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ものづくし

(1/3 1999 〜 3/24 1999)

もの (material) にまつわる憶い出いろいろ
時間の流れは/みんなに/一個ずつあって

1998年ベストコミック(1/10 1998)

 98年の、私にとってのベストコミックは

 1.西遊奇伝 大猿王(寺田克也)
 2.BEAST of EAST(山田章博)
 3.にくげなるちご(ナカタニD.)

て感じかな。全部A5版径なのは偶然てことで。
 年末になるまで1位は以前絶賛したよう、『BEAST of EAST』かと思ってたんだけど、12月に入手した『西遊奇伝 大猿王』が一気に捲っちゃったね。『大猿王』は私的には94年のホビージャパンエクストラ以来、漸く単行本にまとまったてのもあるし。ま、この2作品は超絶的な画力による絢爛たるモノガタリってあたり共通してなくもない。
 はじめは1998年は97年の『大日本天狗党絵詞』『「坊っちゃん」の時代』みたいな大きな収穫は無いかな、とか思ってたのだけど、連載継続されている作品をみても『勇午』はアイルランド篇だったし『ベルセルク』はジル篇だったし『蒼天航路』は呂布が破滅してから劉備が再起するまでだったし『ARMS』は「あとは勇気だけだ」ったしで相応に粒揃いの一年だったとはいえると思う。だけど、3位には『にくげなるちご』を断固として推しとこう。未読の人はとにかく(1)巻を読んでぶっ飛ぼう。総てはきっとそこにある(あ、(1)の出版は97年だ ^_^;)。で、以前言ったことに加えると『にくげなるちご』には「敢えて語らないことによる表現方法」が伏流水としてしんしんと流れていることにも注目しておこう。表現者としての節度に関わる問題だから。自戒も含めてね。

小話(1/17 1999)

 まだ春遠い夕、男と少女とが天保山の波止場で船を待っていた。二人を取り巻いている乗船待ちの人の群れ。埃に汚れた荷物や水の入ったペットボトルを抱え持ち、一様に皆海の向こうを見つめている50人ほどの人々。鼠の群れのようだ――と、男は唇をかすかに歪めた。男には、それらの人々は遂に鉛色した塊としてしか認知できなかった。少女は、無造作に束ねただけの髪の毛を右手で気にしながら水面を見ている。短い丈のコートが海風にわずかに揺られていた。彩度の低い水色。涙の色。

 少女は廃都に帰るのだ。

 不意に男が言った。
「やめた」
 ポケットから取り出した自分の乗船券を目を瞑って破り棄てる。風に舞うでもなくコンクリートの上に落ちた紙片を少女はしばらく見るともなしに眺めていたが、漆黒の瞳を地面に向けたままかすかに眉根を寄せると
「いつもそうやったね」
 溜息のように呟いた。

恐怖の大王(2/5 1999)

 今年の夏に降ってくるらしいね。
 アレ。恐怖の大王。
 だけど大王ってどんなんなん? うーん。
 ダイオウイカなら知ってるから、今年の7月には恐怖のダイオウイカが降ってくるということで決定。
 やー、恐いなぁ。
 ついでに恐怖の小麦粉と恐怖の卵も降ってきてくれると嬉し……いや、恐い。

#あ、もしかしたら「恐怖のシューマイ」パターンかもしれん。

縮みゆく男(2/11 1999)

 卒論制作も押し迫った2月、会社の健康診断と事前研修で東京へ行くことになった。取り敢えず8日の晩に卒論第一稿を形にし、「チェックお願いします」という附箋を張っつけて目に付くところに置いて帰宅。翌朝東京に出立した。12時半頃に会場である東京酒醤油健康保険組合に到着。おお、他の内定者もいるいる……って、なんか人数少なくない?
「東京組が全然おらん」
 そうそう。他の日にもうしたんかな。そうこうしているうちに会社の人が到着。やっぱり東京組は前日にもう済ましていたらしい。でも、わざわざ分割するってことはそんなに時間掛かるんかな。うーん。

 1時間で終了した(笑)。

 因みに身長173.6cm・体重60.0kg・体脂肪率13.6%だった。半年程前に測定したときは身長174cm・体重62.0kgだったんで身長・体重ともに減少していることになる。ミクロ系って感じ? 違うな。まぁでもいっときに比べれば10kg近く体重を減らせたので一安心といったところ。
 で翌日会社で行われる事前研修まではなにも用事がないということで、内定者で連れ立ってボーリングをする。スコアは……聞かんといて(^_^;
 その後池袋のホテルに荷物をおいて、夕食は折角だからともんじゃを食することにした。うーん。ゆるめのたこ焼きって感じね。悪くないかも。
 しかしカラオケBOX呼び込みのにーちゃんねーちゃんがやたらいるのに驚く。なんというか、マドハンドって感じ。
 翌日は会社で事前研修。グループに別れてのワークやら、住居についての説明やら。前者はリーダー性のある人と同じグループになれたので実にらくちんだった。私が好きに振舞っても、傍目には彼がリーダーシップを発揮しているように見えるからね。こういう環境がいちばん好きやわ〜。というわけで好きにやらせてもらう。後者は寮が1DKだと思っていたのが1Kだと知ってショック。ま、光熱費込みだし、しょうがないか。
 その後の懇親会では内定者同士での、手製の名刺の交換会やら。

お散歩鞄(3/2 1999)

 3/1にすったもんだで多くの人に巨大な迷惑をかけ倒した末に、なんとか卒業研究発表を終えることが出来た。ホントにねぇ、一時は卒業が心底危ぶまれてたから(^_^;。発表は無難に終えることが出来たんだけどね……話す内容飛ばして一枚前のOHPに戻ったりもしたけど。論文は同人誌ぽく言うとモノクロ、コピー34Pて感じ。社会人になってリッチマンになったら電子出版してここに掲載しようかな。誰が見るんだか(笑)。

 そんな自分へのご褒美に(女性誌見出し調)鞄を購入することにした。コミックを売却した収益が結構入ったてのもあるし、カメラを放り込んで散歩に出れるような鞄がひとつ欲しかったと言うのもある。梅田ロフトで好い具合のショルダーバックを発見した。ニュートラルグレイでおよそB5版径。キャンバス地のような手触りにふらふらとなって衝動買いしてしまった。好い買い物をしたときは気分が晴れ晴れするね。いや、好きかな好き哉。
 因みに通勤鞄は就職祝に、姉なる人に「きくたけ」のんを買って貰った。多謝。

テーブルトーク(3/4 1999)

 最近ふたつばかり、個人的な事件があってウォーロックのバックナンバーなどを引っ張り出したりしている。
 読み返しているうち、ふたつの川が流れ、竜の言葉を話すひとと猫の言葉を話すひととが共存していた、あの地はいまどうなっているのだろ。みんな、元気に帰ってきたのかな。そんなことをふと考えたりもして。
 で「今世紀中に『ディプロマシー』をプレイする」てのを私の年頭の誓いにしておこう。なにせ冒険企画局局長、近藤さんをして

20世紀最高のゲームはコンピューターゲームなんかじゃありません。『ディプロマシー』だと思います。
(近藤功司/ゲームの殿堂)

といわしめたゲームだからね。
そいや久しくTRPGもやってないんだよなぁ。うーん★

 で。シンクロニティと言うかなんというか、web上でええもの発見したので無断リンク。
■ウォーロック者には、大森望さんの狂乱葛西日記に掲載された神月摩由璃さんのご尊顔!!
 あー、お元気そうで何よりです、ホント。摩由璃さんは当時から勿論ずっと『誌上のひと』だったわけだけど、その野に咲く花のような可憐さは、もぉ、ねぇ(ミ^_^ミ。遊佐未森とならんで私にとってのアイドルだからさ、うん。
■鈴木直人者には、朝日さんの【鈴木直人伝説】に掲載された虎井安男氏直筆のメスロン!!
 すげー。このページ自身も鈴木者にはちょーお勧め。掲示板もかなりアツいし。そのうち正式にリンクを申し込もう。

(多摩豊氏の御冥福をお祈りいたします)

冬の旅(3/10 1999)

 ふらりと京都に行ってきた。もはや啓蟄も過ぎたのだけど今日の風はまだ少し肌寒い。だけど、これぐらいの方が都にはよく似合っているような気がした。
 京阪電車で七条に着いて、京都国立博物館に行く。本館が改装中らしく新館しか見ることが出来なかったのはちょっと残念。だけど展示内容自体は仏教美術や焼き物など、さすがと思わせるものだった。薄暗い照明の中に佇むそれら展示物は、さながらいつまでも年老いない睡り姫のように思えた。だからけして起こしたりしないよう、息を潜めて館内を巡るのが正しいのだろう。とかね。
 国立博物館をあとにして、徒歩でてけてけ北上する。そのあいだに丸善などの観光名所(でもないか)もクリアしたりして、河原町三条下がるの『せいほう』に到着した。ここはm氏推奨の紅茶とケーキの店だ。成程こじんまりとした、じっくり落ちつけそうな好い雰囲気の店。そこでシナモンティーとチョコムースのケーキを食す。うん、美味(^_^
 その後御所にも少し寄って出町柳から帰路についた。春まだ薄い都もなかなか好かった。もう、しばらくは来れないからね。

お引っ越し(3/21 1999)

 そんなわけで四月からは会社の寮に引っ越すことになる。寮って言ってもワンルームマンションなんだけど。貰った地図を見ると近所に国立極地研や自衛隊駐屯地なんかがある、なかなかイカしたところだ。最上階だから富士山見えるかな。3階だから無理か。ところが広さがおよそ5畳+収納+ミニキッチンらしい。自宅の私の部屋が殆ど5畳な事を思えば荷物を減らさなくちゃとてもじゃないけど生活が危うそう。特に私の場合本が重点項目になるわけで、雑誌の資料性のあるページだけをスクラップして残したり(書いていて憶い出した。ホビージャパンに掲載されてる空想雑貨の広告をスクラップするの忘れてたっ。ショックだわ)コミックを大幅に削減したりといった雑務をこなしているこの頃。でも、なんだかゴミ袋に不要なものをぶち込むとすっきりするねー。本当に。
 荷物の搬出自体は日通に委託することにした。他の荷物と混載して輸送するプランで、およそ55,000えん。ベッドとか電化製品とかは購入した店から直送するんでこんなもんかな。どっちにしろ運送費は後日会社が清算してくれるんだけど。周囲に聞いてみると引っ越し費用を会社が負担してくれるってのはかなり珍しいらしいね。ありがたやありがたや。

 電化製品は日本橋であっさり購入したんだけど、案外難航したのが家具だった。このホームページの設計・運営で得た教訓として「基本骨格さえしっかりしたものを構築しておけば、あとの運用や拡張はアドリブでどうとでもなる」というのがあったので、うんうん頭を悩ませて家具の配置を考えた。私の場合基本的に床に座る習慣がないんで椅子の上で生活できるよう。しばらくは地上波テレビを受信しない生活を送りたいのでテレビは置かない。そして作業台と食卓とディスプレイの台とを兼用する。それらの条件を満たすような家具配置を考えると必要な家具、そしてそのサイズが見えてくる。ただ、持っていく本の量は頑張って減らしたにしても、私の環境は依然特殊だと再確認してしまった。普通の人はプリンタ2台にスキャナとか持ってないわな(笑)。とくにスキャナの所要床面積は結構キツい……。で、必要なのは結局CPU・プリンタ・スキャナを置くラック、ベッド、デスクだと判明した。
 ラックは近所のホームショップでエレクターのぱちもんを購入した。7,800えんなり。
 ベッドは江坂の東急ハンズでハイベッドを購入。19,800えん。
 デスクがいちばん探し回った。梅田のロフトで見つけたパイン材のダイニングテーブルが見た目よく、サイズの要求にも適合していたのだけど東京へ到着日指定の発送は出来ないということで断念。その後四つ橋のnoceとか、あちこちの家具屋さんをまわったのだけど求めるサイズのものがなかったりデザインがピンと来なかったりでどれもいまいち。で昨日ATCのd's homeshopにて漸くピンと来るデスクを発見して、購入した。25,000えん。まぁ、すごいシンプルなデザインなんで、他の人が見ても何がいいのかよくわかんないかも知れん(笑)。でも個人的には大満足。好い買い物したなぁと自賛しちゃう。あと、このインテリアショップ、広々とした店内ですごく雰囲気がよかった。お勧め。ほんと、ココロが安らいでくるね。因みにITM棟の2階です。
 しかしこの、家財道具を探す過程で雑貨屋さんめぐりというわるい遊びを覚えちゃったような。破産しないようにせんとね(^_^;

my graduation(3/24 1999)

 昨日、卒業式に行って来た。私の式は午前・午後と二回行われるうちの午後の部なので正午前ぐらいにてろてろと学校へ向かう。野郎は殆ど、わたしを含めて代り映えのせん背広姿なのに比して女の娘は振り袖やら袴やらでたいへん華やか。なんてことを思いながら椅子に座って開会を待つ。すると男二人連れがやって来て前列に座った。
 右:虎の着ぐるみ(首輪付き)
 左:TM西川のようなカクテルドレス(紫)
 ぅぇ……。まぁ、大学の卒業式だしねぇ、こんなもんか;。ていうか私もコスプレすればよかったかな。対抗意識を燃やしてどうする。
 式そのものは至って普通に、つまり退屈におこなわれた。しかも結局横山ノックは登場せず。府知事はうちのガッコのオーナーみたいなものじゃんかよう。ぐしぐし。あ、もしかしたら選挙前なんで自粛したんかな。
 終了後15時から学科別の卒業式がおこなわれるということで、それまでどうやって時間を潰そうかと思いながら校内をぶらぶらしていた。というのも私は人知れずひそやかに卒業しようと思っていたから。なんとなくね。ところが途上、元後輩二人に発見されて目論見はもろくも崩れさり、そのまま他の知人たちの集まっているところに拉致されてしまう。でもま、そのお蔭で会っておきたかった人にはたいてい会えたわけで、そういう意味じゃ感謝すべきなのかも。
 で、学科の卒業式。研究室の教授から卒業証書を手渡され、握手を求められたとき柄にもなくちょっとじーんとしてしまう。格好悪いなぁ(^_^;。さっき呑んだ振る舞い酒がまわってたんかなぁ。
 うん……ね。
 私を育んでくれた堺の町よ、六年間通った学校よ、そしてよき人びとよ、さらば。そうじゃない人も序でに(笑)。

 で。翌朝新聞を見ていてぶったまげた。
 スコラ倒産? なんてこったい。それはちょっと非常にまずいぞ。


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