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ものづくし

(5/16 1997 〜 8/31 1997)

もの (material) にまつわる憶い出いろいろ
山場を越えたんだか先送りされただけなんだかの激動の日常!(嘘)


てんやわんや (5/16 1997)

 さらばグリーンウェル(笑)。
 とか言っているうちにここのアクセスカウントも20,000を越えていた。
 うぅ、大感謝大感激(T_T(アクセス数の推移はこちらこちら。やっぱり年始は激減しているのが確認できます(笑))。
 今週は分離工学のレポート、システム制御工学の小テスト、中国語の宿題、数学解析の宿題、紛体工学のレポート、そして〆に今日の有機化学の中間試験となんやかんやで忙殺されてしまった。本気でやろうとすると勉強ってやたら時間喰うよね……とか今になってほざく台詞ではない。ま、これで一山越えた感じで来週は少しゆったりできそう。梅雨が来る前に何処かに出掛けたいなあ。

ところで伊良部に説教たれてくれませんか?

 というメールがある日来た。
 んー。個人的には伊良部が彼の望み通りにヤンキースに入団できそうなのが喜ばしいんだよね(^_^;。てのは今の日本のプロ野球の選手契約制度、及びそれへの(球団、選手共々の)認識というのがあまりマトモではないというのがまずあって、加えて伊良部の自分の能力を量り売りするような態度もプロフェッショナルの野球人としては当然のことだと思うからなんだけど。
 ただ、彼ちょっと態度でかすぎるね(笑)。その点柏田は確かに偉い。うん。
 野球と言えばモーニングで連載が始まった高橋三千綱+きくち正太『ブル太さん』がアツい。まったく先の読めない展開に乗せられる感覚が快感なのだ。

箱を買う (5/22 1997)

 朝日新聞5/22夕刊に載った黒崎政男『「一能」コンピューターと「人間知能」』はディープブルーに関する日本のマスコミの総ての発言の中で(たぶん)唯一まともなもの。流石は痩せても枯れても哲学者クロサキという感じ。いや別に痩せても枯れてもないけど(大失礼)。それにしてもクローン羊にも脳死臓器移植にも動じなかったのにディープブルーにはヒステリックになるとは日本人てつくづく変な国民やね(笑)。

 CDを買った。
 ビョークの1993年のアルバム『デビュー』。アイスランド出身のイギリスの女性シンガーなのだけどなんだか個人的感覚に実にヒット。内容を確かめもせず買ったCDがこうやって当たりだとすごく嬉しい(^_^。
 フェルメールの画集を買った。
 そもそもは巖谷國士『ヨーロッパの不思議な町』がきっかけだった。この紀行というよりはむしろ体験記と呼ぶに相応しいような奇妙な風合いのエッセイ集の中で、次のような一節に出会った。

 (……)少女のようでもあり、人妻のようでもあり、官能的なようでも無垢なようでもあり、国籍も血統も時代も判らず、どんな角度から観ても非限定であることを感じさせるこの女の肖像ほど、具体的でありながら同時に抽象的なものは珍しい。どういえばいいのか、この絵もまた(……)現実に生きていたなにものかの正確な再現でありながらもなお、しかし、どこでもない場所の、いつでもない時代の、誰ともつかぬ夢のような存在を描き出しているのだ。そのために(……)どんな気分にも感情にも対応することができるし、瞬間の表現でありながら永遠をかいまみせることだってできる。彼自身の本体がいったい何であったのか、今もほとんど知られておらず、ただ三十数点の絵だけが各地の美術館に残されているに過ぎないこの謎の画家、フェルメールは、今から三百年も前に、町を、そして女を、このようなイデアに変えてしまったのである。
(「絵の中の光景――デルフト、ブリュージュ」巖谷國士)

 こんなことをいわれてはこの画家の作品を見ずにはいられない。で、旭屋書店難波店で捜してみたところ手頃な(\920)洋書の画集があったので購入したのだ。
 控え目で出しゃばらず、しかし確固たる大気と光を抱いている人物たち。どれほど時代が遷ろうともけして古びないものを目の前に示された思いがした。優しく、けれども力強く。んー、これまで前現代なアートには別に興味はなかったのだけど印象派の毒に犯される以前の絵画というのは一度まとめて見ておくべきかもしれない。
 そして今日、を買った。
 村田蓮爾の作品集『LIKE A BALANCE LIFE』。
 去年の夏ごろ、たつろくんに2冊の同人誌の作品集を見せてもらったことがある。それまでウルトラジャンプの表紙を描いてはる人、程度の知識しかなかったんだけどデザイン、描線、構図、色彩構成……総てがそら恐ろしいほどの高みで調和をなしている誇り高い画風にすっかり魅せられてしまった。
 で、わんだーらんどに現品限りと平積みになっているのを見て金もないのに思わず購入した次第(限定版と現品限りというのに弱い)。6色刷(!)の作品40点とスケッチ集とがB4版径の箱に入ったおそろしく贅沢な造りにまず感動する。内容は言わずもなが。もし2年前にこれを買ってしまっていたら、もう描けなくなってたんじゃないかな、と思ってしまう程に。
 天上の至福と底知れぬ絶望とを同時に味わってしまったのだ(笑)。

半夏生 (7/2 1997)

 なんだか街で旗袍を着てる娘をよく見る。まあ香港も還って来たしねとか思うけどやっぱ好いよね(^_^。先日も朝、駅ですれ違った娘が水色旗袍+お団子あたまで最高によろしおました……ってすれ違ったのが角のところでだったから顔は見てないんだけどね。
 無暗と忙しいのは一向に解消されずかなり鬱屈していてほうぼうに当たり散らしている毎日(周囲にとってはいい迷惑である ^_^;)。せめて来週になれば少しはましになるはずなんだけど。

 手洗いに掛けられたカレンダーを見たら今日のところに半夏生と書いてあった。ハンゲショウ、と口の中で呟いてみる。

 夏至から11日目で7月2日ごろ。梅雨明けの時期。半夏。
(角川新国語辞典)

 夏もまた、おしなべて凡ての人にやって来るのだろう。きっとね。

1997年の夏休み (8/5 1997)

 福井県高浜まで一泊で海水浴に行ってきた。泳ぐのは中学以来だから実に8年ぶりになる。
 もしかしたら「海水浴場で海水浴する」のは初めてではないかと不意に思った。さすがに海で泳いだことがない、とは言わないがそれらは母方の実家で連れて行ってもらった、磯の中にぽつんと在るような浜でだったからだ。一つ山を越えて徒歩で行く、僕たちの他には誰もいない砂浜は確かに幼心に強く焼きついているのだけど、所謂海水浴場への憧れというのも根深く残っていた。だから、行くことにした。
 海の家、甲羅干しをする人々の喧噪、沖に浮かぶ浮標。それらを実際目にして「ああ、成程」と知る。『遠い夏休み(ヨコハマ買い出し紀行(4))』がようやく理解できたと言うか。
 また、波に身を委ねる感覚、水平線の上に立ち上る積乱雲や掌の中でほぐれていく焼けた砂、肌の表面に残る潮風や浜へと続く夏草の小径なんかをもう一度憶い出すこともできた。
 ものをコンスタントに創ろうとするとき、自分の中で喰い潰されていくのは学んで得られる知識よりはむしろこんな体験や雰囲気といったものじゃないかと思う。だからそれらを感じることのできる機会は大切にしていかないとね。
 ただ慣れないことはするもんじゃあ無い。暑気あたりで死に目は見るわ日焼けで全身カニカマボコ状態(桜玉吉)になっちゃうわで散々でした。とほほ(あー情けない)。

 や……っと出たという感じの草なぎ琢仁老師『上海丐人賊(2)』。今回の収録分に相当するところを(今は亡き)コミックニュータイプでちろっと見て「ずいぶん線が少なくなってるなあ。時間が無いのかなあ」とか思っていたのだけど、こうしてまとまったのを見てみると評価せざるを得ないね。老師は絵に限らずコミック演出での省略のやり口を掴んだのかもしれない。贅を尽くした演出というわけではないのだけど、簡潔な画面が構成的で表現的で、とにかくえらく格好いいのだ。万人受けはしないけど分別をわきまえた大人のためのエンターテインメントやね。残る問題は(3)がいつ出るのかというだけで(笑)。

2nd Impact! (8/8 1997)

 それにしてもどえらいニュースが飛び込んできた。
 そう、NECアメリカのロジステロ……違うって(^_^;、MicrosoftのApple株式収得ね。NeXT買収を第一の衝撃とするならこれはまさにセカンドインパクトな訳で、んー、Jobsが戻ってくる前なら「なんて馬鹿な決定をしてくれたんだ」と言うところだけど、ま、Jobsが決定したのならなにか考えがあるのだろう。JobsとGatesの 1 on 1 というのはある意味望むところではあるしね。現実問題としてMS OfficeなくしてRhapsodyの成功は無いだろうしAppleの株価は上がったわけだし。まあ、しばらくは傍観するしか無いかな。
 とはいえMacOSも「あくちぶですくとっぷ」たらに成った日にはBeOSって道も検討するべきかもしれない(笑)。今度の決定で一番割を食うのはNetscapeではなかろか。MicrosoftもそこまでしてNetscapeを潰したいのかね。むー。

夏の蕩尽者(また、箱) (8/31 1997)

 やっぱりこの季節はぴやぴやに冷やしたわらびもちに限る。きなこをたっぷりつけてふにふに食べれば至福やね☆
 遊佐未森が東芝EMIに移籍!? ドリカムみたいに世界デビューを果たして国内セールスは東芝EMIが担当する……って訳じゃあないよな。
 音楽ネタをもう一ついくとスガシカオの12cmシングル『黄金の月』がいい。2トラックめのタイトルチューンがもぉ堪らん。3分30秒あたりからどうしようもなく胸がキューっと締めつけられてくる。音楽を聴いてこんな感情を味わうのはホント久しぶりですっかり現在我が家ヘヴィーローテーション状態なのだ(笑)。

 限定6000部のシリアル0395番を入手できた鶴田謙二の函入り作品集『Forget-me-not』。
 中はもぉ涙ぽろぽろ(T_T ←ほら。
 どの編集、造本も丁寧な作りでしかも函入り版は帯がない代わりに、あのクソ忌々しい唾棄すべき裏表紙のバーコードが無いのも嬉しい(アレって取次からの要望なんだってね。掃いて棄てるような雑誌ならともかくとして書籍は次代へ残す文化の形象なのだということが判らんのかしら★)。お勧めとしては一冊買うなら『水素(画+色付きコミック集)』。二冊買うなら加えて『Spirit of Wonder(例のアレ)』やね。
 やっぱり彼のような才能の場合、制作のための時間が不足し作品のクオリティが落ちるようなことがあれば、それは世界にとっての損失だと思う。作品の量の少なさを嘆くよりも、質の尋常じゃない高さにこそ溜息をつくべきなのだ。あと巻末の、用語解説に名を借りた後書き、というのがすごく格好いい。コミック単行本の文章としては『「坊っちゃん」の時代』の関川夏央を別格とすれば、大棚浚『幸福野球』、日高トモキチ『パラダイス・ロスト』の両ライナーノーツ以来の衝撃だと思う。
 でも『Forget-me-not』出版という記憶されるべき年にベイスターズが好調なのも単なる偶然とは思えないのだけど☆ ここまで来たら是が非でも優勝して貰いたいものやね、うん。え? タイガース? 取り敢えず今季は巨人より上の順位でさえあればね(笑)。

 去る8/27頃に累計アクセスカウントが30,000を越えました。
 ちなみに三万人目はつぼみしゅん様でした。おめでとうございます……ってなにも出ませんが(前にもやったな、これ)。
 ぁ。よく見たらここの上の方で20,000アクセス越えましたって報告してる★ 長閑な更新のページだなぁ←自分でいうな。


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