としてもてはやされている。しかし、実際には、年齢や職業しか越えてない人たち、といういい方が可能なケースが多かった。
荻窪圭『パソコン通信に未来はあるか」旧Oh!X Aug/1992)

 という問いかけは未だにコンピュータネットワーク上のコミュニケーションのあり方として今日的な問題なのだけど(ひゃあ、もう10年前なのね)、母集団が充分大きければそれでも構わないのかな、という気も最近している。でもそれだけでもちょっと悲しいなって気持ちもない交ぜになっていて、こういう混交した感情の振れは私の中にずっと付いてまわるものなのかもしれない。場のないところに場を作ろうとする、こういうツールの試みは、実はとうといものなのかもしれないね。

 画蒐/story CGs旧作を仮アップしました。2000年夏に某誌で発表した作品です。

最後の雪(2/24 2003)

 朝から降っていた雨はいつの間にか霙交じりの雪となっていた。
 窓を伝う水滴を眺めながら私は、1万人メイドさん大行進のニュースをどれほどの人が取り挙げるのかについて想いを馳せていた……ってのは嘘。でもちょっとホント(フィリピンの出稼ぎ産業に関連しては、こんな古ニュースもあるね)。
 体の芯まで冷えてしまいそうな夜だったので夕食はスープにすることに。ちょうど綺麗な生食用牡蠣が手に入ったのでレトルトのふかひれスープにエノキと一緒に入れる。ひと煮立ちさせて仕上げに卵で軽くとじて出来上がり(お手軽)。とろみの付いたスープがじんわりと温めてくれる感じ。ほこほこ。

 前項のちょっと続き。もしかしたら私は「はじめから不完全なコミュニケーション」にとても弱いのかな。竹宮恵子『私を月まで連れてって!』の23話、『彼方からの手紙』とか大フェイバリットだったりするわけで。夜ごとに届く発信元不明のラヴレター、送り主は実は……というエピソード。電子メールの描写がタタンタン、と一文字づつ画面に表示されるというもので、これがもぉなんとも堪らない風情があるのだ。機会があれば是非御一読を。

 この雪がこの冬最後の雪なのか。それは誰にも判らないけれども。
 いつか世界が水底に沈んでいくとき、いつか世界に最後の雪が降る日は来るのか。

浮沈子(3/2 2003)

 風邪にも満たないようなからだのちょっとした変調なのか、30時間ほど眠っていた。
 いまが何時なのかわからぬようなほの昏い部屋の中、窓の外の雨音をぼんやりと聴きながら、じんじんと疼くような頭痛と共に意識はたゆたう。まるで浮沈子のよう、いつまでもゆっくりと上昇と下降を繰り返してく。
 今日になって随分とましになってきたので起き出したりしているのだけど。如月から弥生へと遷る一日がうつろな内に過ぎてしまったよう。私にとってこの一日は存在したのかしなかったのか。微かに湿った地面をみると、どうやらあの雨音だけは実在のものだったようで。なんだかうつつから片足を抜いたような妙な感覚。でもその感覚はどこか懐かしいもので、また厭な感覚じゃない。

 窓を開けてみれば空気の匂いとヒカリの色は、すっかり春のものとなっていた。

物語要素事典(神山さん@愛知学院大)から「眠り」の項目

音楽生活(3/5 2003)

 それにしても松井(秀)は大爆発やね。日本で言うとクルーズ並みですな。われらが元プリンスもがんばれ。

 というわけで今日は全国的にt.A.T.u.の日本盤アルバムの発売日だったりするわけで。みんなちゃんと買った?
 四方さんライナーノーツ書けなかったのね、とかユーリャのオフィシャル読みはジュリアになったのねとかもろもろあるけど、イロモノ好きの人に加えて、デジタルポップ好きの人には普通にお勧めできる音。アルバムで聴くと、『Malchik Gay』とかポップチューンがあらたにお気に入りになったりして。『All the things you said』はロシア語版の方が危なっかしくて好きだなぁ。クリップのカット割りも微妙に違うんだけど、これも露語版のほうが個人的には好き。

 音楽と言えばハロルド作石『BECK』は最近のフェイバリット。巷間に『BECK』にまつわるコトバは満ちてるからあらためて私が繰り返すまでもないだろうけど(うーん、時期を逃しちゃったね)いまどき珍しいまっすぐの少年漫画なので未読の方はぜひぜひ。

 あ。
 t.A.T.u.にうつつを抜かしているうち、渋さの四月馬鹿ライヴの予約を忘れてた。慌てて@ぴあで確保。
 こりゃあ立見だな。ま、あんまし変わらんけどね。

春酔い(3/8 2003)

 あみだくじでの敗北により、同期女性陣から頂いたちょこのお礼を買いに行く羽目となった。折角なのでコンランショップで購入することにする。何が折角なのかというと、こんな機会でもなければコンランショップで買い物することが無いから。ちょっと情けない。

 埼京線を新宿で降りてパークタワーを目指す。射し込むヒカリはすっかり春のそれとなっていると感じる。そういえば久しぶりに週末と晴れとが重なったのかな。風が強い所為か、体感気温はそれほど暖かいわけではないのだけど、それでもジャケットをなびかせてほよほよ歩くにはいい日。普段の甲州街道沿いじゃなく、新都庁ちかくを通り抜ける道を選択することにする。
 ヒカリの谷間と個人的に呼んでいる。西新宿の高層ビル街のことだ。差し込んだ陽はビルの外壁や窓ガラスで様々な方向に反射を繰り返し、どこか浮世ばなれしたような照明効果をもたらす。平日ならば活動しているこの街を見られるのかもしれないのだけど、普段訪れるのは週末ばかりで、だからうたた寝を決め込んでいるかのような石の峡間を跳ねるように進む。

clock

 パークタワーのロビーでは千葉大学の卒業制作展をやっていたので覗いてみる。左は頂いたリーフレット。見ての通りひと揃いのトランプの体をなしていてちょっと面白い(展示されている作品にカードの表記があるともっとわかりやすかったかもです)。
 内容も多岐にわたっていて面白いものだった。『智恵子抄』を展開絵本に仕立てたものだったり、フレームの一部に竹を使用した自転車だったり、ジャズにおける各楽器演奏用椅子の提案だったり。私なんかはやっぱり、そういった実在のモノを介在した提案の方に心惹かれる。
 その中で個人的に一番気になったのが望月さんの、香りのイメージを色のイメージに変換することでわかりやすく伝達する、という発表だった。種々の典型的な香りを二色の組み合わせとし、それらを香りのマトリクス上に示すというもの。
 私のナニがアレだってのもあるんだけど、香りだったり音だったり、あるいは指先のぬくもりだったり記憶だったり、そういった情報群を可視化しようとする試みは、自分自身心のどこかでずっと拘り続けている部分なのか、すごく心惹かれてしまう。帰宅後ペーパーの形でどこかに発表されてないかな、と検索してみたけど無いみたいだね。うーん。

 お返しはコンランショップでチョコレートを購入した。500円前後の紅茶かコーヒーの包みがあると、こういうときすごく使い勝手がいいんだけどなぁ。そのあと地下の西安餃子で食餌を取ったり、紀伊国屋書店を冷やかしたりしたあと帰宅。

 どこか頭がぼんやりとして、仄かに酩酊したような感覚。春に酔ったのか。花の香に酔ったのならカッコもつこうものだけど、たぶん花粉に酔ったものだからなんだかアレさん。



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