神はいるのか!?第六話

 Aはひどく狼狽した。
 トイレの水が流れない。そんな現象は自分にとって起こりえない事だと思っていたからだ。
 何よりも原因となるものがない。おかしなものも、流したという訳でもない。
 なぜだ。いや、今は理由など探っていても仕方がない。取り敢えず直さねばなるまい。
 Aはそう認識し、すかさず行動にでた。
 ラバーカップ。通称トイレのキュポキュポである。
 あちこちで聞いた情報に従いそれをトイレにあてがい作業する。
 ゴポォ。ゴボォ。
 低音を立てながら水はみるみる排水構の奥へ吸い込まれていく。
 なんだ。簡単やん。とAが考えた時、
「ギュギュギュギュ」
外から異音が聞こえた。
 なんだ!?
 Aはあわてて外へと飛び出す。
 そこで見たものは。
 配水管から飛び出た大量の水であった。
 だめだ……。
 Aは言い様のない絶望感にとらわれた。
 Aはただ立ちつくす。
 この次から次へとやってくる難題に。異常なまでの間の悪さに。
 この世に神はいないのか!?
 誰が自分を試しているのか!?
 Aはそんな妄想に激しくかられる。怒るべき相手も嘆く相手もどこにもいない 。ただ、大いなる虚無感だけがAを覆っていた。
 Aはその後近くの公園のトイレに行き、吐いた。
 極度の環境の変化によるストレスである。
 もうどうでもいいや……。
 Aは自暴自棄になりながら寝た。
                          つづく

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