神はいるのか!?第七話
それからまたたく間に時間は過ぎた。 不動産に行き修理を頼み、部屋の片付けを進め、全てを投げたい気持ちを何とか抑える。 どんなトラブルに見舞われようと、どんなに気持ちが落ち込もうと来るべきその時は容赦なく近づいているのだ。 その時。 それは全てのトラブルが半ば無理矢理終了させた時に来た。 ドアをノックする音が聞こえる。 宅配便の声がした。 そう、ついにパソコンが来たのだ。 大きなダンボールが2箱。その2箱が20万と入れ替わる。 運送屋がダンボールを置いて帰った後、Aはあまりのあっけなさに腰が砕ける。それは自分にとってまさに赤羽サンシャインから飛び降りるつもりで用意したお金が、まるでコンビニで弁当を買うような気軽さで、去って行ってしまったという不思議な感覚によるものであった。有り体に言うのなら金銭感覚のマヒである。 Aは先ずはパソコン本体を部屋に入れる。成程、機械の固まりという重さだ。 続いてモニターを持つ。すると。 「お、重……」 Aは持ち上げる事ができなかった。とてつも無い重量なのだ。しょうがないので 、こちらはひきづって部屋に入れる。 箱を開け、マニュアルを読むと26kgと書かれてあった。Aの弱りきった体力では確かに持ち上がるまい。 続いて本体を出す。 今回の組み立てにおいて必要なケーブルの数は2本なので迷うような事は無い。強いて失敗したというのであれば、モニターから本体に繋ぐ時に本来不可能なはずの上下のピンの入れ間違いを力技によって実行してしまったことぐらいである。これでピンが1本少し歪んでしまったが、ペンチで補正し見なかった事にする。 まあ、何だかんだで小1時間程でパソコンは組み立てられAは万感の思いで、 電源を入れた。 立ち上がる音が聞こえる。それと同時にこの1週間が走馬灯のように頭に流れる。 いろいろあった。 ありすぎた。 他のパソコンユーザーも皆同じような思いをきっとしているのだろうか。 パソコンは何事も無く起動し、狂おしく激しかった日々は終わりを告げた。 そう思いたかった。 だが全てはこれから起こるハプニングの日常の序章に過ぎないのではないのだろうか。 Aは直感的にそう考える。 その通りだった。 完 |