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ものづくし

(11/23 1996 〜 3/28 1997)

もの(material)にまつわる憶い出いろいろ
山場を迎えつつある激動の日常!(嘘)


micro communication (11/23 1996)

 冬支度というか先日押し入れから手袋を引っ張り出してきた。平賀=キートン・太一先生がやっぱり一番だと言っていた日本の秋ももううつろってしまうのだと考えたらなんかもの悲しくなってしまう。稲見和良『ダック・コール』なんかを読むには最適な季節ではあるんだけど。
 寒いの嫌いなんだよね。手がかじかむし。
 そんなある日このページへの累計訪問者数が10,000人に到達した。なんやかんやと能書きを垂れながらもやっぱり嬉しいものは嬉しいものです(ミ^_^ミ)
(資料としてグラフを2つ。ひとつは累計アクセス数の推移でもうひとつは累計アクセス数の24時間あたり平均と前回からの階差を24時間あたりに換算したもの。毎日定時に計測したならしっかりした傾向が出てくるのだろうけどバラバラなのであくまで参考として、ね)
 MacUser/Japan12月号の菊地美範氏の連載コラム『AROUND THE MACINTOSH AND DESIGN』が"道楽としてのWeb"と題してパーソナルページのデザインについて書いているんだけど大きく共感してしまうところがあったりする。ホームページというメディアの場合基本的に「小さいことに(こそ)価値がある」と思うのだ。
 最近ひょんなキッカケから顔も知らない高校生とポケベル友達になった知人がいるんだけど、いそいそと電話にむかう彼の後ろ姿を見るにつけミニマムなコミュニケーションというものは充分に成立し得るし、また不完全なほどいとおしいんだなあとか感じてしまう。
 いや、別に羨ましいわけじゃなくてね(笑)。

霧 (12/14 1996)

 実はここ一、二週間ばかし猛烈に苛立っていて何も手につかない状態である。その理由がなんとなく判ってしまう(なおかつそれがまたおそろしく情けないものである)だけに恥の意識と自分への怒りは募るばかり。

オレは、自分の手にする何かで
あいつの横に並びたい。
オレは、あいつにだけは
なめられるわけにはいかねぇんだ。
(ベルセルク(8))

 かとおもえばこんなこともあったりでことほどかように世の中は油断ならないものなのだ(笑)。
 ある朝起きると外は霧だった。
 出ると柔らかい霧が肌を擽る。視線を上げると並木のてっぺんさえ見えず、不安とともにある種の安らぎにつつまれる。山を切り拓いて造った新興住宅地で、土埃の匂いばかりがしてあまり好きではない街なのだけど、こんな時だけはいとおしく感じてしまう。そういや鈴木直人版の『ドルアーガの塔』の26階も霧の中だったと思い出す。笛吹きの男と霧の中に精霊となった女とはまた会うことができたのか……。
 さて今回はどーにも話をまとめるだけのテンションがないので以下唐突に別の話題(笑)。
 学校の生協でCDフェアなるものをやっていて、4枚までなら15%OFFなのが5枚以上なら20%OFFになるのでお前も何か買えといわれて購入したYEN TOWN BAND。今もかけているんだけどcharaのヴォーカルがココロにしみて魂が震える。あー、『スワロウテイル』観に行きたいなあ。観に行きたいと言えば天保山の大アート展とクリムト展も観に行きたいんだよなあ。
 更に別の話題。最近自宅周辺の回線のノイズがひどくてこの更新もいつになるか判らない状態。公安にでも盗聴されてんのかしら(笑)。

一万ドルの男 (1/18 1997)

 それにしてもカーレンジャーって妙にゲンジ通信あげだまのテイストがあるよなあとか思うのは俺だけ?(たぶんね)
 Mac User/J2月号に掲載されたApple20周年記念Macintoshが無暗にカッコいい。
 予備知識としてアップルのサイトでクルクル回るVRムービーを入手していたりはしたんだけど初めて写真で見るブロンズとブラウンのデザインは自分の中での「世界で一番格好いいパソコン」の座をX68000から一瞬にして奪ってしまう。はっきり言って惚れた。
 ……一万ドル。
 あとMacintosh界隈の最近の話題といえばAppleのNeXT買収か。
 個人的にはムチャ嬉しいんだけど問題は今のAppleがOSを3ライン(Mac OS 7系、Rhapsody、Open Step)持つだけの体力があるのかということ(笑)。だけどやっぱりワクワクするのは抑えられない。なんと言ってもあのJobsがAppleに帰ってきたんだからね。
 今さらながらにアフタヌーン2月号を購入。目的はただひとつ『大合作』(あ、でも四季賞受賞作『狼の瞳』(岩原ゆうじ)はやたら格好いいエンターテインメントでよろしおました。ほくほく)。

「10周年で全員の合作漫画」。いい企画だと思います。
もっと薄くて作家も登場キャラも少ない雑誌でしたら。
(あさりよしとお)

 はらわたよじれそうになるほど凄い(笑)。ただ、心残りは鶴田謙二が描いてないことかも。

 ……そしてにねんがすぎて、

雪やこんこん (1/24 1997)

 セガバンダイねえ。
 『サクラ大戦 for Pippin』とか出ないかなあ(笑)。
 一昨日、この冬始めての雪が降る。
 普通このあたりで雪といえば泥にまみれ半分融けかかっているような牡丹雪ばかりで汚らしいという印象しかないのだけれど、今度の雪は綺麗なパウダースノー。一昨年の(よりによって)ちょうどクリスマス寒波のときに訪れた草津の十六夜氏の下宿を思い出してしまう。尤も、あのときのような吹雪じゃなくて風花と呼ぶに相応しいような儚い散りかたではあるけれど。傘の下から透かし観ると車道に積もった雪さえ融けず白い純粋をとどめ、車の跡が墨の描線のように彼方へ続く。傘を廻しながら一切の反響を失ってしまったような町をさくさくと歩くのもまた楽し。
 ただ、雪の中を歩き慣れていなかった所為か翌日腿がぱんぱんに張ってしまったのはさすがに情けないなあ。

風邪 (1/30 1997)

 或朝起きると扁桃腺が腫れていて、こりゃやばいなと思ってるうちに鼻水が止まらなくなってしまった。この冬は暖かいと油断していたのがいけなかったか、それとも夜更かしが祟ったのか、たぶんその両方なのだろうね。
 さいわい熱や頭痛には発展しなかったのだけど、鼻水とその所為で喉が辛くなるのがいけない。かてて加えて鼻のかみすぎで皮がむけてやたらみっともない。咳の方も鬱陶しくて(風邪が喉に来たのは初めてかも)うがい薬とプラスティックのコップとを常に携帯するようになってしまった。
 実はまだ完治していなかったりするわけで、皆さんは充分気をつけてくださいね、と言う話。

そぞろに行こう (3/1 1997)

(中国のことを語るとき、多くの人が「法ではなく人によって治められる国家の恐ろしさ」を説きながら、同時にその口ぶりにある種の憧れが潜むのはどうしてなのだろうね)

 表紙を見ただけではいよいよなんの雑誌か判らなくなってきた(笑)S.M.H.vol.6。特集は『WOMEN』。6号を数えて高次安定してきたかな、という感じ(皮肉では無くね)。隅々まで堪能できる。台詞のテンポが実に心地いい沓澤龍一郎のコミック『オトモダチガーデン』がやはり好い。あと平井宣記の小説『記憶の旅人』。特異な状況下で成立する愛の物語。堪らなく、切ない。
 些細な事だけどPROIFILEがちゃんとすべての作家に対してのものになったことはとても嬉しい変化だね。

 写真集の話をひとつ。
『ユメノ銀河』。同名の映画の写真集なんだけど、これがすごく好い。店頭でぱらぱらとめくっている内に引きずり込まれてしまった。潤いというよりむしろ湿り気を帯びたような光と、映画のスチル特有の緊張感を帯びた構図が息を止めさせる程の凛々しさを放つ。
 3/8から扇町で公開だそうなので是非観に行きたいものだ(このさい白状しておくと一色は映画はほとんど観ない人です。興味はあるんだけど縁がないというか)。

 Fractal DesignとMetaToolsが合併。
 うーむ。PainterがKPT調のインターフェイスになるのか。楽しみなような怖いような(笑)。

 さらにそぞろな話題。
 京セラのCyberScopeだったっけ。あのデザインは正義だと思う。少なくとも松下のピノキオよりはこっちを推す。携帯メール端末というアイデアは面白いし(うまく行けば今のポケベルをリプレースするかな)、加えてそれがPHSから上がる形で出てきたのが好いね。むかし「液晶表示の携帯FAX」というアイデアをぼーっと考えてたことがあったんだけどそれに結構近いよね。
 まあ後はちゃんとPPP接続に対応して欲しいというのと(今さらにふちー経由でもあるまいし)、なんならメールを読むだけの機能に限定してかな漢は外付けしてしまっても好いよね。
 そうそう。メールについてはもうひとつアイデアがある。この際だから書いてしまおう(笑)。
 プロバイダの専用電話番号に電話すると、いま届いているメールを音読してくれるサービスというのはどうだろう。ちょうど留守電みたいな感じね。かなり便利だろうし今の技術で十分実現可能な気もするし。顔文字までちゃんと読んでくれれば阿呆そうで好い(笑)。

酒と薔薇の日々 (3/15 1997)

 13日は我孫子に集合して十六夜くん一派の呑み会だった。今回は就職しはる十六夜くんとたつろくんのお祝いも兼ねて、なんだけど。
 総勢6名で村さ来で呑む。一色は生中〜白ワイン〜赤ワイン〜杏酒ロックという極めてまっとうなシークエンス。赤ワインは肉料理に合うという基本を身体で覚える。あとは料理をつつきながらPentiumPro+MMXというチップやアキアのMac互換機やアメコミやFSSやキャプテン休刊やいんでぺやファーストコンタクトやマーズ・アタック!やガオガイガーやるりるりの話をしたような気がする。こうして並べるとごく普通の大学生の会話だよね(違う)
 その後ゲーセンでもう一人と合流してカラオケに突入。『巨神ゴーグ』の主題歌他を拝聴する。『勇者王誕生!』は3/31入荷ということでちょっと悲しい。
 で、たつろくん家に押し掛ける。引っ越しの荷物さえほどいていないところを失礼しました>たつろ。プレステでサイキックフォースとシミュレーション(タイトル失念)を拝見。呑んでるときに「住民がみんなスーパーサイヤ人みたいな三国志」と説明されて謎だったシミュレーションはホントにそんなゲームだった(笑)。しかしサイキックフォースみたいなのがテレビでぐりぐり動いているのを見るとゲーム機が欲しくなってくるね。まあ個人的には戦国エースとスターブレードが動けば充分なんだけど……じゃあやっぱりプレステになるのか(笑)。
 一階で二人、二階で四人が川の字になって眠りに就く。
 朝になって皆で地下鉄御堂筋線に乗った。駅に着く度短い挨拶を交わして一人二人と減ってゆく。近畿では東大寺二月堂のお水取りが終わるとヒカリの色さえ変わってしまう。東へ行くひと、西に残るひと、留年したひと(笑)、こもごもを含んで春は吹き来る。

みずと くらがりと (3/17 1997)

 写真集があまりに素晴らしかったので、その印象が裏切られるのが嫌で躊躇していた『ユメノ銀河』。ここ数日で分厚いコートが要らなくなったのにも後押しされて重い腰を上げ観に行くことにした。考えてみれば実に久しぶりの映画鑑賞だと気付く。
 地下鉄堺筋線で扇町駅下車。構内に掲示されている駅周辺図でだいたいの場所を確認してけてけ北上。扇町ミュージアムスクエアは名前から想像していたのとはずいぶん印象が違って一見ただのビルだった。おかげで入口を見つけ損ねてビルをぐるっと一周してしまう(笑)。ちょっと情けない。
 印象は、裏切られなかった。
 モノクロームの画面の雄弁さ。時に口篭るようなカット割り。けして笑わない少女(小嶺麗奈)。香りたつような官能を内に秘めながら目眩く語られる水と暗がりの物語。……スクリーンに「終」の文字が浮かんだ後もしばらくは場内から声ひとつ漏れなかった。黄昏の森の中に取り遺されたように。
 5点満点で言うなら星3つ半から4つはあげられる。個人的感覚に実にヒットした映画だった。思い切って観に来たのは大正解。ホクホクと幸せになる。
 ミュージアムスクエアから出ると、夕の空に九日の月が椀を伏せたように浮かんでいた。

二年に一度のお楽しみ (3/28 1997)

 とは言っても大作RPGではなくてリキテックスビエンナーレのこと。
 今年は情報を入れるのを忘れていたのでもう終わってしまったのかな、と心配していたのだけど、3/25に難波CITYにいってみるとちょうどその日が初日だった。
 リキテックスと言うのは樹脂絵具の最もメジャーなブランド。それを(何処かに)使用した作品、というのが出展の条件だから所謂アートもイラストレーションも同じ壁面に並ぶことになる。それが好い。
 今年の入選作の中では、特別賞の海野貴文『Living.1996』が好かった。原色の色面で構成された、軽みと微かな哀しみとが同居した最高に心地好い作品。
 印象を形象にする過程でpaintというプロセスを介するならば、わざわざアートぶる必要も無いんじゃないかと思う(勿論それと等価にイラストレーションの枠にとどまる必要も無いのだけど)。

 リキテックスビエンナーレの興奮も醒めやらぬうちに心斎橋のアセンスで購入したのが寺田克也『ヴァーチャファイター2 テンストーリーズ』。
 堪らなく強烈。Painter者ならずともえかかーならば必携してしかるべき一冊。特に海を捜して彷徨うジェフリー篇が好い。


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